帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校

ついに始動! カナダ「ターム留学」プログラム

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帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校 満を持して、ついに始動!カナダ「ターム留学」プログラム
多様性への理解とグローバルな視座を養う帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校の英語・国際教育。留学制度や語学研修が充実し、なかでも約6~8週間のホームステイをしながら現地校に通うターム留学は、長期留学にも匹敵する貴重な異文化の経験を積むことができ、コロナ禍前から綿密に計画されていたプログラムです。2022年度の3学期、カナダ・オンタリオ州に渡った泉ヶ丘校“ターム留学1期生”はどのような学びを得たのか、先生方を交え、2人の生徒に話をうかがいました。

Photos during Study Abroad

Interview about the Study Abroad Program

山崎くん(高校3年/国際英語コース) 森脇さん(高校2年/文系選抜コース) 校長 江口 宗茂 先生 国際教養部長 村上 一三 先生

コロナ禍後 泉ヶ丘校としてターム留学を初実施

― 希望制のターム留学に行こうと思った理由を教えてください。

山崎くん高2の夏休みにまず2週間のオーストラリア語学研修に行きました。そこで充実した時間を過ごせたので、もう一度高校生のうちに海外へ行こうと決め、今回が最後のチャンスだと思いカナダのターム留学に参加しました。

森脇さん私も山崎先輩と同じ理由です。まず高1の夏休みに交換留学で1ヶ月間オーストラリアに滞在し、とても楽しい経験をすることができたので再び留学したいと思いました。

江口先生二人とも夏休みのオーストラリアですっかり満足したと思っていました。秋以降は大学進学に向けて勉強のギアを上げる必要があり、受験へとスイッチを切り替えると思っていましたが、山崎くんも森脇さんも物足りず、留学の“おかわり”をしたんですね(笑)。

村上先生3年前から計画していたターム留学をようやく実施することができ、私もほっとしています。

― ターム留学に行くと決めて、どのような準備をしましたか。

山崎くん留学中はホームステイをするので、英会話ができないと意味がないと感じました。そのスキルを上げるためにまず単語力のアップを心がけ、フランクに話せるように“ため口英語”といった英会話の本も買って勉強しました。

森脇さん事前の準備でいえば、もともと海外ドラマを見るのが好きだったので、学校から帰るとほぼ毎日、字幕と英語の音声を照らし合わせながらリスニング力を鍛えました。

村上先生山崎くんも森脇さんも早くから英検の勉強をしていて、学校としても教員がそれぞれの生徒に対して指導を行っていました。二人ともある程度の英語力はあったので、あとは個々が感じていた課題に取り組んだということですね。

江口先生 夏休みにオーストラリアで感じた反省点などを踏まえ、カナダのターム留学で何かチャレンジしようと思ったことはありましたか。

山崎くん 夏のオーストラリアは2週間の短い期間だったので、バディ(サポートしてくれる現地校の生徒)とうまくコミュニケーションが取れないまま終わりました。カナダでは同じことを繰り返さないように自分から積極的に話しかけようと決めて臨みました。

森脇さん オーストラリアの交換留学は寮生活でした。でも、カナダはホストファミリーと過ごすことになるので、親しくなるために私も自分から積極的に話をしてコミュニケーションを取ることを意識しました。

泉ヶ丘校のACTION! 村上先生

村上先生
ターム留学の行き先はコロナ禍の前からカナダ、オーストラリア、ニュージーランドを選択肢に挙げていました。その中で本校がこだわったのは、1つのホストファミリーに対して1人の生徒を受け入れてもらうことでした。旅行ではなく英語のイマージョン・プログラムであるため、生徒同士が群れてしまうと意味がありません。その保障をしてくれたのがカナダ・オンタリオ州にあるウォータールー教育地区の教育委員会でした。今回のターム留学に参加した生徒は計15名。窓口になっているカナダ大使館の書記官がわざわざ本校に足を運んでくださり、今後もさらに関係を深めていくことで合意しています。
窓口になっているカナダ大使館の書記官 地図

現地のカナダ人だけでなく他国の留学生とも交流

― 初めてホームステイを体験して感じたことは?

山崎くんホストファミリーが優しく受け入れてくれたことが何より嬉しかったです。キリスト教を信仰されているファミリーで食事の前は必ずお祈りをするのですが、これが異文化に触れることなんだと感じました。英語に関してはホストマザーが歳をとっていたので、多少言葉の聞きづらさがありました。何度も聞き返すのは悪いと思い、集中して聞き取るように努めた結果、リスニング力がアップしました。

森脇さん私のホームステイ先には30歳くらいのホストシスターがいて、とてもフレンドリーに接してくれたので感激しました。すごく仲良くなって、一緒にピザやスイーツを作り、毎週夜になるとドラマの『バチェラー』を見て盛り上がりました。

江口先生ホームステイ先には他国の留学生もいましたか。

山崎くん僕より1歳下のロシア人留学生がいて、とても親しくなりました。通う学校は違っていましたが、家で顔を合わせた時は英語でコミュニケーションを取り、日本のアニメを見るのが趣味と聞いて日本文化がロシアにも行きわたっていることに驚きました。

森脇さん身内ではなかったのですが、ホストファミリーが地下の部屋をスペイン人の家族に貸していて時々話をしました。私たちとは別々の暮らしをしていましたが、仲良くなったことで美味しいスペインの伝統料理の差し入れをいただくこともありました。

― 現地で通った学校の授業について教えてください。

森脇さん数学の授業はすでに習った内容で、日頃から学校で難しい問題を解いていたのでとても簡単に感じました。その様子に気づいた先生から「できる生徒だね!」と声をかけられ、問題演習の時間は私が隣の生徒の教える役を任されました。ただ、問題自体は簡単でも、教科の専門的な単語はわからないことが多かったので、その都度調べて取り組みました。

山崎くん僕が印象に残っているのは、学校のジムでトレーニングをする体育の授業です。先生が音楽をガンガン流し、その中で生徒たちが重いバーベルを持ち上げたりしてみんなでワイワイ楽しみました。

村上先生山崎くん、それも楽しかったと思いますが、せっかくだから勉強に関する話も聞かせてもらえますか(笑)。

山崎くん勉強でいえば法律の授業が印象に残っています。カナダの法律のコモンロー(Common-law)やローマ法を学ぶにあたって4~5人でグループワークを行い、調べたことをパソコンでスライドにまとめてみんなの前で発表しました。

江口先生自分の意見を積極的に言えましたか。

山崎くん最初はグループのメンバーに遠慮しながら発言していましたが、次第に親しくなるにつれて自分の意見も積極的に言えるようになりました。

森脇さん私は留学生たちが集まるESLの授業でグループワークを経験しました。ペアになった生徒同士でお互いの国の文化に関する資料を作り、最後の日にみんなの前で発表しました。

泉ヶ丘校のCHOICE! 村上先生

村上先生
現地校にESL(English as a Second Language/第二外国語として留学生が英語を学ぶクラス)があることも、本校の選択基準にしていました。カナダの生徒が受ける本来の授業だとネイティブの英語が飛び交うため、留学生にとってはかなりハードルが高くなります。その点、ESLであれば、例えばグループワークを行う時も第二外国語として英語を学ぶアジアやヨーロッパ、南米などから来ている生徒と一緒ですから、留学が初めての生徒でも臆することなく英語で意見を交わすことができます。

次のステップに向かう目標がさらに明確になった

― ターム留学を経験して自ら成長できたと感じることは?

山崎くん英語力の向上はもちろんですが、ターム留学を経験したことで自ら意志をもって前に進むマインドを培えたと感じています。帰国後は以前よりも具体的な目標を掲げられるようになり、将来は国連の下部機関である「WFP(World Food Programme/国連世界食糧計画)」で仕事をしたいと思うようになりました。

江口先生では、すでに海外の大学も視野に入れて勉強し始めているということですか。

山崎くん 正直、まだ迷っている部分はあります。海外の大学に進学するとなると、当然ですがターム留学とは違って数年間1人で生活することになるので、そこはまだ自信がなく、少なからず不安を感じています。

村上先生実は先日山崎くんとその話をしたところでした。本校は今年からマレーシアのトップの私立大学であるテーラー大学から推薦指定を受けましたので、将来国連の関連機関で仕事をしたいのであれば、その選択は一考の価値があります。

江口先生村上先生が部長を務める本校の国際教養部は、山崎くんに限らず生徒の希望に沿って選択肢を提示できる強みがあります。森脇さんはターム留学を終えて、具体的にどういう進路を志しているのでしょう?

森脇さんもともと国公立大学への進学を考えていたので文系選抜コースに所属していますが、帰国後はクオリティの高い国際系の学部がある私立大学も考え始めています。高2の今のうちにいろんな大学を見学しておこうと思い、先日国際基督教大学のオープンキャンパスに行ってきました。そこで模擬授業を受けたのですが、とても楽しく、「早く大学生になりたい!」と思いました。

村上先生そのようにすぐに行動できるのが森脇さんの素晴らしさですね。

―  帰国後、英検は次のステップに進んだとお聞きしました。

森脇さん留学に行く前から準1級にチャレンジしていましたが、毎回あと一歩のところで合格を逃していました。でも、ターム留学を機にスイッチが入り、英語の勉強で唯一苦手だった単語にも自ら進んで向き合い、努力の甲斐があってついに取得できました。

山崎くん僕はまだ2級しか取得していないので、今後はその上を目指します。さらに海外の大学に進学するのであれば、IELTS(International English Language Testing System)のスコアが重要だと村上先生に教えてもらったので、レベル5.5を目標に頑張ります。

村上先生おそらく今の山崎くんの実力だとレベル4.0くらいでしょうか。レベル5.5は日本の英検でいえば準1級に相当するので、まだまだ頑張って勉強する必要があります。

江口先生それでも山崎くんはターム留学に行く前は英検3級で、そこから一気に2級を取れたのですから相当頑張りました。

山崎くんいや、一応準2級を取得してターム留学に臨みました(笑)。ただ、準2級も2級もギリギリの点数で取得したので、次は余裕をもってパスできるように頑張らないといけないと思っています。

江口先生その意気込みでこれからも頑張ってください。山崎くんも森脇さんも、今後のさらなる飛躍を期待しています!

泉ヶ丘校のDECISION!江口先生

江口先生
今回のターム留学には、普段学校を休みがちだった生徒も参加しました。正直、「いきなり海外に行って大丈夫!?」という思いもありましたが、後押しすると決めました。そして帰国すると、学校を休まなくなり、実にイキイキした表情で学校生活を送れるようになったのです。大人は「何かあっては困る」とやらない理由を挙げがちです。しかしそのリスクを学校、教員、保護者が負うことがいかに大事かを再認識しました。ターム留学も「もう1年先送りしては」という慎重な声もありましたが、それでは生徒のためにならず、何かあれば校長の私が責任を取る覚悟で「Go!」の決断をしました。生徒だけでなく学校もチャレンジするのが泉ヶ丘校です。