全国の軽音楽部の中高生たちが、ステージ上の出演者と客席の応援団で一体となって参加するコンテスト「スニーカーエイジ*」で実質5位入賞の大阪府教育委員会賞を受賞したり、京都府高等学校軽音楽連盟春の合同演奏会でグランプリ(高校2年生バンド「コウテイサ」)を獲得したりと、めざましい活躍が続く大谷軽音楽部。入部は高校生からのため、多くの中学生が、学園祭やオープンキャンパスで先輩の演奏する姿に憧れを持って入部し、多くを先輩から学ぶそうです。部活としての学年を超えた団結力や絆を大事にしながら成長できる同軽音楽部を取材しました。
知りたい!

大 谷 軽 音 楽 部
  • 01
    バンド練習だけでなく
    パート練習で技術向上

    ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムなど各パートにわかれて演奏テクニックを磨いていくことも軽音楽部での大切な練習メニュー。個々の演奏力を高めることで、バンド楽曲もより魅力的になっていく。各パートのリーダーや副リーダーが仕切りながら練習を進める。
  • 02
    人間関係が大事!
    仲間の絆が音に出る

    メンバーの関係性や仲の良さが、そのまま音に表れることを実感している軽音楽部員。ときにぶつかり、ときに励まし合いながら、聴く人を感動させられる楽曲を完成させていく。
  • 03
    あんなふうに輝きたい!
    文化祭や新入生歓迎会
    で先輩にひとめぼれ

    部員の多くは、ステージでの先輩の姿に感動し憧れて入部。大好きな先輩から多くを学び、超えられるように日々頑張り続けることで、大谷軽音楽部の精神が受け継がれていく。
知りたい!

大谷軽音楽部

01
バンド練習だけでなくパート練習で技術向上

ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムなど各パートにわかれて演奏テクニックを磨いていくことも軽音楽部での大切な練習メニュー。個々の演奏力を高めることで、バンド楽曲もより魅力的になっていく。各パートのリーダーや副リーダーが仕切りながら練習を進める。

02
人間関係が大事!
仲間の絆が音に出る

メンバーの関係性や仲の良さが、そのまま音に表れることを実感している軽音楽部員。ときにぶつかり、ときに励まし合いながら、聴く人を感動させられる楽曲を完成させていく。

03
あんなふうに輝きたい!
文化祭や新入生歓迎会
で先輩にひとめぼれ

部員の多くは、ステージでの先輩の姿に感動し憧れて入部。大好きな先輩から多くを学び、超えられるように日々頑張り続けることで、大谷軽音楽部の精神が受け継がれていく。

知りたい!

大谷軽音楽部

01
バンド練習だけでなく
パート練習で技術向上

ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムなど各パートにわかれて演奏テクニックを磨いていくことも軽音楽部での大切な練習メニュー。個々の演奏力を高めることで、バンド楽曲もより魅力的になっていく。各パートのリーダーや副リーダーが仕切りながら練習を進める。

02
人間関係が大事!
仲間の絆が音に出る

メンバーの関係性や仲の良さが、そのまま音に表れることを実感している軽音楽部員。ときにぶつかり、ときに励まし合いながら、聴く人を感動させられる楽曲を完成させていく。

03
あんなふうに輝きたい!
文化祭や新入生歓迎会
で先輩にひとめぼれ

部員の多くは、ステージでの先輩の姿に感動し憧れて入部。大好きな先輩から多くを学び、超えられるように日々頑張り続けることで、大谷軽音楽部の精神が受け継がれていく。

軽音学部profile
  • 創部:2004年
    部員:65名(高1:41名、高2:24名)
    *高校生から入部可
    *定期演奏会(夏・冬)、文化祭、新入生歓迎コンサートなど1シーズンに1回は全バンドが発表。外部の演奏会やコンテストにも積極的に参加している。
    *現在の部内のバンド数は15

    大谷軽音楽部に人気のバンド
    ONE OK ROCK/SCANDAL/クリープハイプ/ヤバイTシャツ屋さん/東京事変/SHISHAMO/back number/UNISON SQUARE GARDEN/ 04 Limited Sazabys/WANIMA
軽音学部profile

創部:2004年
部員:65名(高1:41名、高2:24名)
*高校生から入部可
*定期演奏会(夏・冬)、文化祭、新入生歓迎コンサートなど1シーズンに1回は全バンドが発表。外部の演奏会やコンテストにも積極的に参加している。
*現在の部内のバンド数は15
大谷軽音楽部に人気のバンド
ONE OK ROCK/SCANDAL/クリープハイプ/ヤバイTシャツ屋さん/東京事変/SHISHAMO/back number/UNISON SQUARE GARDEN/ 04 Limited Sazabys/WANIMA

寺尾さん [高校2年/バタビアコース]副部長・ヴォーカルパートリーダー「コウテイサ」ヴォーカル
鈴木さん [高校2年/インテグラルコース]部長・ドラムパートリーダー「感覚リミット」ドラム・バンドリーダー
藤岡さん [高校2年/バタビアコース]副部長・ドラム副パートリーダー「Crisis Waltz」ドラム
小川香織先生 [軽音楽部顧問・国語科]
信頼し合っているメンバーで作った音を聴いてもらいたい
― 軽音楽部入部の理由を教えてください。

寺尾さん 私は運動部に入ろうと思っていたのですが、鈴木さんと新入生歓迎会のライブに行ったときに先輩たちのバンドを見て自分もあんなことができたら楽しいだろうなと思ったことと、自分を表現するのに最適だと思ったので入部しました。パートは、歌に自信があったのでヴォーカルを希望しました。入部したら先輩たちがカッコ良くて、教えてもらうことがたくさんあり、マネできるところは全部マネしてきたので、すごく成長できたと思います。

鈴木さん 私は中学3年のときにオープンキャンパスで軽音楽部のライブを見たんです。そこでひとめぼれして、軽音楽部に入りたいから大谷に入学しました。入部したら中学生のときに持っていたイメージとは全然違って、いっぱい大会にも出させてもらえますし、いい思い出がたくさん作れて、ザ青春という感じです。ドラムは全くの初心者でしたが、先輩のドラムを見て憧れたし、最初にいろんなパートを回ったときにドラムが一番楽しかったんです。自分の肌に合っていたので選びました。

藤岡さん 私は中学からの内部生ですが、マスターコースは2クラスしかなく人数も少ないんです。友達が限られていたので高校からは違うコースの友達も欲しいと思い、部員がたくさんいる軽音楽部を選びました。でも、バンドを組むことになったら知っている子は1人もいなくてどうなるかと思ったのですが、ドラムを親身に教えてくれる友達やにぎやかな友達が増えていって、続けられました。

― 人数が多いだけに、バンドを組むうえでのパート決めや部員同士の相性など、いろいろ大変そうですね。

小川先生 苦労はありますね。パートはまず体験入部の期間に各パートを回り、先輩に話をきいてもらって、最後に本人の希望を聞いています。全員の演奏を聴いて、なるべく全員初心者にならないようにとか、全員が経験者にならないようにと配慮はしますね。同学年の知らない生徒同士の交流の場でもありますから、仲良しで固まりすぎないようにも考えます。6月ぐらいにバンドを決めて、その後は基本的に同じメンバーでやっていきます。

― バンドの音楽性や人間関係の難しさを感じたことはありますか。

寺尾さん 私のバンドは、これまでメンバーチェンジが3回ぐらいあったんです。お互いの性格ややりたい音楽の方向性が合わなくてなかなか進まなくて苦労しました。演奏は間違えていなくても、やっている方が楽しくなければ意味がないし、聴いてもらっている人たちにも信頼し合っているメンバーで作った音を聴いてもらわないと申し訳ないので、人間関係は本当に大事です。うまい下手ではなく、そこをきちんとやらないと音に出てくると思います。

鈴木さん 私のバンドもメンバーチェンジがあって苦労はあったのですが、変わってからみんなの方向性がそろってきました。今はオリジナル曲を制作していて、自分たちのバンドの色を表現できるようになったかなと思っています。やっぱり音は素直で、バンドに何かあると誰かの音だけが浮きますから、気持ちの統一は大事です。

藤岡さん 私のバンドは最初からメンバーが一切変わっていないんです。オリジナル曲も作らず、結構のんびりと楽しんでやっています。音楽の趣味はそれぞれ全く違うのですが、このバンドに合っていると思う曲はすぐに決まります。自分たちのバンドの色がよくわかっているのは嬉しいです。

― 小川先生は、部員たちの人間関係や音楽的な方向性の悩みを抱える様子を見て、成長を実感されるのでしょうか。

小川先生 だいたいどのバンドも高校3年になると確実に成長して良いバンドになっていきます。だからメンバーチェンジも徹底的に話し合いをしてもらって、どうしてもダメなときにだけ変えています。そういうぶつかり合いも経て、人としても音としても磨かれていくと思うので、無駄な時間にはなっていないと思いますね。

音楽だけができてうまくなっても仕方がない。
縦にも横にもつながりを作りコミュニケーション力を磨く
― 小川先生ご自身が指導するうえで大切にされていることは何ですか。

小川先生 これだけ人数がいるので、部員同士が縦横につながっていくことが大事かなと思っています。うちは担当バンドというシステムがあって、1年生がバンドを作った当初は2年生のバンドが指導やお世話をします。何か行事があるときは、会場を整備する係など1・2年生合同で係を全部決めて、1人1役は裏方の仕事もやってもらっています。やはり音楽だけができてうまくなっても仕方がなく、縦にも横にもつながりを作る中でコミュニケーション力を磨いてほしいですね。部員数が多いので集合できる部屋も限られていますが、クラブの開始時間には集合してミーティングを行い、そのあとにパート練習をするなど、なるべく全員が顔を合わせる機会は増やしています。

― 軽音楽部の部員のつながりや団結を感じることは多いですか。

鈴木さん バンドはお互いライバルですが、みんな向上心があって、縦でも横でも尊敬し合えます。それが軽音楽部の良さですね。

寺尾さん 後輩たちは自分たちから先輩に話かけるし、先輩も壁なく話しかけています。私たちが高1のときの先輩も、すごく優しくて面白くて大好きでした。いつも声を掛けてくれたり、支えてくださったりして、それが軽音楽部に受け継がれています。

藤岡さん 同じコースの1つ上の先輩が6、7人いて、勉強と部活の両立が大変なのにすごく頑張られていて、私にもいろいろアドバイスしてくださいました。だから後輩の中には「勉強が大変で」と言ってやめる子もいるのですが、勉強のせいで好きな部活をやめてほしくないし、それは私自身も伝えていきたいです。

― 先生にアドバイスしてもらったことで印象的なことはありますか。

寺尾さん 私がスニーカーエイジの予選会の規定曲のメインヴォーカルだったのですが、すごくかわいい曲だったので私の声に合っていなくてすごく不安だったんです。そのときに小川先生が「声がいいから選んだ」と言ってくれて、その後の気持ちや取り組み方は大きく変わりました。

鈴木さん 先生がバンドで活動されていることで、オリジナル曲を作るときもたくさんアドバイスをいただけるんです。具体的なことを教えてもらえてありがたいです。

藤岡さん 舞台発表の前には必ず部員全員の前で演奏を聴かせて、意見を聞くんですね。そのときに先生は包み隠さずダメ出しをしてくれるし、音楽の先輩だからその内容に説得力があります。特にヴォーカルのことはたくさん意見を出してくれるので、うちのバンドのヴォーカルは1年生のときよりすごく伸びました。

先輩を超えたくて頑張ったら
後輩がさらに超えたいと頑張る
― スニーカーエイジは部が一体になる大会のようですが、どういう楽しさや大変さがあるのですか。

鈴木さん 私は演奏メンバーのリーダーだったんです。スニーカーエイジのメンバーは技術面は高いのですが、そのぶん個性が強くてまとめるのが大変でした。ただ、団結力がなければ高いところを目指せない大会なので、演奏面は厳しく、それ以外の面でもトラブルがあったら早く解決して音に出ないようにしました。応援団とのコミュニケーションも大事なので、曲に対する思いを書いて応援団に渡しました。

寺尾さん 舞台に立ったら、大谷の応援の声だけが耳に入ってくるんです。お互い頑張ってきたことを一緒に出そうねという合図だと思ったので、みんなで100%出し切り、賞もいただきました。プレッシャーはあったのですが、支えてもらっている感じがすごく伝わって頑張れました。

藤岡さん 私は応援団で、1つ下の代が最初は50人ぐらいいたので大所帯をまとめることが大変でした。大会には入れる人数が決まっているので、応援団メンバー選びも苦しかったです。ただ、演奏メンバーの演奏練習を見ていたらその必死さに涙が出てきて、こちらも頑張ろうと思えたし、応援団を見ていたらすごく頑張れると言ってくれたのも自分たちの支えになりました。演奏と応援団の点数を足しての合計点で争うので、こっちが絶対に足を引っ張れないと思ってとにかく夢中で頑張りました。

― やはりこれだけ一体になれることに、この大会は価値があるのでしょうか。

小川先生 ものすごくあると思っています。応援も点数に入ることに本校の場合はすごく意味を感じていて、絆も深まる良い機会であり、欠かせない年中行事になっています。

― お話を聞いているとまさにザ・青春のクラブだなと思いますが、小川先生としては今後挑戦していってほしいことはありますか。

小川先生 やはり自分の表現を磨いてほしいので、オリジナル曲をどんどん作っていってほしいですね。3年生になったらどのバンドも作り始めるんですが強制はしていないんです。ただ、できれば自分の表現を作って卒業してもらえたら嬉しいです。

― 部員の皆さんが軽音楽部の後輩に受け継いでいってほしいものは?

鈴木さん この2年で軽音楽部のレベルがすごく上がっているなと思うんです。それを実感できたのは、スニーカーエイジで私たちの代が予選会を1位で突破してベストサポーター賞も受賞できたからです。それは大谷軽音楽部が初めて獲れたものだったんです。だから後輩たちにも、過去の先輩方や私たちを超えて、向上していってほしいし、そのプレッシャーを感じるだけでなく3年間の部活を思い切り楽しんで、この部活にいて良かった!と思って引退してほしいです。

― 軽音楽部が進化している理由はなぜでしょうか。

藤岡さん 私たちが先輩を超えたくて頑張ったら、後輩がさらに私たちを超えたいと頑張るんです。どんどん階段が高くなっているように思います。代々受け継がれてきた先輩方の情熱を軽音楽部に入ったからには受け継いでいきたいという思いは部員みんなにありますから、これからもっと進化していくと思います。