REPORTSCIENCE FESTA 2023
大谷中学校・高等学校を会場にして開催された『サイエンスフェスタ』。グラウンドでは5つの野外実験、ホールや教室では約50の実験や展示が、大学や中高、個人や企業によってそれぞれ行われ、講堂ではJAXAのはやぶさ2プロジェクトマネージャーによる講演が実施されるなど、西日本で最大規模を誇る科学イベントです。家族で来場する子どもたちが多く、大谷中高の科学部以外の生徒たちも、受付を手伝ったり、放送部が講演会で案内をしたりと、積極的にサポーターとして活躍していました。
大谷科学部の出展は、「バンデグラフを使った静電気実験」、「目で見てわかる空気の振動実験」、「LEDストロボで振動現象を観察する」の3つの実験。顧問の豊田先生を中心に理科教育研究所の先生方や科学部の先輩たちが作った各実験装置を使って、部員たちが交代で実験や説明を繰り返します。子どもたちが怖がらないように配慮しながら、わかりやすく解説し、子どもたちに理科を身近に感じさせていく科学部員たち。気柱共鳴の実験では恐る恐る装置に手を伸ばして振動を確かめる子供、静電気の実験ではバンデグラフ起電機に触れて逆立つ自身の髪に驚く子どもなど、科学部が提供する実験を通じて理科の面白さを楽しみました。
各実験への科学部からのメッセージ
「バンデグラフを使った静電気実験」
大谷科学部からのメッセージ
ボウルやフライパンなど、身近にあるものを使ってバンデグラフという静電気発生装置を作りました。性質が異なる2つのローラーにゴムベルトを掛けて動かすと、密着していたゴムベルトがローラーから離れる時に電気が乗り移って、上下の電極にそれぞれちがう種類の電気が蓄えられ、調子が良いときは5万Vを超える電圧が発生します。この装置を使ったたくさんの実験メニューを用意しました。
「目で見てわかる空気の振動実験」
大谷科学部からのメッセージ
リコーダーなどの筒を利用した楽器は、筒の長さや吹く強さによって出る音が変わります。このとき筒の中の空気のふるえ方にはどんな違いが起きているのでしょうか?目に見えない空気の振動を目で見て確かめる装置を作ったので、出る音と空気の振動の関係を確かめて欲しいと思います。また空気がなくなると音が伝わらなくなることを確かめる実験も行います。
「LEDストロボで振動現象を観察する」
大谷科学部からのメッセージ
物体が動くタイミングに合わせて短い間隔で光を当てると、ギターの弦のように素早く動く物体の動きをスローモーション映像のように見ることができます。短い時間感覚で光を出す“ストロボ光源”と呼ばれる装置を使うと、“残像効果”に邪魔されることなく振動する物体の動きを見ることができますので、実際に試してみてください。
STUDENTS INTERVIEW
より良い検証結果を出すために、
粘り強く考察を繰り返す!
『サイエンスフェスタ』は、多くの理科関係者が来てくださり、私たちの実験にも興味を示してくださって説明のしがいがありました。私は昨年も参加しましたが、今年のほうがより自分らしく説明でき、相手もより興味をもって聞いてくださっている印象でした。今回の私たちの出展で、私は子どもたちに理科を面白がってほしいと思っていました。例えばバンデグラフの実験では、普段の生活ではパチっと感じられる程度でも、装置では目に見えるほど大きな静電気が発生します。それをなるべく目線の高さを合わせてわかりやすく説明して、理科が身近で楽しいものだと思ってもらえるよう努めました。詳しい説明を求められる大人の方には実験結果による考察を交えながら、顧問の豊田先生たちや私たちが実験装置を自作していることもお伝えし、より興味をもっていただきました。
科学部の楽しさは、理科に関するツールを通して部員同士が仲良くなれることです。今は『学生科学賞』に向けて頑張っていて、私は新しく作ったバンデグラフの中のローラーの性質や材質の変化による電気の飛ぶ長さや電圧の変化を調べています。バンデグラフの考察は、実験回数を重ねた方がより具体性のある良いものになるので、同学年の部員たちと一緒に粘り強く実験と考察を繰り返しています。
また、科学部のもう一つの魅力が、驚くような実験装置を作ってしまう豊田先生の存在です。尊敬していますし、「自分でも作ってみたい!作れる!」という気にさせてくれます。それに『サイエンスフェスタ』のような発表の場を通してプレゼンテーション力が身につくことも科学部の強み。先輩後輩の関係も良く、私の入部理由は「この先輩と一緒だったら何かできそう」と思えたことでした。そしてたった100円の部費で大好きな理科に一定時間触れられ、充実の器具を使って実験もでき、理科への興味を満たせるクラブですから最高です(笑)。
私が好きなのは物理。応用させたらどうなるのかと興味津々です。進路としてもオープンキャンパスではやはり物理が面白く、自分に合ったその方向性で将来を模索中です。
実験器具や装置に触れて見つかる
科学部での楽しさ!
「LEDストロボで振動現象を観察する」実験を選んだのは、私自身が光に対して理解しにくさを感じていたので、もっと詳しく知りたいと思ったからです。別分野でも実験器具を触って理解できたことがあったので、LEDストロボを扱うことで光のことをもっと知れるはずだと思いました。
私は中学生活に慣れた中2から科学部に入部したので『サイエンスフェスタ』は今回が初参加です。実験内容を人に説明することも初めての体験で緊張しましたが、一方的に話すのではなく、相手が質問しやすいように笑顔で声かけすることを心掛け、相手が不思議に感じていることを感じたら、そこは丁寧に説明するといった工夫をしました。科学部は実験や研究を重点的にやる部だと思っていたのですが、公の場で理科に興味を持つ方たちとコミュニケーションをとることは驚きです。でも、そういうコミュニケーション力が科学部にいると上がることも実感しました。
それに科学部は、理科に興味はあっても「難しいかもしれない」と距離を置いている人たちが、実験器具や装置に触れ、「楽しいな、やってみたいな」と思える良さがあります。授業では仕組みと結果だけを知ることが多いですが、科学部は自分たちで実験器具を作り、それを試して、さらに詳しく知ることができます。その面白さを後輩たちにも知ってもらいたいし、自分ももっと楽しんでいきたいと思います。豊田先生たちの装置の製作も途中の細かい部分は私たちにも手伝わせてもらえ、中身がどうなっているのかを詳しく知れる面白さがあります。
今後は、先輩から受け継がれてきた静電気の実験に挑戦し、『学生科学賞』にも参加したいと思っています。将来はまだ決めていませんが、理系の大学に進みたいという希望を持っていますので、科学部の活動とともに理科の勉強はしっかりしようと思っています。
自分で作った装置で実験して法則を見つけたい!
ワクワクする科学部の活動
私が担当した実験は、先輩が手作りされた気柱共鳴装置を使って、見えない音が見えるようにする実験です。音の高さを変えて、いつ、どんなときに筒の中の空気が大きく振動するのかを、レベルメーターも使って見た目もわかりやすく見せました。気柱共鳴装置が 2本になっている学校は大谷だけです。『サイエンスフェスタ』では、そんな解説を多くの人に何度もしますから、話すのが苦手な私も自分が考えていることをたくさん話せるようになりました。
私は大谷に高校から入学して科学部に入部しました。科学部は中学入部生が多く、最初はどうして仲間になろうかと慎重になり、興味のあった生物のテーマでの実験がなかったので悩みましたが、気柱共鳴の実験に参加したところ、実に興味深く、気柱共鳴装置を使えば目に見えない音についていろんなことがわかる楽しさに夢中になりました。また、入部した時に「この装置もあの装置も先輩たちが作ってきたんだよ」と聞いて驚きましたが、まもなく新しい気柱共鳴装置を作る話が出ていて、自分でも作れるのだと思うととても楽しみです。
先輩が作られた装置はとても複雑で、最初は「どうやって動いているのだろう?」と思っていましたが、何回も話を聞き、自分でも装置を触るうちに徐々に理解でき、今では自分でも装置を動かせ説明もできるようになった点がとても嬉しいです。先輩方が製作された装置を見ていると簡単ではないと思いますが、自分でも新しい装置を作ってみたいと強く思いますから、チャレンジしたいです。自分で作った装置で実験して、法則を見つけることができるかもしれないと思うとワクワクします。生物関連も、まもなく魚についての研究が始まるので頑張ります。
将来は、臨床検査技師になりたいと思っているので、機械を使って実験に近いことをすると思いますから、科学部での活動が将来につながっていると嬉しいです。