武庫川女子大学附属中学校・高等学校

歌を通して人として成長! 武庫女中高コーラス部

部活白書
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歌を通して人として成長し本音でぶつかり合える仲間を得られる場所
歌を通して人として成長し本音でぶつかり合える仲間を得られる場所
創部から80余年、「おばあちゃんも所属していた」という部員もいるほど歴史のある武庫川女子大学附属中学校・高等学校コーラス部。同部は「全日本合唱コンクール」「NHK全国学校音楽コンクール」の全国大会出場常連であり、2019年にはスペインで開催された国際コンクールでもグランプリを獲得。コロナ禍でも他国の合唱団とリモート合唱を行い、YouTubeにて配信するなど、その美しい歌声を日本のみならず世界の人々に届けてきました。中学から入部し、6年目を迎える高3生の皆さんに、コーラス部の魅力を語っていただきました。
What’s コーラス部!?

練習は基本毎日! 身体作りも重要

大きな行事は、6月のサマーコンサート、8月から予選が始まる全日本合唱コンクールとNHK全国学校音楽コンクール、2月の音楽会の4つ。音楽会以外は、中高別で練習に取り組む。

土曜・休日など練習時間が長くとれる日には、筋トレにも力を入れている。長い曲は6分半ほどあるため、身体作りも重要だ。

オンラインを活用した
コロナ禍での活動

2020年の全国一斉休校措置の際は、「コロナで暗い世の中を歌で勇気づけられたら」と、高3生が中心となり、各自が歌う姿を自宅で録画したものを1本の動画にまとめ、YouTubeにて公開。その後、他国の合唱団ともリモート合唱を行うなど、精力的に活動を展開した。現在も対面練習ができない時は、オンラインを活用して練習を行う。

6年間の集大成となる2月の音楽会

2月の音楽会が高3生の最後の舞台。これまでの大会で歌った曲を歌うほか、一番の目玉はミュージカルで、2021年度はエリザベートを上演。演目決めやダンスの振付けなど、高3生が中心となって進める。アンコールの『母に贈る歌』『川の流れのように』は代々歌い継がれる伝統曲で、生徒にとって最も思い入れのある歌。

コーラス部 PROFILE
創部 1940年
部員数 68名(中学24名/高校43名)
パート 3部制「ソプラノ・メゾ・アルト」、4部制「1パート・2パート・3パート・4パート」の2つのパート制。
パートは部員のバランスにより変わるため、年度初めに毎年パート分けが行われる。
成績 高校部門 【2021年】
第74回全日本合唱コンクール 関西大会金賞・全国大会銀賞
第88回NHK全国学校音楽コンクール 近畿ブロック大会銀賞
【2019年】
「モンセラート黄金の歌声」国際合唱コンクール・グランプリ
中学部門 【2021年】
第74回全日本合唱コンクール 関西大会金賞・全国大会銀賞
第88回NHK全国学校音楽コンクール 近畿ブロック大会金賞・全国大会優良賞
練習

練習は、高校は音楽教室2、中学は音楽教室3に分かれて行う。発声練習は中高合同で行うことも。

コンクールに向けて練習

取材時は8月にある2つのコンクールに向けて練習の真最中。2022年度の全日本合唱コンクールの自由曲では、合唱界で有名な作曲家 信長貴富先生にお願いして、武庫女コーラス部のために作ってもらった委嘱作品『風』を歌う。

「捲土重来」「気魄」

壁には大きく「捲土重来(一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すこと)」「気魄(他に力強く働きかける精神力)」を掲げる。顧問の先生からは「魂をこめて歌いましょう」と指導を受ける。

スペイン遠征時のレポート

音楽室前の廊下には、2019年のスペイン遠征時のレポートが貼り出されている。

集合記念写真

大会出場後の笑顔の集合記念写真。

Students Interview コーラス部は青春を味わえ人間として成長できる場所

Mさん【高3・副部長・ソプラノ1パート】 Hさん【高3・部長・アルト4パート】 Nさん【高3・副部長・ソプラノ1パート】

6年間の積み重ねが
本音でぶつかり合える関係を築く

― 入部した理由やきっかけを教えてください。

Nさん:
入学式でコーラス部による『さくら さくら』の合唱を聴く機会があり、その素晴らしい歌声に「すごいクラブだ」と思いました。その時は入部しようとはなりませんでしたが、中1の音楽の担当がコーラス部顧問の岡本先生で、授業内で「歌声がきれいだね」と褒めてもらったことをきっかけに、「私、歌がうまいのかもしれない!」と思って入部しました。

Mさん:
私は他のクラブに入ろうかと悩んでいる時に、Hさんにコーラス部に熱烈に誘われ、入部を決めました。

Hさん:
私は小学生の時に合唱部に所属し、NHK全国学校音楽コンクールにも参加しました。当時は思ったような結果が残せず、とても悔しかったのですが、同コンクールのテレビ放映で武庫女の合唱を聴いて、「ここに入りたい!」と思ったのです。小5の秋でしたが、それから受験をするために勉強して、コーラス部に入るために武庫女に入学しました。

― Hさんは憧れのコーラス部に入って、どのような印象を持ちましたか。

Hさん:
最初の練習では、両サイドにいてくださる先輩方の歌声が素晴らしくて、驚いたし感動しました。また、小学校では先生が指導してくださったのですが、中学校では先生のほかにも、先輩方がパートリーダーとしてパート練習で教えてくださったりすることにも違いを感じました。練習は思っていたより厳しいこともありましたが、入部して本当に良かったと高3の今でも思っています。

― 先輩との関係も密接なんですね。

Hさん:
はい。良い上下関係があります。部則に関しては、例えば先輩を名前で呼ぶのではなく、名字に先輩をつけて呼ぶと決まっていたり、学校ですれ違った時や登下校の際に会った時は必ず挨拶をしたり、立ち止まって会釈をしないといけないなど、厳しいです。でも先輩方はとてもフレンドリーに接してくださって、遠い存在ではありつつも、親近感も持てる存在でした。

― 同級生同士はどのような雰囲気ですか。

Mさん:
私たちの学年は20名と人数が多く、特に高3になってからは自分たちで決められる範囲が増え、それぞれがやりたいことや後輩のことを考えて、意見のぶつかり合いも多くなりました。ただ、本音でぶつかり合えるのも、やはり信頼しているから。仲が戻れるとわかっていないと、ケンカもできません。収拾が付かなくなることもありますが、それでも最終的に20人がまとまってひとつの方向に向かうことができています。部活の仲間は6年間一緒で積み重ねてきたものがあります。毎年代わるクラスの友達より、もっと深い、もっといろいろな思いがあって一緒に居られる20人なのだと思っています。

コーラス部だから
身に付けられた礼儀の数々

― コーラス部での活動を通して、自分が成長したと感じることは?

Nさん:
私は挨拶がしっかりとできるようになったのが一番大きいです。小学生の時は、同じマンションの方に会っても挨拶ができませんでした。しかし、クラブ活動で挨拶の大切さを先生や先輩から指導してもらったことで挨拶することに慣れ、そこからマンションの方にもきちんと挨拶ができるようになりました。

Hさん:
小学生の頃は自分の意見をなかなか言えない所がありました。しかし、コーラス部に入って、部長という立場になり、前に立って話したり、人に何かを伝えたりすることが多くなりました。今でも得意ではありませんが、昔に比べて話せるようになったと思います。また、礼儀を大切にしているクラブなので、挨拶やお辞儀の仕方、敬語の使い方など、同じ武庫女生であっても、コーラス部でないと学べないことがたくさんあると感じています。

Mさん:
私もHさんと一緒で、前に出ることは極力したくなく、一番後ろでついていくタイプの人間でした。しかし、入部して歌うことがとても楽しいと感じて、自然とクラブ活動に積極的に取り組むようになり、今は副部長という役職に就かせていただいています。立場的に先生方と相談する機会や他の部員からいろいろな相談を受ける機会も多いので、自分の意見をきちんとした言葉使いで話せるようになった点や、質問にすぐ答えられるようになった点は成長したと感じています。

― 礼儀については、保護者への感謝も大切にしていると聞きます。そこから学ぶことも多かったですか。

Hさん:
たくさんの学びがありました。例えば、感謝の気持ちはきちんと伝えないと伝わらないことをいろいろな場面で教えていただき、合宿ひとつ取っても、正座をして「行かせてくれてありがとう」と伝えないとダメだよと言われています。それは、皆きちんと実行していると思います。

― 6年間の活動では辛いこともあったと思います。それをどうやって乗り越えてきましたか。

Nさん:
入部する前に、親に「私たちは口出ししないから、自分で入る部を決めなさい」と言われ、コーラス部に入部するのが私の初めての決断でした。ですから、辞めたいと思う辛いことがあっても、「中1の時の私が自分で決めたことだから、もうちょっと頑張ってみよう」と思って、乗り越えてきました。

Mさん:
しんどいと思うことがあったら、帰り道にコーラス部のメンバーに相談したり、家で母に話を聞いてもらったりしています。ありがたいことに、私には思ったことを言える人やストレスを発散できる場所があるので、気持ちを切り替えて、取り組むことができています。

Hさん:
私は部活が好きで、高2になるまで一度も辞めたいと思ったことがありませんでしたが、高3で部長になり、やる気はあるけれど自信がなく、初めて辞めたいと思いました。しかし、そんな気持ちの中、歌うことや歌の演奏を聴くことで、歌が好きだと再確認でき、今から大会に向けて努力してうまくなっていく未来が見えて、気持ちを切り替えることができました。やっぱり歌が好きだ、部活が好きだという気持ちが大きいです。

― コーラス部での経験をどのように今後に繋げていきたいですか。

Nさん:
歌を始めて6年目ですが、歌に関して耳がとても良くなったと感じています。大学生や社会人になっても、歌は何かしらの形で続けていきたいです。

Mさん:
私も歌は続けていきたいと思っています。また、卒業生が来られた時に、アルバイト先などで「テキパキしている」「挨拶や礼儀が良い」と褒められるとよく話されています。私も部活動で培った礼儀や副部長での経験を、今後も生かしていきたいと思います。

Hさん:
進路は明確には決めていませんが、音楽系の進路も視野に入れています。どの進路を選ぶにせよ、大学生以降も合唱を続けていきたい、ずっと歌っていたいという気持ちが強いです。また、コーラス部で人の前で話す経験を積むことで、自分で思っていることをしっかり伝えて分かってもらえる人になりたいですし、なれるのではないかと思っています。

コーラス部は
宝物のような経験と思い出ができる場所々

― 最後にコーラス部に憧れる小学生に向けてのメッセージをお願いします。

Nさん:
全国大会に出るクラブと聞くと、練習や規律が厳しいと思うかもしれませんが、そんなことはありません。私も初心者で入部しましたが、とても楽しく歌を学べています。今もまだ歌の悩みはありますが、6年間続けることで上手になってきたと感じます。合唱をしたことがなくても大丈夫なので、ぜひ一度練習を見に、コーラス部にいらしてください。

Mさん:
私を含め部員のほぼ全員が初心者でのスタートです。まったく音楽がわからなくても、顧問の先生やボイストレーナーの先生、先輩方などいろいろなサポートがあるので、心配することはありません。練習が大変な時もあります。しかし、全国大会に行って歌い終わった後、結果も出てないのに、「良かったね」と皆で抱き合って泣けるのは、やはり毎日努力をしてきたから。大きな舞台で自分たちが歌えたことは自分の自信にもつながります。
部活動にとことん打ち込める期間は、中高の6年間だけだと思います。コーラス部は青春を味わえ、人間としても成長できる部活です。少しでも興味のある人はもちろん、何かに打ち込んでみたいと思っている人はぜひ入ってほしいです。

Hさん:
ひとつの目的に向かって、皆で取り組む経験はなかなかできるものではありません。コーラス部でコンクールや音楽会に全力で向き合うことで得られる達成感を、たくさんの人に味わってほしいと思います。部活に入らなくても思い出はできます。でも、コーラス部に入ったら、楽しいことはもちろん、辛いこと、苦しいことも含めて、卒業する時には目には見えない、何にも変えられない宝物のような経験や思い出ができます。大げさかもしれませんが、人生が変わる人もたくさんいると思います。
武庫女は中高一貫で、大学に内部進学する人も多く、部活動と勉強を両立しやすい環境が整っていますので、特に今やってみたいことがない人や将来の夢が決まってない人は、ぜひ武庫女にもコーラス部にも入っていただきたいです。