巣鴨中学校・高等学校 DOUBLE HELIX

巣鴨学園を中心に、市川学園、鷗友学園女子、駒場東邦、四天王寺、洗足学園、南山女子、広尾学園の8校から52名の生徒が参加して開催された「Double Helix:Translational Medicine」。医療分野の第一線で活躍する海外講師陣の授業の様子、参加校の先生方の現状に対する思いを取材しました。

『DOUBLE HELIX:TRANSLATIONAL MEDICINE』とは?

二重螺旋を意味する「Double Helix(ダブルヒーリックス)」は、基礎知識の獲得は高次の思考力(問題解決能力、創造性、批判的思考力など)の向上に結びつくことを生徒に気づかせ、学びへの意識を変革するためのプログラム。海外の多様な分野で活躍する講師陣を迎え、2021年にオンラインでスタート。2022年度からは医療分野に特化した「Double Helix:Translational Medicine」が実施されている。2023年度もイギリスから医師や研究者が講師として巣鴨学園に来校。医療における「倫理とチームワークの重要性」に重きを置いた講義、ディスカッション、発表が5日間にわたって行われた。

Introduction of Doctors

Dr. Aoife Fitzgerald

現在、オックスフォード大学病院勤務の麻酔科医兼集中治療医。ダブリン大学で科学を、バース大学で健康心理学を学び、オックスフォード大学で医学の学位を取得。オックスフォードの医学生や若手医師を教えるだけでなく、高度救命処置、小児高度救命処置などの多くのコースの正規教員でもある。

COURSE OUTLINE 2023
「Adventures in Physiology and Global Health」

Dr. Yosuke Matsumiya

産婦人科を専門とする学術臨床医。ケンブリッジ大学とロンドンのキングス・カレッジで医学を学び、医師資格を取得後オックスフォード大学病院とその周辺の地域病院に勤務。英国王立産婦人科医学会の唯一の日本人会員。2017年から2020年までは日本に滞在し、東京大学医学部の常勤助教授のほか、慶應義塾大学でも講義。2020年には慶應大学医学部でベストティーチャー賞を受賞した。現在は、オックスフォード大学で、日本のバイオテクノロジー企業であるルカ・サイエンス株式会社と共同研究を行う。

COURSE OUTLINE 2023
「Teamwork」

Dr.Jason Reidy

理学士号を取得後、エディンバラ大学で神経科学の学位/学士号を取得。さらにロンドンのセント・バーソロミューズ大学で医学を学ぶ。基礎訓練後、ロンドンのガイズ病院とセントトーマス病院で麻酔科を専門に学んだ。2009 年からオックスフォードのジョン・ラドクリフ病院のコンサルタントを務め、同病院で産科麻酔専門医として勤務。オックスフォードのテムズバレー母体医療ネットワークの麻酔科リーダーでもある。

COURSE OUTLINE 2023
「Medical Emergencies and Safety in Clinical Practice」

Dr.Nadia Muspratt-Tucker

産婦人科を専門とする臨床医。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、資格取得後にエディンバラ大学で医療法と倫理の修士号を取得。現在はオックスフォード大学病院に勤務。週に 1 日、オックスフォード大学で医学生に医療倫理と法律、一般的な産婦人科、世界保健などのさまざまなテーマを教えている。

COURSE OUTLINE 2023
「Medical Ethics」

Dr.Sonia Tsukagoshi

産婦人科を専門とする臨床医。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、資格取得後にエディンバラ大学で医療法と倫理の修士号を取得。現在はオックスフォード大学病院に勤務。週に 1 ロンドンのインペリアルカレッジを卒業以来、6大陸 10ヶ国以上で研究や勤務し、ロンドンの東洋アフリカ研究大学院(SOAS)では医療人類学の修士号を取得。現在は、民族的、経済的に多様なイーストロンドンで家庭医を務め、医師向けのブログ (www.globalgpproject.com)を提供。食事、運動、ストレス軽減による病気予防の提唱者でもあり、ヨガ講師としてロンドンの複数のスタジオで教えている。

COURSE OUTLINE 2023
「How to Be Happier and Healthier」

DOUBLE HELIX
―Ask the ORIGINATOR―

『DOUBLE HELIX』は、巣鴨学園の国際教育部部長である岡田英雅先生が考えた理念に共感した他の私学の先生方が賛同して2021年にスタート。貴重なプログラムを1校だけで独占するのではなく、世界で活躍する生徒たちの将来のために、各校の先生が一丸となって挑む類を見ない国際教育です。その現状と熱い思いを岡田先生にうかがいました。

究極の満足を求める旅ではなく
旅の途中の感動に出会いたい

巣鴨中学校・高等学校
国際教育部部長 英語科教諭
岡田英雅先生
共有することで
DHをより良くするアイデアや意見をもらいたい

― 2021年に岡田先生がスタートさせた『DOUBLE HELIX』(以下DH)ですが、現状の手応えから教えてください。

岡田先生
スタートから今まで「予想通りにいかない」ことの連続でした(笑)。それがとても面白く、これが私の求めていたものだと思っています。DHの理念に共感する人たちが自分の意見を持って関わってくれたことで、さらに良い方向へ進んできました。「そうそう!こういうものがやりたかったんだ!」という手応えを得ているのが現状です。良いものができるとは、こういうことだと思っています。

― その良いものをさらに広げていく段階ですか。

岡田先生
いえ、DHは単に広がればいいとは思っていません。DHとして自分たちの尖った形は追求しますが、別の方向に尖っている別のプログラムが良いという人もいて当然です。一番つまらないのは、どこを見ても、同じようなものしか存在しない世界です。
私の基本的な考え方は、「来る人は拒まず、去る人は追わず。チームは作らない」。チームは自然にできるもので、あえて作るものではないと考えますから、今は巣鴨で主催していて私が中心ですが、今度、市川学園と鴎友学園で取り組むDHIO(Double Helix:Ichikawa×Ohyu)は市川学園の山本先生と鴎友学園女子の村田先生が中心になり、そこに私がサポートで入った新しいチームができています。次は誰が何を作るのかと考えるのは楽しいです(笑)。

― DHは岡田先生の理念や人脈をもとに行われてきたプログラムですが、それを他校で展開していっても構わないのですか。

岡田先生
山本先生にも「なぜ、何年もかけて積み重ねてきたものを、みんなに共有してしまうのですか?」と言われました(笑)。でも私は、共有すれば周りから助けてもらえると思っています。それに自分も失敗をするし、ミスもしますから、いろんな人にDHを見せてより良くなるためのアイデアや意見をもらえた方が進みはスピーディーです(笑)。
もっと言うと…これは誤解を生みがちなので、なるべくうまくお話ししたいですが、「僕にしかできない」。それは、自分が“すごい”から「僕にしかできない」という意味ではなく、自分の人生を生きてきた人間は私1人だからです。

例えば私は小さい頃、野球ばかりやっていて、本当はプロ野球選手になりたかった。国語教員になろうと思いながらも英語教員になって、43歳で家族がいるのに1人でイギリスに留学しました。でも、その生き方をしてきたから、今の自分の発想と考え方があります。
それに最近「宮本算数教室」の宮本哲也先生に教えて頂いて『天才たちは学校がきらいだった』(トマス・G・ウェスト)という本を読み、脳の作りは一人一人全く違うのだから、同じものを与えられても同じになるはずがないと知りました。脳の作りも、生き方も違うのだから、それぞれが違うようにしかできないのです。

つまり私と同じ生き方をしてきた人はいないわけで、私の脳と同じ脳はない。だから同じものを与えられても同じになるはずがない。その意味での「僕にしかできない」です。DHの方法を他の人に見せて、その人が別のことを考えてくれたら、「あ、そうか。そういう風にやればいいのか」と気づくことができ、別のことも可能になります。その意味で共有した方がスピーディーだし守らなくていいから楽で面白い。それに一緒にDHに取り組んできた先生たちとは信頼が深まっています。人を知り、人を理解するからこそできることです。

― DHの軸はオリジナリティと人ですね。

岡田先生
一人一人が尊い存在であり、人とは違う。それを子どもたちがいろいろな学校から集まってきたときに感じ、イギリスから来た先生と触れ合って感じ、各校の先生たちも自分の学校から離れたときに感じるようです。でも、その気持ちがあると、お互いに敬意を持って接することができます。それこそが国際教育の根っこにあるものではないかと思いますね。

最近、「国際教育とは何か?」とよく聞かれます。恐れ多いですが、私がよく話すのは「思いやりがない。コミュニケーション能力がない、忍耐力がない、学力がない、教養がない。でも英語はペラペラという人と一緒に仕事がしたいですか」と。絶対に嫌ですよね(笑)。だから「世界のどこに行っても通用する力」が国際教育で必要な力なら、世界のどの場所でも、どの時代でも、人が大事にしてきたものをまず身に付けていなければいけない。つまり英語力は順番で言うとかなり下に来ると話しています。

受験に軸を振った学校教育
それで良いのかを問うDOUBLE HELIX

― 今日は授業を見学させていただきましたが、各校の混合チームで、内容的にも難しいので緊張感はありますが、気遣い合う関係性が見えました。

岡田先生
そこが、AIが人間に代われない部分です。困っている人に対して、何をするのか。それが大人になった時に自分のコミュニティで行動することであり、本来は学校で教えることです。
それを学校教育が受験に軸を振ったので、自分さえ良ければ良いという考えになってしまい、大人になった時には人と協力ができない、自分だけが大切な人間になってしまいます。そして孤立する。教育とは、本来そうではなかったはずです。助け合い、学び合いながら、先人たちが目の前で話すのを見て、「自分はこうしたい」と啓発される場所でした。それがいつの間にか点数を取るためのノウハウを教える場所になっています。本当にそれで良いのか?と問うのもDHです。

― DHでは、「どんどん失敗しよう」という普段の学校では聞けないメッセージも出るそうですね。それもDHの個性を表しているように思います。

岡田先生
オープニングスピーチの中で「失敗しよう」と話しています。毛虫が蝶になる前にグチャグチャのサナギになって、そこから美しい羽を持って飛び立つように、君たちも何が何なのかわからない経験をして、自分でどうすればいいかを考えないと、一人一人の美しい羽で飛び立つことはできない。だから「失敗しよう」と話しました。
でも、学校の教室での評価の対象は失敗をしないことですから、生徒たちには難しいことです。そこでDHでは、「Motivation Curve Lesson」で、講師が自分の失敗をたくさん話します。そうすると生徒たちは少しずつ「失敗していいんだな。失敗しなきゃいけないんだな」と思えるようになります。そういった授業の中での心の動きが大切なのです。

― DHも課題が見つかってもそれを乗り越えていきそうですね。その意味ではDHはまだ満足する状況ではなさそうですか。

岡田先生
そうですね。それに究極の満足を求めているわけでもありません。「The journey is the reward」(旅こそ報酬だ)と言いますが、目的地にたどり着くことを目指すのではなく、旅をしていること自体が楽しい。「DHの向かう先は?夢は?」と聞かれると、とりあえずの行き先イメージはありますが、それは旅を続ける理由。重要ではないのです。みんなで旅をする途中に、「こっちに何かあるのかな?」「行ってみる?」「あれもいいよね」ということが面白い。だから、DHとしての究極の満足を求める旅ではなく、旅の途中の感動に出会いたいです。

― DHの理念と人を大切に、教育とは何かを先生たちが考えながら、自由に旅を続けていく感じでしょうか。

岡田先生
本当にそうですね。守らなければいけないものがないのがDHです。人を大事にするのは当たり前ですから、ポリシーでもない。みんなで楽しくやれればいいのです。システム化して誰が何をどのようにしなければならないと決めると、今度はシステムが人間を動かし始めます。だから面白い人たちが集まっているときは、できるだけシステム化して制限しない方がいいと考えています。ポリシーよりも人を大事にする。そして、現状の受験システムに対して 「おかしいと思う」という教員たちがいた、その爪痕ぐらい残せたらいいなと思います。

DOUBLE HELIX
―Ask the partners―

『DOUBLE HELIX』がスタートした当初から参加している駒場東邦中学校・高等学校と市川中学校・高等学校。私学の各校の先生が協力し合って、一つのプログラムを運営していくのは稀なことですが、『DOUBLE HELIX』には先生方を惹き付ける魅力があるようです。駒場東邦の小原先生、市川学園の山本先生にお話をうかがいました。

DHで学んだ失敗や挫折の方向転換を
「自分は大丈夫だ」というたくましさに変えてほしい

駒場東邦中学校・高等学校
国語科教諭小原広行先生
市川中学校・市川高等学校
国際教育部長 英語科教諭
山本永年先生
「間違えていい。失敗から学ぶことがある」
普段は言えないことが言えるDH

駒場東邦 小原先生

― Double Helix(以下DH)に、賛同して参加された理由を教えてください。

小原先生
駒場東邦だけは他の参加校と少し参加の仕方が違っています。他校は発案された巣鴨の岡田先生が各校を訪ねて理念を語り、それに賛同した各校の先生方が参加を決めましたが、駒場東邦は私が以前巣鴨にいて、岡田先生と長い親交がありました。岡田先生からDHの内容を聞いて、「こんな素晴らしいものに参加しないわけがない!」と、こちらから立候補したというのが経緯です。

― 小原先生が参加を決められたDHの「素晴らしいもの」とは?

小原先生
基礎知識があってこそ、次の高次の思考につながるといったDHの基本理念は、以前から岡田先生とよく話していました。「やたらと難しいことばかりを教え込むのは違うのではないか?基礎的な知識と高次の思考がリンクし、生徒自らが成長していくことが大切なんだ」と。

私は漢文が専門ですが、DHの基本理念は、孔子の言葉「学びて思わざれば則ち罔(くら)し。思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし」[『論語』為政編]、つまり「学んでも自分で思考しないと物事の本質がわからない。勝手に思っているだけでしっかりと学ばないと危ないことに走る」と同様だと思っています。私と彼にそういった共感するべきことがあったうえで、岡田先生がDHを提案してくれたので、私としては「駒場東邦もぜひ一緒にやりたい」とお願いしました。

山本先生
市川学園は他の参加校と同様で、岡田先生が直々に来校されてDHに関する話をしていただき、「これは面白そうなプログラムだ」と参加を決めました。DHの理念に共感して参加したのはもちろんですが、DHが始まって先生方の仲間になり、一緒に作らせてもらう中で見えてきた世界に、私自身は大きな魅力を感じています。所属の異なる教員団が一緒にDHを作ろうという姿勢は素晴らしいです。
また、生徒側にも衝撃は大きいはずです。生徒の参加のきっかけは、「オックスフォードやケンブリッジからすごい先生が来るらしい」といったものでしょうが、実際にDHやDHTMを受けると、それだけではない出会いがあります。例えば今朝の「Motivation Curve lesson」では、「一見成功した道だけを辿っているように見える人も、実はそうではない」と語られて、私自身が泣いてしまいました(笑)。岡田先生が言う「英語が理解できると、素晴らしい人の話をより理解できる」という喜びを共有しましたし、教科にあるからではなく英語を学びたいと思って学んでほしいという思いは、DHに関わる教員団の共通感覚です。

ただ、DHにおいて、英語力の高さや修得は重要事項ではなく、自分の一歩を踏み出して何かにチャレンジしたいという気持ちのある生徒であれば、「いつかこんなことをしてみたい」「あの大学で学んでみたい」というヒントをたくさんもらえる場所です。

小原先生
これまで岡田先生と何度も話し合ってきたのが、「僕たちのやってきた教育が合っていたのか」ということです。子どもたちがこれからの日本だけではなく、世界を支えていく人材になっていくのは間違いありませんが、我々教員に課せられるのは、どうしても大学受験の結果がクローズアップされます。大学入試に備えるために「間違えるな」と言い続けます。仕事として、生徒たちが希望する大学進学を叶えるために、そういった側面は必要ですが、それは我々が教員になってやろうとしていたことかと考えざるを得ません。

ところがDHでは、“Make mistakes.(間違えろ)”と言います。「どんどん間違えていい。それで学ぶことがたくさんある」と、教員として普段教えるときには言うことを躊躇してしまう、あるいはつい忘れがちな大切なことを堂々と言えるのです。その結果、私自身も学校の授業で生徒に「間違えていい」と平気で言えるようになってきました。そういった影響は、おそらく各校の先生の中で広がっていると思います。

山本先生
DHには、我々が各校に持ち帰って役立てる側面と、学校という枠を取っ払い「教育って何だろう?教員である我々は今、何をすべきなのだろう?」と考えられる側面があります。それらを持ち帰って、それぞれの現場で「何ができるだろうか」というマインドを持てる人たちの集まりがDHです。そしてこの教員団の特徴は、悪いところばかりを見ないこと(笑)。「ここはこうした方が良かった」とはっきり言いますが、失敗にとらわれず、お互いをサポートしようと考えられる人たちです。だからこそDHも進化していくのだと思います。

DHは人と人のつながり、人と人の対話

市川学園 山本先生

― DHに参加後の生徒に成長・変化は感じますか。

小原先生
「学べて楽しかった」という声は間違いなくあります。反対にDHTMに参加したからこそ医学部進学をやめた生徒もいました。医療に従事される先生方の真剣な問いかけによって、自分と向き合って判断した結果だと思います。それはそれで尊い学びであると思います。

また、最初のDH(オンライン)に参加した医学に興味を持った本校の生徒が、数年後の東北大学の医学部推薦入試の会場でDHに参加した他校の生徒と初対面した、というケースもありました。そのまま2人とも合格し、DHがつなぐ素敵な縁を感じました。昨年DHTMに参加した1人の生徒は、「もっと英語でいろんなことを学びたい」と、模擬国連のリーダーになって牽引していくようになりました。

― DHを経験した生徒の皆さんに期待することは?

山本先生
生徒たちはこれから先も、きっと苦労や失敗がたくさんあります。しかし、DHに参加したことにより、失敗や挫折を反対の方向に変えていくすべを学んでいます。講師の先生方が毎日のように自分の人生のアップダウンを語り、ダウンした後には必ずアップがある。それをどのようにアップさせるかが大切だと話してくださっています。5人の先生は違う生い立ちで、専門分野も違いますが、そこに一定の共通項があることに生徒たちは気づき、それを自分ごとにしていきますから、将来挫折したときに「自分は大丈夫だ」と思えるたくましさにつなげてもらいたいですね。

小原先生
生徒たちが今触れている世界は、画面越しが多いのですが、その裏側には必ず人が存在することを改めて意識してほしいと思っています。要は、世の中にはいろいろな思いを持った人がいて、世の中を動かしているのは「人」だということ。だからこそ、DHで人と協働作業をした経験、その中で感じたことや物の見方、人間同士が与える影響の大きさを、大人になっても忘れずに持ち続けてほしいと思います。

― 最後にDHへの期待、今後の展開を教えてください。

山本先生
改善点は常に生まれてきます。その時々に教員仲間で前向きに考えられるのがDHです。今8校の輪を、日本中に広げてそれぞれの地域でDHができたら面白いだろうとか、志を持った生徒たちと実際にイギリスに行き現地で体験をするのはどうかと考えています。簡単なことではありませんが、大変そうだからと妥協せず、何ができるのかを考えDHの他の先生とともに創り上げていきたいです。

小原先生
結局は人だと思っていますから、DHの理念にこだわることは大事だと思っています。つまり、形だけのプログラムにしないためにも、他校の先生同士が協力しようと思えるプログラムであってほしいし、理念の共感を担保しながら拡大していきたいですね。
DHは、海外からの講師陣、主役の生徒、教員団の3者が互いに刺激を受け合うものです。他校の先生同士が協力し合っている姿はとても教育的で、それを生徒たちも敏感に感じ取るでしょう。結局は人と人のつながり、人と人の対話です。今後も人の輪が広がっていくのが、DHの広がりだと思います。