大阪女学院中学校・高等学校

卒業生の言葉から紐解く 「英語の大阪女学院」の真価

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大阪女学院中学校・高等学校 卒業生の言葉から紐解く 「英語の大阪女学院」の真価

1884年、ミッションスクールとして開校した大阪女学院中学校・高等学校。創立者であるアメリカ人宣教師がコミュニケーションのために教えていたことに端を発する同校の英語教育は、長年に渡り高い評価を得ており、「英語の大阪女学院」とも呼ばれるほど。卒業生の木村汐里さんと、卒業生であり現在は高等学校英語科英語コースクラス担任でもある岡森瑞歩先生に、同校の英語教育について語っていただきました。

Graduate Interview「面白い!」がいっぱいの授業と
ネイティブ教員との日常会話で
英語力を磨く

木村汐里さん

Profile

大阪女学院で中高6年間を過ごす。高校では英語科英語コースに在籍。
2018年に卒業後、関西学院大学総合政策学部で社会課題の研究に取り組む。
2023年春に広告業界に就職。

― 大阪女学院の英語教育の特徴を教えてください。

木村さんひと言でいうと「面白い!」ですね。まず中学校時代を振り返ってみると、私は小学校の授業でしか英語に触れたことがなかったのですが、入学後ABCを書く所から丁寧に教えてもらい、単語を覚えるのも歌を歌いながらと基礎を学ぶのでさえ楽しい授業のおかげで、英語が好きになりました。また、とてもフランクなネイティブスピーカーの先生がたくさんいらっしゃったので、授業以外でもたわいもないことでよく立ち話をしていました。そのおかげか、高1の夏休みに参加した海外夏期英語研修でも会話に困りませんでした。

高校の英語科英語コースでの学びは、英語の質も量も盛りだくさんで、「面白い!」から入れる授業ばかりでした。例えば、高3の授業「実用英語」では、「イギリス皇室の歴史」や「コカコーラの闇」など、読み物として興味を引かれるテーマが取り上げられた教科書を使って、ディスカッションをしていました。面白いテーマだからこそ、「英語を学ぶ」ではなく、「英語で学ぶ」を実感できる授業でしたね。今でも英語科で一緒だった友達と「あの教科書は面白かった」とよく話しますし、読み返すために教科書は捨てずに置いてあります。楽しい英語行事もたくさんありました。

― どのような英語行事があったのでしょうか。

木村さん最初に行われるのが、高1夏の「海外夏期英語研修」です。これは英語科だけでなく、普通科でも参加できる行事で、アメリカのモントレーとボストン、ニュージーランドの3つの行き先があり、どれも現地でホームステイをしながら語学学校に通い、様々な交流プログラムに参加します。(注:参加は有志。行き先は年によって変更)

私はモントレーに参加したのですが、英語での意志疎通はとてもスムーズに図れました。一緒に行った他の友人たちも問題がなかったようです。これも中学時代からネイティブスピーカーの先生方と話す機会が多かったことに加え、女学院生は伝えることが得意な人が多いからかもしれません。ホームステイ先が歴代の女学院生を受け入れてくださっているご家庭であったこともあり、とても仲良くなりました。ホームステイ終了後も4回ほど会いに行きましたし、コロナ禍で会えなかった時は季節ごとにカードを送り合っていました。

また、「エンパワメント・プログラム」や「英語キャンプ」など、英語科独自の行事もとても楽しかったです。「エンパワメント・プログラム」では、海外からの留学生をリーダーとする小グループでのゲームや、様々な社会課題についてのディスカッションをしました。学内にいながらいろんな国のことを知ることができる充実した行事でした。また、留学生は比較的若い世代の方が多く、学校の先生よりさらに身近に感じ、とても仲良くなれたことも良い思い出です。

私は多国籍シェアハウスで暮らしているのですが、これもホームステイや「エンパワメント・プログラム」を通して、多様な文化を持つ人たちとの交流に居心地の良さを見つけ、「生活に英語を取り入れたい」「世界中の人たちと出会いたい」と思うようになったからです。大阪女学院の英語行事は、私の人生に影響を与える、とても大きなきっかけをくれました。

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― 大阪女学院で学んだ英語が、大学で生きていると感じた経験はありますか。

木村さん私が進学した総合政策学部は第2外国語が不要と言われるくらい英語をみっちり勉強する学部です。それでも、高校より大学の方が英語の授業はラクだと感じました。高校ではディスカッションが多く、常に自分なりにテーマを分析して意見を言うことが求められていましたが、大学ではそこまですることはほとんどないからです。
また、大学入学後に他校出身の子は英語を学問として捉えていることを知ってビックリしました。私たちにとって英語はコミュニケーションの道具のひとつです。これも楽しい授業を通して、英語を学んできた結果だなと思っています。

― 最後に大阪女学院を目指す受験生にメッセージをお願いします。

木村さん大阪女学院は行事をはじめ、生徒主体で動く機会が多い学校で、自分がやりたいことや「これやったら出来るかも!」を実現できるチャンスがたくさんあります。その中で、生徒は「自分は何が得意なのか」「どういったことに興味があるのか」について考え、自然と自分が出来ることを磨いて皆のために動き、成功させるために皆で力を合わせるようになっていきます。
もちろん、女学院生にも一人で行動するのが好きな子もいますが、一人でいる自由を尊重し、個人の選択を認める雰囲気が女学院にはあるのです。女学院は自分で考え行動することを大切にする学校であり、同じ型の人間を作り出したい学校ではないのだと感じています。ぜひ一度、学校に来て、自分に合うか合わないかを、肌で感じてほしいです。在校生の姿を見て、自分が女学院生になったことを想像してワクワクするかで受験するかを決めてもらえたらと思います。

Teacher Interview英語をツールとして
社会に仕えるリーダーの育成を
目指す

岡森瑞歩先生

Profile

大阪女学院高等学校の英語科教員。
現在、英語科英語コースのクラス担任を務める。
同校の卒業生でもある。

― 大阪女学院の英語教育の特徴は何でしょうか。

岡森先生英語の授業では生徒にできるだけ英語を使わせたいと考え、英語を発信する機会を多く設けています。中1であれば、自己紹介に関する単語や英文を学習したら、小さいグループを作りお互いに英語で自己紹介しますし、発表以外でも音読もたくさんしてもらいます。単語を書けたり、長文を早く読めたりすることも重要ですが、それはやり方さえ教えたら一人でも身に付けられます。しかし人の英語を聞いたり、英語で伝えたりする経験は、誰かと一緒にいないと出来ません。だからこそ授業では音読や発表、ディスカッションの時間をたくさん取っています。

また、中学校では国際特別入試を実施しているため、英検の資格を持っていたり、インターナショナルスクール出身であったりと英語を得意としている生徒が1学年に20~30人ほど入学しています。本校は中学ではコース分けをしていませんので、そういった生徒と小学校の授業でしか英語に触れたことのない生徒が同じクラスで学びます。英語に苦手意識がある生徒でも、英語が得意な生徒の発表を見ることで「こういう風に発表したらいいんだな」と学んで、次の発表に活かしていくことができますから、年に4~5回は必ず前で発表してもらいますが、回を経るごとに皆どんどん積極的に発表するようになりますね。英語を母語とする教員による生きた英語に触れられる授業が週2時間あることもあり、とても刺激し合って学べる環境が整っていると思います。

国際授業

― 英語では観点別評価に力を入れていると聞きました。

岡森先生2021年の学習指導要領の改訂に伴い、教科の学習の状況を3つの観点から評価する観点別評価を導入しました。特に英語は授業時間数も多く、本校の核となる教科ですので、3観点別評価の導入には英語教員全員で取り組みました。

3つの観点の内訳は、観点1が知識・技能、観点2が思考力・判断力・表現力、観点3が主体的に学習する力で、観点1の知識・技能は従来の定期テストの結果に対応します。観点2と3は、例えば即興の発表をしてもらう場合、「学んできた単語や文法を使って自分の言葉で発表する」という英語力を観点2で測り、アイコンタクトやジェスチャー、声の大きさなどを工夫してより伝わりやすい発表にしようとする姿勢は主体的な力と捉えて観点3で評価しています。

― 観点別評価の導入で、生徒は変わりましたか。

岡森先生発表が多くなり、生徒のプレゼンテーションは格段に良くなりました。まず、立ち振る舞いがきれいになりました。緊張すると目が泳いだり、片足に体重が乗ったりしてしまうものですが、そういう姿で発表する生徒を見て、自ら学び、こちらが指摘しなくても、自分で自分の立ち振る舞いを直していきます。もちろん、話す内容も良くなりました。たくさんの発表を聞くうちに、どういう内容が面白いかを生徒は理解します。4月はありきたりな内容の発表も出てきますが、時を経るに従って、違う角度から物事を見て話すよう取り組む姿が見られるようになり、とても頼もしく感じています。

これまでは9割が定期テストの結果で、1割が平常点という評価の付け方をしていましたので、定期テストがうまくいかなかったら、それが成績に直結していました。しかし、3観点別評価では観点1と観点2がそれぞれ4割、観点3が2割となり、授業内の発表に対する比重が大変重くなったため、発表を前向きに頑張ればそちらで点が取れます。自分が頑張れる分野で輝けることは、英語を学ぶモチベーションにもつながっていると感じています。

― 前に出て発表するのが苦手な生徒はいませんか。

岡森先生もともと本校は、前に出て話す機会が圧倒的に多い学校です。毎朝礼拝があり、必ず年2回は自分について3分間話す機会が回ってきますし、弁論大会や英語の暗唱大会など、プレゼンテーションする行事もたくさんあります。普段の学校生活に加え、授業で発表の経験を重ねる内に、引っ込み思案な子も徐々に前に出て話すことに抵抗がなくなっていきます。実際、面談で保護者から「女学院に入って明るくなった」「前は手を挙げることもできなかったのに、クラス委員に立候補してビックリした」などと言われます。

また、本校では授業のほか、普段から自分で考え、自分の意見を言うことを求められますが、行事に皆で取り組んでいる姿を見ると、本校の生徒は自分の意見を言うことに対して抵抗感が少ないと感じます。これは。入学してからずっと伝え続けている「あなたはそのままで良いんだよ」「何かをしたから素晴らしいのではなく、あなたがあなたであるだけで素晴らしいんだよ」という先生方のメッセージがあるからではないでしょうか。そういう気持ちを皆が共通して持つことで、お互いの意見を受け入れ合う雰囲気が生まれ、結果として自分の意見を言うことに対して抵抗がなくなっていくように感じています。創立から変わることのない、このような大阪女学院の教育をベースに、英語教育は成り立っています。

― 最後に英語教育を通して育みたい人物像について教えてください。

岡森先生本校の教育理念のひとつに「社会に仕え、社会のリーダーとなる人を育てる」があります。英語というツールを磨き、グローバルな視点から社会に貢献するリーダーとなってほしいですし、実際に世に出た卒業生に、そんな人たちが多くいるのは、本校の誇りです。

そのためにも本校では、外部講師や様々な分野で活躍する卒業生を招いたキャリアガイダンスを中学から開催しています。特に卒業生から、中高での学びを振り返りつつ、進路を選択した理由や現在就いている仕事の話を聞くことは、生徒に大きな刺激を与えます。また、高校では、いろんな大学の先生や職員を招いての学部紹介のほか、実際に大学に足を運んで講義や実験に参加させてもらうなど、より大学での学びを身近に感じられる取り組みも行っています。どの大学・学部に進むかといった目先の指導ではなく、自分で考え・選択する力という長い人生を支えてくれる力を養うことを第一に、今後も進路指導を行っていきたいと思います。