キリスト教に基づき「愛と奉仕の精神で社会に貢献する人間の育成」を教育方針に掲げる大阪女学院中学校・高等学校。明るさや思いやりと共に、困難に打ち勝ち自立する強さをもつ女性を輩出してきました。そんな生徒たちの代表として、様々な行事や業務に取り組んでいるのが生徒会のメンバーです。生徒会で役員を務めるメンバーと顧問の高橋先生に、その活動内容や大切にしている想いをうかがいました。

大阪女学院中学校・高等学校 生徒会

全校生徒から選挙で選ばれた役員を中心に、1年間を通して様々な学校行事を企画・運営。生徒会には会長、書記、会計の「三役」を中心に、運動総部長、文化総部長、宗教総部長があり、さらにそれぞれに副部長がついている。

体育祭
体育祭

体育大会や文化祭、公開クリスマスなどは中高の生徒会が合同でとりしきっている。また校内のクラブの予算をたてるのも生徒会の重要な仕事だ。

生徒主導の生徒会だから、責任と
やりがいがある

インタビュー写真

STUDENTS & TEACHER INTERVIEW

   
――生徒会に入ろうと思ったきっかけについて教えてください。
Rさん(中学3年・中学生徒会会長) 中学校の生徒会選挙は1月にあるのですが、ちょうど中1のその頃、私は習い事が忙しくて時間に余裕がなく、選挙に参加しなかったんです。でも中2で習い事をやめて時間ができ、打ち込めるクラブに入ろうかなと思っていたところに、高橋先生とBさんから誘ってもらったことがきっかけになりました。
Bさん(中学3年・中学生徒会書記) 私は選挙を経て中1の3学期から生徒会に入りました。中1のクラス担任が高橋先生で誘ってもらったことと、他のクラスメートも何人か入りたいと言っていたので、高橋先生とその子たちに引っ張ってもらったような感じです。
高橋七補子先生(生徒会顧問・国語科) この2人については、スカウトしようとずっと狙っていたんです(笑)。
Rさんは同学年の生徒たちからすごく信頼されていること、非常に行動力があることが生徒会に向いていると思ったんですね。会長となると生徒たちからの見る目が厳しくなるのですが、Rさんならきっと大丈夫だと教師間でも意見が一致しました。
Bさんを誘った理由は、とにかく冷静に、怒らずに他人の意見を聞いて対応できるという長所があったからです。本校の生徒会はお飾りではないので、生徒会が生徒たちを引っ張っていきますから、場合によっては同学年同士で間違いを指摘しなければいけないときもあります。そんな場面で、ついカッとなった生徒から心ない言葉を投げつけられることもありますが、Bさんはそれを受け止めて流せるタイプなんです。
体育祭

生徒会が企画・運営する中高合同の体育大会。伝統の応援合戦や白熱する競技など、大阪女学院生らしさにあふれる1日を支える。

――実際に生徒会に入った感想はどうでしたか。
Rさん 覚悟はしていましたが、予想以上に忙しかったです。特に体育大会や文化祭など大きな行事の準備は大変ですね。大阪女学院はテスト期間の1週間前から生徒会の活動はできない決まりがあるので、生徒会の仕事も勉強もちゃんと計画を立てて進めないと大変です。
Bさん 私は生徒会の活動後、家に帰ってからその日に勉強したことは、その日のうちに理解するようにしています。テスト期間にやる勉強を、前倒しで毎日やっているという感じです。
――時間の使い方が上手になりそうですね。
Rさん そうですね。生徒会は生徒の代表としての責任があるのできちんとやり遂げないといけないし、もちろん勉強も手は抜けないので、両立はうまくなったと思います。そこは成長できているかもしれません。
Bさん 勉強との両立以外では、生徒会に入って目的を持って取り組めることで、自分の居場所ができたと感じました。それは大きな変化だと思います。
体育祭
高橋先生 スケジュール管理は嫌でもうまくなりますね。例えば文化祭の準備や運営で企画書を3回くらい出してもらうのですが、提出までの期限が1週間ということも珍しくありません。彼女たちが無理となると学校全体の行事が止まってしまうので、そこは本当に頑張ってくれています。

中3は中間管理職?
大変だけれど得るものは大きい!

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――生徒会では先生方をはじめ、高校生の先輩、同級生、後輩など多くの人と関わると思うのですが、うまくやっていくコツはありますか。
Rさん 例えば後輩なら、意見はちゃんと聞きつつも慣れ合いにならないよう、適度な距離感は意識しています。
Bさん 先輩は当然ですが、同級生や後輩にも敬語で話すようにしています。相手に敬意を払いたいと思っているので、ほぼ自然にそうなってしまいます。
高橋先生 中3の彼女たちはいわば中間管理職のようなポジションで、先輩と後輩の間に立って物事を進める立場です。それゆえの苦労も多くて、先輩からは後輩に対する指導力不足を叱られ、後輩からは「先輩たちの考え方がわかりません」と詰め寄られる。状況によっては生徒と教師に挟まれることもあるので、本当に大変だと思います。
文化祭

各クラスやクラブで楽しい催しが行われ賑わう文化祭。生徒会の生徒たちは、裏方で大忙し!?

――大変そうですが、ストレスがたまりませんか
Rさん たまります(笑)。同級生や後輩は生徒会で毎日会うのでギクシャクするときもあるし、先輩から私たちがやっていないことで怒られることもあります。でも、そのストレスを先生や同級生と相談して、みんなでうまく仕事ができる雰囲気を作れるように頑張っています。いったん仕事を離れたら、コース選択や今後の進路について先輩と話したりもできるので、その空気は大切にしたいです。
Bさん 私はあまりストレスを感じていないです。
高橋先生 それはBさんの才能だと思います。柔らかく包んでくれる穏やかさで、生徒会のお母さん役と言われていますから。
とにかく生徒たちは、生徒会活動を通して、人間関係がうまくいっていなくてもやり通す力、何かを達成するために人間関係を改善していく力をつけていきます。そういった力は普通の学生生活を送っているだけでは、おそらくつかないでしょうね。それと自分で考え、意見をきちんと表現できる力もつきます。中学、高校とどんどん強くなっていく姿は頼もしい限りです。

生徒から出たナマの意見を、
客観的に精査するのが
生徒会の役割

インタビュー写真
――生徒会では、生徒の意見のとりまとめや先生に何かを提案する際に、どんなことに注意していますか。
Rさん 例えば体育大会の競技種目や文化祭の出し物などについて、生徒から「来年は新しい方法をやってみたい」という要望が出た場合、生徒会は決定する前にメリットとデメリットをきちんと考えるように注意しています。
Bさん 体育大会の競技は、生徒会と生徒が賛成しても、先生に認めていただけないことが多いです。ケガをする恐れがあるとか、危険性が高いものなどは基本的にダメです。でも借り物競争はOKが出たので、やった!と思いました。
体育祭

文化祭も生徒会が企画・運営。来場者や生徒たちの心に残る思い出づくりのために、中心になって頑張る

――高橋先生は顧問として生徒会の皆さんを見守りつつ、教師としての立場から物事を見なければいけない場合もありますね。どのように切り替えていらっしゃるのでしょうか。
高橋先生 できる限り生徒たちの意見を通してあげたいと思っていますが、彼女たちの主張していることが大人の世界では通らない理屈であることもしばしばです。私はそれをそのまま先生方にぶつけないよう調整する役だと思っているので、生徒たちには「私を納得させられないような意見が、他の先生方に通ると思わないように」と伝えています。
逆に教師側の意見より彼女たちの言っていることが正しい、または私が納得できた意見については、とことん生徒の味方になろうと思っています。

大阪女学院には生徒が

「素」を出せる、

自然体で愛される環境がある

インタビュー写真
――生徒会活動をしている2人から見た、大阪女学院の魅力について教えてください。
Bさん 共学だと男子の目が気になって本気を出せないこともあると思うのですが、大阪女学院なら行事も勉強も、メリハリを好きにつけ、自分らしくやりたいことに本気を出せます。自分の素を出せる学校ですね。
Rさん 皆、個性がとても豊かなのですが、1人ひとりの違いをお互いに認め合っているところがすごいと思います。国籍やバックグラウンドや趣味などにとらわれず、みんなが個人の素晴らしいところを見つけ合える関係が育っているところが、大阪女学院の大きな魅力です。
高橋先生 本校の生徒はみんな、素のままの自分を認められた、愛されたという感覚をもって卒業していきます。だから何か辛いことがあったらここに戻ってくる卒業生がとても多いですね。不思議なのですが、おそらく130年の歴史の中で関わってきた先生や卒業生、みんなの力がそういう学校であれと働いているのでしょうね。
――では最後に、高橋先生から今後の生徒会への期待をお願いします。
高橋先生 古いことの良さを見直した上で、新しいことを提案できる生徒会になってほしいです。無駄に思える古い規則も、何十年という中で試行錯誤を経て残っているものなので、その規則のメリットとデメリットの両方を見て結論を出せるようになってもらいたいのです。本校の生徒は現状を変えていく力があると私は信じているので、その生徒たちの代表だという誇りをもって、時代の流れに乗った、もっと生徒が楽しく行事に参加できるような変え方を発案してほしいと期待しています。