夏季研修 in 小豆島夏季研修
夏季研修 in 小豆島実験テーマ
化学薬品の危険性<第1実験> 16:30~18:10
薬品の怖さを知り、薬品の正しい扱い方を知る!
強烈な刺激臭を放つ気体のアンモニア(NH3)、瞬間的に黒く焦げる液体の硫酸(H2SO4)、爆発を引き起こす個体の塩素酸カリウム(KClO3)を用い、薬品を取り扱う時の正しい知識や危険性について学習。生徒は各薬品の反応を実際に自分の目で確かめ、臭いを嗅いだりしながら体験的に学ぶ。
100万年前の昆虫探し<第2実験> 8:30~10:00
化石の学習を通してジュラシックパークの世界を体験!
天然樹脂の化石である琥珀を耐水サンドペーパーや液状コンパウンドで磨き、どのような種類の虫が閉じ込められているのかを調べる。琥珀はそれぞれで硬度が異なるため、研磨後すぐに透明になるものもあればそうでないものもあり、すべてが一様でないことも学ぶ。
牛ガエルの解剖<第3実験> 10:20~11:50
生き物を解剖して体の仕組みを知り、人体・命の理解を深める!
解剖は牛ガエルに麻酔をかけることからスタート。エタノールを染み込ませた脱脂綿と一緒にガラス容器に閉じ込め、数分後、昏睡状態になったことを確認すると、大・中・小の解剖ばさみ、分離針、ピンセットを用いて解剖を進めていく。牛ガエルは各班に一匹与えられる。
花火の製造<第4実験> 13:00~14:30
手作り花火で、金属が燃える時の炎色反応を確かめる!
塩素酸カリウム、硫黄、炭素粉、塩化バリウム、硝酸ストロンチウム、マグネシウムといった花火の原料となる薬品を上皿天秤と分銅を用いて正確に分量をはかり、薬品さじを使って和紙に包み込む。夜、生徒は自ら作った花火を楽しみながら、どのような色の炎があらわれるのかを確かめる。
LEDを活用した光の色の性質<第5実験> 14:50~16:20
光源の移り変わりを知り、光の色・性質への理解を深める!
火を使って灯りをともしていた時代を振り返りながら、ロウソク、白熱電球、蛍光灯、LEDへと進化した光源の歴史を学ぶ。細いロウソクと太いロウソクで炎の大きさは違うのか、白熱電球を割ってフィラメントの状態で灯りをともすとどうなるのか、などの実験も行い、最後はLEDを使った電灯づくりに挑戦。
テルミット反応(酸化と還元)<第6実験> 16:40~18:10
酸化鉄から酸素を奪い取る反応を、アルミニウムの還元剤で試す!
テルミット反応とは、還元剤のアルミニウムを用いて金属(酸化鉄)から酸素を奪い取ること。酸化鉄とアルミニウムを混合させて燃やすと、結合していた酸素が剥がれる反応が起きて鉄ができ、アルミニウムは酸素と結びついて酸化アルミニウムになる。そのプロセスを先生の演示実験を通じて学ぶ。
夏季研修 in 小豆島Students Interview
自然豊かな小豆島だからこそできる
多様な理科実験に興味津々!
解剖後も心臓は動いている!
夏季研修に臨むにあたり、一番楽しみにしていた実験は何ですか。
Tくん牛ガエルの解剖を一番楽しみにしていました。小学校時代を含め、理科の実験で生き物を解剖した経験がなかったので、今回の研修で生命の仕組みを学びたいと思いました。
Mさん私も同じです。興味をもって臨みましたが、麻酔をかけて動かなくなった牛ガエルを前にすると、少しひるんでしまう自分がいました…。
実際に解剖して、どのような驚きや発見がありましたか。
Mさん取り出した心臓は生理食塩水に浸けたあともしばらく動いていました。その様子を見ると、本当に数分前まで生きていたのだとあらためて実感しました。
Tくん脊髄反射の実験も衝撃的でした。背中の下にある坐骨神経に電流を流すと反射で両足がビクンと伸びるので、体の中の組織はすごいと思いました。
生物以外の実験で特に印象に残ったものはありますか。
Tくん テルミット反応の化学の実験です。アルミニウムを還元剤にして酸化鉄から酸素を奪い取るのですが、反応時には必ず爆発が起きます。学校ではできない危険を伴う実験だからこそ、みんなドキドキしながら観察しました。
Mさん私は花火づくりが興味深かったです。見た目に違いのない火薬(硫黄、炭素粉、鉄粉など)を上皿天秤で量って和紙で包む時は、どんな色の炎になるのか想像できませんでしたが、夜にみんなで花火をするとちゃんと色が変わったので驚きました。
Tくん他には琥珀の化石に閉じ込められた太古の虫を探し出す取り組みも面白かったです。先生が事前に『ジェラシック・パーク』の映画の話をしてくださったことで、ワクワクしながら琥珀を磨きました。
Mさん私が磨いた琥珀はとても硬かったので、なかなか透明になりませんでした。残念ながら昆虫は発見できなかったけど、同じように見える琥珀でもいろいろ違いがあるのだとわかりました。
普段の学校以上にみんなが協力
夏季研修は入学して2ヶ月後に行われました。その雰囲気は?
Tくん4月の学習合宿は入学してすぐだったので、生徒同士で様子を見ている感じでした。でも夏季研修は6月なので、クラスのみんなが仲良くなっていて、移動のバスの中も、実験中も常に活気がありました。
Mさん夏季研修では5~6人が1つの班になって実験を行いますが、その際、普段の学校以上にみんなが協力する姿勢をもって行動していると感じました。
滞在中、実験以外ではどのような取り組みをしましたか。
Tくん夕食後に自主学習の時間があったので、その日に体験した実験の内容をあらためて振り返りながら記録をつけました。
Mさん3日目の朝は『二十四の瞳』の映画村を全員で見学しました。実験も、リクリエーションも、友だちと寝起きを共にしたことも、すべてが楽しかった2泊3日でした。
夏季研修を終えて、自分が成長したと感じることは?
Mさん理科がそれほど得意ではなかったけれど、自ら手を動かす実験を通してリアルな反応を自分の目で確かめられたことで、「理科って面白い!」と思えるようになりました。
Tくん僕はもともと理科が好きで、特に生物に興味をもっていましたが、夏季研修でいろいろな実験を経験したことで化学の分野も楽しいとわかりました。
最後に、入学して感じる大阪桐蔭のよさを教えてください。
Tくん 勉強は毎日の課題や週末課題があって忙しいけれど、そのすべてに先生がちゃんと関わってアドバイスをしてくれるので、本当に面倒見がいい学校だと感じています。
Mさん夏季研修のような合宿があったり、他にも学校行事がたくさんあったりするので、そのたびに友だちと盛り上がれます。そこが一番の魅力で、まだ経験していない行事が今から待ち遠しいです。
夏季研修 in 小豆島Teacher Voice
仲間と一緒に実験することで
生徒たちは自分の役割を自覚
夏季研修は、およそ30年前の中学開校時に始まった伝統的な理科のプログラムです。教科書だけではピンと来ない内容も、自ら実験に携わることで学習の目的や意図をより明確に理解でき、何より理科を学ぶ面白さが実感できます。また、6人ほどの班で実験を行うため、個々の生徒が自分の立場や役割を認識でき、物事を前に進めるには仲間との協力が必要だと気づきます。
さらに、実験を通して歴史的なことを学べるのも良い点だと思います。過去の戦争ではテルミット反応を利用して焼夷弾が作られ、武器として使われていた事実を知ると、化学を決してそのような目的で利用してはいけないと認識できます。
2泊3日で実験に臨んだ生徒たちは、常に好奇心に満ちて実にイキイキしていました。学校でも実験演習という授業を毎週行いますが、夏季研修では時間にゆとりがある分、生徒はなおのこと余裕をもって楽しく取り組めたようです。来年以降も“生徒ファースト”で実験内容をマイナーチェンジさせながら、理科に対する好奇心と協力・協働の姿勢をしっかり育める夏季研修に進化させていきます。