武庫川女子大学附属中学校・高等学校

グローバルな視野と国際感覚をまとい、いざ、自らデザインした未来へ!

発見!私学力
武庫川女子大学附属武庫女武庫川先生インタビュー国際交流グローバル研修短期交換留学中学受験私立中学兵庫関西女子校

武庫川女子大学附属中学校・高等学校 グローバルな視野と国際感覚をまとい、いざ、自らデザインした未来へ!
武庫川女子大学附属中学校・高等学校 グローバルな視野と国際感覚をまとい、いざ、自らデザインした未来へ!
国際交流をベースにした体験的な学びに力を入れ、ボーダーレスの時代に求められるグローバルな素養を養う武庫川女子大学附属中学校・高等学校。異文化理解力や語学力を高める「グローバル研修」と「短期交換留学」は、コロナ禍明けの再開を機にバージョンアップがなされ、訪問する国や地域、協定校の拡充が図られました。企画を担当する田辺瑞歩先生は、同高校・大学の卒業生。今後目指すべき国際交流や教育のあり方を、OGとしての愛情を交えた英語教諭の視点で語っていただきました。

武庫女の「国際交流」

グローバル研修・各種留学

国際交流

グローバル研修◎隔年で行き先を変えて2週間程度訪問

<中学/中2・中3生対象> アメリカ、タイ
<高校/高1~高3生対象> オーストラリア、北欧(デンマーク・スウェーデン・フィンランド)

短期交換留学・長期留学◎短期交換留学は約3週間滞在

・海外協定校/6カ国7校で実施(アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・フィンランド・タイ)
・学力等、一定の条件を満たせば長期留学(1年)も可能

Teacher Interview

企画・探究部 部長 田辺 瑞歩 先生

KEY WORD

異文化理解を深める

グローバル研修

グローバルの意味をもう一度考え
非英語圏の国も研修先に

貴校の「グローバル研修」には、どのような特徴がありますか。

田辺先生

海外研修に力を入れている学校はたくさんありますが、アメリカやオーストラリア、イギリスといった主要国で実施されることが多いように感じます。その点、本校の「グローバル研修」は、アジア圏や北ヨーロッパにも広く目を向けているのが特徴で、中学ではアメリカとタイ、高校ではオーストラリアと北欧をそれぞれ隔年で訪問します。

タイや北欧といった非英語圏を研修先に加えた意図を教えてください。

田辺先生

本校も、かつてはアメリカとオーストラリアを中心に研修を行っていました。しかし、コロナ禍が明けて再開するにあたり、あらためて「グローバルとは何か」を考えると、メジャーな英語圏のみに目を向けるのはもはや時代遅れだと感じました。今はボーダーレスの時代です。そして、多様なバックグラウンドをもつ人たちと協働する時代に入っています。そうしたことを踏まえると、学校としても実現できる可能な限りで、生徒に対し、壮大な言い方をすれば“地球一周”を体感させてあげられるような非英語圏を加えた「グローバル研修」が必要だと思いました。

タイにて
今年度から2つの新コース体制が始動していますが、「グローバル研修」はどちらのコースの生徒も参加できますか。

田辺先生

「グローバル研修」は公募型ですから、「SOARグローバルサイエンスコース」と「SOAR探究コース」のどちらの生徒も参加できます。ただ、前者の「SOARグローバルサイエンスコース」の場合、アメリカでの研修は必修ですので、中3になるとコース生全員で海を渡ります。

アメリカの研修は、武庫川女子大学の分校で実施されるとお聞きしました。

田辺先生

その通りです。分校(MUSC)<※>で研修を行い、語学学習のみならず、現地の大学生のサポートを受けながら異文化に触れる体験もします。滞在期間中はMUSCの寮で生活しますから、生徒本人はもちろん、家族の方も安心感が非常に大きいと思います。

<※>MUSC(Mukogawa U.S.Campus)
ワシントン州スポーケン市にキャンパスを構える武庫川女子大学の分校。研修指導にあたる現地の全職員は、英語を母国語としない人に対する英語指導の国際資格「TESOL」を有し、同大学の学生を30年以上指導してきた実績をもつ。

MUSC(Mukogawa U.S.Campus)
高校も、中学と同様、隔年で訪問先が変わります。来年度から新たに実施される北欧の研修について教えてください。

田辺先生

北欧の研修は、デンマーク、スウェーデン、フィンランドを訪問します。3カ国をまわるのでタイトな旅程となりますが、それでもwell-being(心身的・社会的に幸福を感じる仕組み・生活等)や SDGsで世界のお手本になるところが多い国々を訪問するのはとても有意義です。高校生になってからの研修ですから、自分の進路や将来に思いを巡らせるにあたっても、さらに未来社会はどうあるべきかを考える上でも、生徒にとってプラスの面がたくさんあるといえます。

北欧訪問時の主な学びの例
例えば、デンマークでは

フォルケホイスコーレ〈※〉を訪問したり、他の同世代の学生・生徒と交流し、異文化理解を深めるだけでなく、母国をどれほど大切にしているかを知る。街を歩き、あらゆる場所で市民の声を反映して作られたユニバーサルデザインの街づくりも見ることができる。

※フォルケホイスコーレ…試験や成績が一切ないこと、民主主義的な思考を育てること、知の欲求を満たすことを重んじる北欧独自の教育機関

例えば、スウェーデンでは

義務教育のカリキュラムに、森(自然)の中でエコロジーやウェルビーイングな暮らしを学ぶ、というものがあり、その研修施設を訪ね、実際に研修を受けることができる。また、アートに税金を使い、駅の構内がまるで美術館のようになっている場所があり、国民が誇らしげに歩いている姿を見ることも学びにつながる。

例えば、フィンランドでは

短期留学提携校のガウディア校を訪問。授業に参加して、実践的な英語を学ぶとともに、フィンランドの教育システムについても学ぶことができ、ホームステイをすることで、フィンランドの暮らしを実体験できる。

デンマークのゴミ焼却場
(コペンヒル・焼却場だけでなく、運動ができる場所になっている。)
スウェーデンの森の授業の様子
フィンランドの教員用ラウンジ
中高の「グローバル研修」を通して、生徒にどのような成長を期待していますか。

田辺先生

「グローバル研修」は希望すれば誰でも参加できるので、ぜひ“一歩を踏み出す”きっかけにしてほしいと思っています。過去にタイの研修に参加した中学生は、それを機にグローバルな学びに対するスイッチが入り、「交換留学先にもタイを加えてほしい」と自ら願い出て、学校も彼女の熱意に応えて協定校を増やしました。最初は「海外に行ってみたい」といった単純な理由での参加でもちろん構いません。そこから、さらに“次”を求めて、好奇心や向学心の芽をどんどん育んでいってほしいです。

取材ライターの目線①
先生方の熱意!

海外研修などのプランは、企画段階から旅行会社に依頼してすべてを任せる学校も多いと聞きます。しかし、同校の場合、それを良しとしない教員がたくさんいます。「グローバル研修」に北欧を追加することを考え、実現に向けてアクションを起こした田辺先生もその一人。過去にプライベートで訪れた際の経験をもとに、外部に頼らず、武庫女の生徒たちを成長させる学びのコンセプトや研修内容を自ら考案しました。企画書を見た校長先生や先生方はこぞって賛同したそうです。

KEY WORD

海外生活を体験する

短期交換留学・長期留学

中高一貫校だからこそ、
余裕のある計画のもとで海を渡れる

国際交流のもう一つの柱である「短期交換留学」について教えてください。

田辺先生

「短期交換留学」は6カ国7校の海外協定校で実施し、各校で2~3名の枠が設けられています。「グローバル研修」と同じく公募型ですが、留学の場合、教員は引率しませんから生徒は自ら飛行機に乗って現地に向かうことになります。そのため、必要最低限の語学力は必要で、希望者に対しては一次選考として書類選考、二次選考として英語面接と日本語面接の両方を行います。

6カ国7校の海外協定校
【アメリカ・ワシントン州】 チャールズ・ライト・アカデミー
【アメリカ・ニューメキシコ州】 アルバカーキ・アカデミー
【オーストラリア・クイーンズランド州】 セント・ヒルダス校
【ニュージーランド・南島クライストチャーチ】 ランギオラ・ハイ・スクール
【アイルランド・ダブリン】 セント・ラファエラズ校
【フィンランド・ラハティ】 ガウディア校
【タイ・チェンマイ】 サラサートスクール・チェンマイ
「短期交換留学」から帰ってきた生徒は、どのように成長していると感じますか。

田辺先生

約2週間という期間であっても語学力をアップさせる生徒がいれば、視野を広げて帰ってくる生徒、コミュニケーション力を高めて帰国する生徒もいて、成長の度合いは人それぞれです。ただ、やはり「行って、おしまい」ではもったいないですから、現時点で実行に至ってないものの、ゆくゆくは現地で体験したことを在校生の前で発表してもらうなどの機会を設けても良いと考えています。

交換留学ですから、海外の協定校からも生徒がやって来るのでしょうか。

田辺先生

もちろん各協定校から留学生が定期的にやって来て、本校の生徒の家にホームステイしながら武庫女の制服を着て通学します。留学生は少なからず日本語や日本文化に関心があり、去年フィンランドから来た女子生徒は「浴衣を作って持って帰る!」という目標を立てていました。そんな留学生から本校の生徒もいろいろと刺激を受けています。

留学生をクラスに向かえた時、生徒たちはどのような姿勢で接していますか。

田辺先生

留学生は、当然、国民性も個々の性格も一人ひとり違います。クラスに初めて留学生を迎えるとなると、生徒の多くは「外国人=みんな陽気な性格」と勝手に思い込んでしまっているところもあるようで、そのイメージと異なるとどうコミュニケーションを取ればよいか多少戸惑う者もいます。しかし、それが「他国の人を知る」「異文化を学ぶ」ことにつながるので、本校の生徒は学校にいながら貴重な経験ができていると感じます。

アイルランドからの留学生と本校生徒
長期留学にチャレンジする生徒はどれくらいいるのでしょう。

田辺先生

「短期交換留学」ほど多くはありませんが、協定校の中には長期留学を受け入れてくれる学校もあるので、チャレンジする生徒は少数ながらも一定数います。今年は高1生が高1の夏休みから高2の夏休みまで1年間滞在する予定でカナダに向かいました。彼女の場合、大学進学を視野に入れていて、そこから逆算して長期留学するならばどの学年でいくのがベストなのか、中3の時点で私たち教員のところに相談に来ました。中学から入学すると6年のスパンで計画を立てることができ、自分がやりたいことをより実現しやすくなります。そこが中高一貫校の良さですし、本校も全力でバックアップします。

今後、貴校の「グローバル研修」「短期交換留学」はどう進化していきますか。

田辺先生

「グローバル研修」は高校で北欧が、「短期交換留学」はタイに協定校が新たに加わりました。進化といえば進化ですが、これくらいで私たちも満足しませんし、常に世界の情勢、時代の流れに目を向けながら「未来を生きる生徒のために、武庫女は次に何をすべきか」を考え、バージョンアップを続けていくつもりです。冒頭でお話しした“地球一周”を体感させてあげられるように、これからも国際交流の学びを進化させていきます。

取材ライターの目線②
生徒自ら選択!

武庫女の良さを尋ねると、田辺先生は「自分で考えて決められる選択肢がある」「失敗しながら成長できる環境がある」と答えました。これは「グローバル研修」や「短期交換留学」に限らず、同校が力を入れる探究活動なども同様。“自分の意思”で決めて行動すると、仮に失敗しても他人のせいにせず、武庫女生は自らを省みるといいます。「10代の失敗は必ず次のステップに進む糧になります。そして、またチャレンジできる選択肢を用意するのが本校です」。そう話す田辺先生がとても頼もしく感じられました。

Students Comment

Iさん

グローバル研修に参加した理由・きっかけ

アメリカの文化と日本の文化の違いに興味があり、また、外国の人と交流してみたいと思い参加しました。

グローバル研修の感想

私はRAの方たちと一緒に過ごしたことが特に刺激的でした。RAやアメリカ分校に留学していた大学生の方たちとダンスを踊ったり、流星群を見たり、同じ寮のメンバーとRAでブラウニーを作って食べたりしたことが、とても楽しかったです。
驚いたことは町に全く自動販売機が無いことや、クーラーが無いことです。自動販売機が無いので、水が無くなった時は飲食店などに入らないといけないので大変でした。
研修先はとても涼しくて快適に過ごすことができ、乾燥しているので洗濯物がすぐに乾くことにも驚きました。

グローバル研修で最も印象に残ったこと

一番印象に残ったことは、RAの交流です。私はグローバル研修前までは、完璧な英語でなければ言いたいことは伝わらないと思っていましたが、完璧な文章でなくても通じており、私が想像していたよりもたくさんコミュニケーションが取れて、とてもうれしかったです。もちろん通じないこともありましたが、大切なのは伝えようとする気持ちなのだと気づくことができました。

グローバル研修を体験したことでの自身の変化や成長

今回のグローバル研修で、もっと交流しているいろいろな国の文化を知りたいと思いました。研修先で仲良くなったRAでメキシコ出身の方がいたのですが、メキシコの文化についていろいろな話を聞いているうちに、もっと知りたいと思うようになりました。相手の国の文化を詳しく知るために、英語の勉強をより頑張ろうと思いました。

後輩へのメッセージ

私が感じたグローバル研修の良さは、現地の人たちと交流できることです。最初は緊張しますが、たくさんコミュニケーションを取るうちにどんどん楽しくなってきます。
また、会話の中で、今まで知らなかった伝え方などを楽しく学ぶことができます。

Iさん

グローバル研修に参加した理由・きっかけ

・武庫女を受験した理由が、留学が盛んだったからでずっと行きたかったから。
・自分の英語力(特に話すこと)を伸ばしていきたかったから。

グローバル研修の感想

2週間は長いと思っていましたが、実際にはとても短く感じ充実した日々でした。キャンパス内は豊かな自然に加えて、リスや七面鳥がいたり、キノコが生えていたりしてとても驚きました。また、夕食が17時からだったので、体内時計がなかなか合いませんでした。

グローバル研修で最も印象に残ったこと

現地の小学生と交流したこと。日本の文化を教えた時に、新聞紙で大きな兜を作って頭に被せてあげたら、とても喜んでくれてうれしかったです。また、ソーラン節を踊り終わった後の拍手が印象的です。

グローバル研修を体験したことでの自身の変化や成長

ちょうどアメリカに来て4日目ぐらいの時、夕食の時間にRAと二人で20分間ぐらい話すことができました。文で話すのは苦手だったけれど、気が付いたら考えるより先に英語が出ていてびっくりしました。

後輩へのメッセージ

日本ではなく海外だからこそ学べる英語表現がたくさんあってとても勉強になります。時にはうまく伝えることができなくて悔しい思いをすることもありますが、それによって得られたこともたくさんあります。初めての海外の子たちも多かったけれど、みんな笑顔で現地の人も優しい方ばかりなので、ぜひ普段は味わえない体験をしてみてください!