― Profile ―
校長 江口 宗茂 先生
大手学習塾で20数年に渡り組織運営や事業開発を担当。
退社後、教育コンサルティング会社を立ち上げ、塾から見た視点で学校法人改革をサポート。
2012年より私立の中高一貫校で校長を務め、2017年に帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校に着任。
同校副校長を経て2018年4月より校長として指揮を執る。
TEACHER INTERVIEW
進学力と人間力を伸ばす教育は
次のステージへ
個々の教員の力を
同じベクトルに導き、
大きなエネルギーに
変えていく
― かつて教育コンサルタントの立場で貴校をサポートされていたとお聞きしました。
江口校長大手学習塾を退社後、教育コンサルタントとして学校法人改革のアドバイスを行っていました。その時に本校とご縁があり、2009年から2012年まで生徒募集や入試対策の業務に携わりました。
― 校長として学校に入り、指揮を執る立場になりました。
感じられている帝塚山学院泉ヶ丘校の可能性とは?
江口校長ポジティブに感じていることはたくさんあります。その中でまず挙げたいのは、個々の教員が持つポテンシャルの高さです。一人ひとりが理想を胸に、「こういう教育で生徒を成長させたい」という気持ちで日々奮闘しています。
本校は今年で設立36年を迎えます。かつて新任だった先生方はベテランの域に入り、若い世代の教員は「これからは自分たちが泉ヶ丘校を担っていく」という気概に満ちています。そこに大きな可能性を感じます。
― その中で江口校長が果たされる役割は何でしょう?
江口校長世代交代の新陳代謝が進む中で、熱意あふれる個々の教員の力を上手く結集できれば大きなエネルギーになる。しかし逆に、若さゆえ思いのままに走ってしまうとバラバラになるでしょう。そうならないように、「すべては生徒のために」という一つのベクトルに導くことが私の使命の一つです。
― 帝塚山学院のブランドを守りながら、今後貴校が目指す教育があるわけですね。
江口校長本校の生徒は育ちが良くとても上品で、まさに“帝塚山学院”のブランドを纏うに相応しいと感じています。しかし、長い人生、物事がすべてストレートに進むことはありませんから、生徒はこの先必ず失敗や挫折を経験するでしょう。そのときに自分自身や周りとどう向き合って前に進むのか、いわば生きていく上で必要な人間力を養うことは学校教育が担う大きな役割です。
私は『やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ(山本五十六)』の言葉を座右の銘に刻んでいます。生徒に挑戦させるならまずは大人が、学校であれば教員が、ご家庭であれば親御さんが行動し、その姿を見せることが大事です。
教育は人なり。
大人との出会いを通じて
生きていくことの
“リアル”を感じてほしい
― 校長に就かれ、何か新しい取り組みは始められましたか。
江口校長教育は人なり。人は人から影響を受けて成長します。ですから生徒には良き大人や指導者と多く出会える機会をできるかぎり与えてあげたい。そこで私は校長就任後すぐに、幾多の困難を乗り越えて活動していた登山家の栗城史多さんを訪ね、講演会を依頼しました。しかし快諾いただいた後の今年の5月、9度目の挑戦となったエベレストで不幸なことに帰らぬ人になりました。非常に残念でしたが私も落ち込んでいられませんので、ゆくゆく講演会にお招きしようと思っていたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんにお願いし、11月に来校いただく運びになりました。
― そうした人との出会いを通じて生徒に感じてほしいことは?
江口校長失敗や挫折を経験したときにどう立ち直るのか、そういう教育の必要性を切に感じています。立ちはだかる困難にどう向き合い、人は生きていくのか。その“リアル”を実感すれば触発されることもあるでしょう。そこから物事に立ち向かう正しい姿勢や考え方を身につけてほしいです。
― 貴校はこれまでもキャリア教育を通して人間力の育成に力を入れてきました。
江口校長今回の講演会は私自らが企画しましたが、来年度からは新しい部署を設けるなどで継承できればと。もちろん、従来のキャリア教育、例えば留学生と交流する「生活合宿」、有名大学やOBOGが勤める企業を訪ねる「東京研修」なども実施していきたく思っていますが、今後はもう少し体系立てた形で生徒に学びの場を提供していくつもりです。各学年でイベント的に実施して、そこで終わりだと意味がありません。中3で体験したことを高1でどう生かし、さらに次の学年にどう結びつけていくのか、つながりを実感できるキャリア教育のグローバルデザインを再構築していきます。
帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校のさまざまな取り組み
帝塚山学院泉ヶ丘中学校
高等学校のさまざまな取り組み
- 中3オーストラリア語学研修
- 中1 コンピューター部ロボットチーム
- 文化講演会
- 東京研修
生徒と教員の出会いを
演出することも、
校長の役割の一つ
― ここ数年、貴校を志望する理由に大学進学実績を挙げられる方も増えています。
江口校長2018年度の国公立大学と医学部・歯学部系大学の合格者数は合計100名を超えました。そうした実績が評価され、本校を志望してくださるのは大変光栄です。同時に、期待の表れを感じます。ですから、今後さらに期待に応えられるように進路指導部のあり方を今一度見直す必要があると感じました。
昨年までは部長一人による指導体制でしたが、今年度から公立高校と私立高校から進路指導部のトップを迎え、さらに予備校からもスペシャリストを招いて4人体制に改めました。情報収集力と分析力を高めた、より専門的な進路指導で生徒を導きます。
― 2020年の新しい大学入試対策に向けた取り組みはいかがでしょうか。
江口校長保護者の方からも新大学入試について質問を受けますが、個人的には飛び交う情報に踊らされてはいけないと思っています。現に多くの大学がそのあり方を検討しており、具体的な入試方針の決定には至っていないわけですから。
ただ、文部科学省がいう非認知能力を問う入試が実施される場合でも、それに対応するためには必要最低限の認知能力、つまり中学・高校で備えるべき学力知識は当然必要です。ですから、慌てずに、そうした学力を確実に身につけることが大切です。そこは抜かりなく指導します。
ー 最後に、在校生ならびに貴校へ入学を希望される方にメッセージをお願いします。
江口校長先ほどの“教育は人なり”の話にも通じますが、やはり生徒は人との出会いで大きく成長します。そういう意味においては、生徒と教員との出会いも大切な要素ですから、校長としてその演出にも尽力したいと考えています。
私は情熱はもとより『学科力』『授業力』『ホスピタリティ』という3つの軸で教員を見ます。進路指導や大学入試対策の授業には『学科力』や『授業力』を備えた教員が必要で、フレッシュな中学生の指導には若い教員の『ホスピタリティ』が欠かせません。入学して間もない中学生にまず影響を与えるのは先生ですから、特に中1のクラスはできるだけ若い世代の教員を担任にしたいと思っています。多少荒削りなところはあるでしょう。しかし、失敗を恐れずに、先生と生徒が一緒になって様々なことに挑戦できる環境をぜひ提供したい。もちろんベテランの教員団も副担任などの立場でバックヤードから支えます。学校内でも、学校の外でも、生徒が前向きになれる“人との出会い”を積極的に演出していきますので本校にぜひ期待してください。