現代社会探究(演習)
社会課題や事象に対し、興味・関心を抱いたテーマを生徒自ら選んで探究する。書籍やインターネットなどで調べ、考察をまとめ、授業で発表し、質疑応答を通じて生徒同士で評価し合いながら知見と知識を広げる。批評する力も同時に培う。
「発表する側も、聞く側も、能動的に学びながら成長」担当/浮田倫太朗 先生
目指しているのは大学のゼミに近いスタイルです。現代社会という広いテーマの中で興味のあることに自ら向き合い、探究の取り組みを通して考えをまとめていきます。調べた後はみんなの前で発表するため、自ら「思ったこと」「感じたこと」を言語化するアウトプット力も高められます。
4月のスタート時は、発表する側も、聞く側も多少緊張しながら授業を受けていましたが、回数を重ねるごとに個々の着眼点が次第に深くなることを感じます。聞く側の生徒も受け身にならず、デジタル端末を使って発表の内容に自らアプローチするといった能動的な姿勢が培われています。
アウトプットするのが楽しい!Yさん(高3)
テーマにできる!Kさん(高3)
― 「現代社会探究」を選んだ理由は?
Yさん 高1で現代社会の授業を受けてこの分野の面白さを知りました。その時は知識のインプットがメインでしたが、高3の「現代社会探究」では興味をもったテーマを自分で深掘りし、みんなの前で発表するアウトプットができるので、そこを魅力に感じて選びました。
Kさん 家でニュース番組を見ていると、今の社会や政治に対して疑問に思うことが多くありました。自分が感じた「なぜ?」「どうして?」を調べることができる授業があればと思っていた時、選択科目で「現代社会探究」を取ればそれが実践できると知り受講を決めました。
― 取り組んだテーマを教えてください。
Yさん 音声合成技術の「ボーカロイド」をテーマに選びました。他に「国債」にも興味がありましたが、調べて発表するまでの期間を考えると少し時間が足りなかったので、もともと興味があったジャンルから取り組むほうが良い発表につなげられると思いました。
Kさん 私は「国民所得から考える現代社会の現状と展望」をテーマに選びました。以前から日本の財政について詳しく知りたいと考えていて、自分で調べる時はあわせて国民所得の現状なども探究して発表しようと思いました。
― 実際に取り組んで感じたことは?
Yさん 著作権について調べる際、2007年から規制が厳しくなったことを知りました。その理由を探った際、ネットの情報だけでは裏付けを得ることに限界があるとわかりました。苦労しましたが、過去に遡って時代の流れを知ることができたので勉強になりました。
Kさん 発表時の反省点を言えば、自分の理解度がまだまだ足りませんでした。財政に関する専門用語に出会うたびに調べましたが、「何となくわかった」というレベルで作業を進めてしまったところもありました。この経験を糧に次はしっかり準備をして臨みたいです。
情報探究(情報言語)
プログラミング言語のJavaを用い、生徒自らプログラムを作成。「選択構造」や「反復構造」といった基本事項を演習を通して学び、組み合わせていく作業を行いながら簡単なゲームを開発していく。改良を重ねることで論理的思考力も鍛える。
「過程を細かくチェックし、ロジカルな思考力を培う」担当教諭/上田祐一郎 先生
スキルの習得より“プログラミング的思考力”を培うことを重視し、物事を順序立て、論理的に考える力を育むことを目指します。ほとんどがプログラミングの初心者ですが、初めてトライすることでも一旦興味をもつとどんどん意欲的になり、放課後に質問に来る生徒もいます。
プログラミングは、たった一文字でも入力ミスをするとエラーが発生します。そうした失敗を経験することで細かなところまで目が行き届くようになり、その意識が日常生活の中で高まっていくと、何事に対しても自分でしっかり考えて行動できるようになります。
―「情報探究」を選んだ理由は?
Tさん 以前から情報やプログラミングに興味があり、高1の時点で選択科目は「情報探究」を取ろうと考えていました。家電やパソコンといった身近なものはプログラミングがベースで動いているので、純粋にその仕組みを勉強したかったんです。
― 現在、授業ではどのような取り組みを?
Tさん 「ジャンケンゲーム」のプログラムを作成しています。最初に“コンピューターの文法”である言語を教わり、入力ミスをしないように細かなところまで目を配って授業で改良を重ねています。毎回計画を立てて取り組むので、その都度で達成感が得られます。
― 大学進学後に学びたい分野は?
Tさん 具体的なことはまだ決めていませんが、情報に関することは少なからず関心があります。「情報探究」の授業で学んだことも活かせると思うので、理系・文系のどちらの学部に進んでも、より発展的に勉強していきたいです。
生物探究
「体の仕組みを理解する」という目的のもと、解剖や実習を中心にした授業を展開。普段目にすることのない動物の体内や内臓、骨格の構造などを実践的な授業を通じて学び、生物に対する好奇心を高める。
「生物の不思議、命の大切さに関心を抱ける人間に」担当/古谷直子 先生
メディアで取り上げられる生物や科学に関する記事に自分から関心をもって目を向けて理解できるようになるために、授業では基礎的なリテラシーを身につけることも目指します。生徒自ら体験・体感することが大事なので、マウスの解剖や動物園実習などの実践的な学びに重きを置いています。
3学期には自ら決めた研究テーマで発表を行います。毎年感じるのは、やはり物事に対する生徒の見方や理解はどんどん深まるということで、その成長ぶりに思わず感心させられます。発表はポスターにまとめ、全校生徒が目にできる校内スペースにはり出すので、下級生たちも刺激を受けます。
―「生物探究」を選んだ理由は?
Dさん もともと生物が好きで、マウスの解剖や骨格標本に取り組める「生物探究」にとても興味を惹かれました。解剖は小学校の時に先生が行うのを見たことはありましたが、自分でやるのは初めてでした。自ら手を動かすので体内の仕組みをリアルに理解できました。
― どんなところに面白さを感じますか?
Dさん 日々の授業は先生の話を聞くことが中心ですが、この選択科目では主体性をもって生物の勉強に取り組めます。解剖用のマウスも一人に対して一匹与えられるので、どの生徒も傍観者にならず、自分のペースでじっくり取り組めるところに楽しさを感じます。
― 卒業後は大学で何を学びたいですか?
Dさん 動物や生物を勉強したい気持ちもありますが、マーケティングにも興味があるので、その分野を大学で勉強することも考えています。「これをやりたい!」と思った時にチャレンジできる環境が同志社にはあるので、今後もいろんなことを学びたいです。
トレーニング探究(実習)
スポーツトレーニング理論の講義を交え、目的に合ったトレーニングを実践。運動部に所属する生徒であれば基礎体力づくりや競技力向上を目的に取り組み、スポーツに関わっていない生徒は健康な体づくりを目指して臨む。
「トレーニング理論に基づき、体力づくりと健康管理を」担当教諭/加地尚樹 先生
運動やトレーニングが自分の体にどう影響を及ぼし、どのように健康の保持増進に役立つのかを実践スタイルで学びます。最初に『スポーツトレーニングの基礎理論』の教科書で知識を深め、そこからどういうトレーニングをすれば自分の体が変わるのか、メンタル面の重要性も含めてアプローチしていきます。
この授業を選択する生徒は運動部に入っている人が多いので、自分の種目に必要な体力的要素を理解し、専門的かつ部分的にどう鍛えれば競技力の向上につながるかを自ら探究します。実際に大会やインターハイの結果につなげた生徒もたくさんいます。
― 「トレーニング探究」を選んだ理由は?
Oさん 小学校の頃からクラブチームで器械体操をやっていて、高校からは部活でも取り組んでいます。平日は練習時間が限られるため、「トレーニング探究」を選択すれば効率的にトレーニングを行え、同時に競技パフォーマンスの向上にもつながると思いました。
― 授業を受け、新しく発見したことは?
Oさん クラブチームでは以前から異なる様々なトレーニングを行っていました。黙々とメニューをこなしていましたが、この授業で同じ部位を鍛えるだけでは逆に筋力が低下することを知り、あらためてクラブチームでやっていたトレーニングの意味がわかりました。
― この授業を後輩にお勧めできる点は?
Oさん 私は競技パフォーマンスの向上が目的ですが、運動部に入っていない人もこの授業を選んでいます。そういう人は健康面や美しい体づくりの目標を立て、楽しくトレーニングしています。基礎理論を含め、すべて自分に還元される学びなので、どんな人にもお勧めです!
高3の「選択科目」は大学の進路も見据えて学べるのが大きな特徴です。リベラル・アーツの精神のもと、高2までは文系理系を問わず幅広く学習しますが、「LAコース」の場合、高3になると授業の半分以上が選択科目になり、 “自分の時間割”で好きな分野に主体性をもって向き合えます。
ご存知の通り、本校は同志社系列の学校で、「LAコース」に所属する生徒のおよそ9割が同志社大学や同志社女子大学に推薦進学します。だからこそ受験勉強にとどまらず、自らの興味・関心に基づく勉強に自由に取り組め、そこから将来の職業に対する視野も広げていくことができます。
この「選択科目」で経験した「調べる」「探究する」「発表する」というノウハウ、そして自ら考える姿勢は、大学進学後の学びに直結します。実際に本校の卒業生はスムーズに学部・学科の授業に入れているという言葉を大学の先生方から頂いており、私たち教員も自信を深めています。