
女声合唱部プロフィール

- 部員数 9名 ※中学生6名・高校生3名
- 活動日 月・火・金・土(週4日)
日々の活動のほか、海外の合唱団との共演や合唱コンクールへの参加、地域コミュニティや老人ホームでの演奏、そして日頃の感謝の気持ちを伝える『Our Thanks Concert』の実施など、1年間を通して活動内容が充実しています。外部コンクールへの参加は9月の『東京都合唱コンクール』と、2月の『東京春のコーラスコンテスト』。前身の中学音楽部時代に3度、そして女声合唱部となっても2度『全日本合唱コンクール全国大会』に出場しました。
地域のクリスマスコンサート
- 女声合唱部はこんなクラブ!
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- 皆で協力してつくり上げることを学ぶ部活
- 部員の多くが、合唱部未経験もしくは初心者で入部
- 先生や先輩からの厳しくも温かい指導で技術を磨く
- 技術面だけでなく、人として成長することを目指す
ACTIVITY REPORT








先輩から後輩へ受け継ぐ技と心
取材日は「東京春のコーラスコンテスト」に向けて、キリスト教聖歌「サルヴェ・レジーナ」を練習。コーチの宮﨑先生は、具体的かつ的確な合唱指導を行います。ポイントをおさえながら、一人ひとりの表現力がより豊かになるような細やかな声掛けが印象的でした。部員たちはその指導に少しでも応えようと9人の声を重ね、やわらかなハーモニーを奏でます。全員練習を行う前には、高校生が中学生に「アヴェ・マリア」で発声法や歌い方を熱心に指導する様子も見られました。初心者が多いという女声合唱部。日々の練習や先輩から後輩に受け継ぐ歌唱技術や表現力の向上が、多くの人を魅了する歌声になって届けられます。









厳しいけれど、大きなやりがい!
一人ひとりが大切な存在として輝く
- Yさん(中学部長・中2)
- Aさん(高校部長・高2)
― 女声合唱部に入ろうと思った理由を教えてください。
Yさん私は合唱の経験はほぼありませんでしたが、クラスメイトから、「女声合唱部の先輩たちは優しいよ」と聞き、入部しました。
Aさん私は中1の入部時期がちょうどコロナ禍だったため、YouTubeで女声合唱部の演奏を見ました。実は人前で歌うのは大嫌いでしたが、新しいことにチャレンジしてみたいという気持ちとそのときの高2の先輩が親しみやすかったこともあって入部を決めました。
― 実際に入部すると女声合唱部はどんなクラブでしたか。
Yさん活動日が週に4日もあるため、入部当初は勉強と部活の両立がとても難しかったです。また、技術面でも先輩や先生から注意されることがたくさんあり、「厳しい」と感じることもありました。でも、今となってはすべて良い思い出になっていますし、実力の向上に繋がったと思えるので、女声合唱部に入部してよかったと思っています。
Aさん私も同じです。女声合唱部は活動日が多く忙しいため、最初は「なんでこんな部活に入ってしまったんだろう」と思うこともありました。また私も先輩方にたくさん叱られ、指導していただきました。でもそれは私のことを思っての厳しい言葉でした。そして実は、辞めたいと考えていた時期もあり、先生方に相談したこともあります。最終的には、先輩方から受け継いできたことを下級生に繋いでいきたいし、そうするべきだと考えて思いとどまりました。今では、辞めずに5年間続けてこられたことを誇らしく思っています。
― 部活で一番楽しいと感じるのはどんなときでしょう?
Yさん練習で先生や先輩から「上手になったね」と褒められたときに、一番楽しいと感じます。叱られたときは、「次は褒められたい」という思いで、家で何度も練習します。難しいこともありますが、めげずに頑張ることで、上達していけると信じています。
Aさん私は、大勢のお客さんの前でステージに立って皆で演奏しているときが一番楽しいです。本番は、練習で辛かったことをすべて忘れてしまうぐらいワクワクする瞬間です。聴いてくださる方々の顔を見ることも、「いい演奏だったよ」と言っていただけることもとても嬉しいです。
― 高校部長、中学部長としてそれぞれ心がけていることは何ですか。
Yさん必要以上に気負い過ぎずに、部長の役割を務めるようにしています。先生から、「部長をやってみないか」と言われたときはとても驚きましたし、不安もありました。でも、困ったときは部員のみんなが助けてくれるので、今は安心して取り組めています。
Aさん下級生と接する際は、「どう言ったらきちんと伝わるだろうか」「こう言ったらどう感じるかな」など、伝え方や言葉に気を配るようにしています。高校2年生は私ひとりしかいないので、高校1年生の2人にも協力してもらってみんなで部活全体を進めていくように意識しています。慣れないことが多かったですが、試行錯誤を重ねてきて今に至ります。
― 今後の目標を教えてください。
Yさん部活と勉強の両立を引き続き頑張ること。そして皆を引っ張っていく立場として、下級生に対して叱る時にはしっかりと叱る、褒めるときにはちゃんと褒めるというように、メリハリをつけていきたいです。
Aさん女声合唱部がこれまで培ってきた、音楽と誠実に向き合う姿勢や技術を下の代にも伝えていきたいです。先輩が私たちに教えてくださったように、女声合唱部によって大切なことを受け継ぎ、行動していきたいと思います。
― では、この記事を読んでいる受験生へのメッセージをお願いします。
Yさん合唱部と聞くと、練習ばかりで厳しいイメージがあるかもしれませんが、その分やりがいも達成感もあります。私のような初心者も大歓迎です。しっかりと練習すれば技術も確実に上がっていくので、興味があったらぜひ入ってほしいです。
Aさんよく先生方もおっしゃいますが、この女声合唱部は“歌を歌う部活”じゃなくて、“みんなでひとつのものをつくり上げる部活”です。部員の一人ひとりが大切な存在ですし、 自分がその大切な存在になれることは他の部活ではなかなかできない経験かもしれません。部員数が少ない女声合唱部だからこそ可能です。ぜひ、勇気を出して入部してください。
「人」として、「個」として
成長していくことに重きを置いた部活動

女声合唱部での気持ちの持ち方やプロセスは
勉強や将来にも必ず生きてくる
女声合唱部は、2014年の本校設立70周年を機に、中学音楽部から高校生も交えた女声合唱部へと発展しました。女声合唱部というと、単に歌を歌う部活だと思う方もおられるでしょう。しかし、私たちが大切にしているのは、「ひとつのことをみんなで協力しつくり上げることを学ぶ」クラブであるということ。合唱は、一人ひとりがバラバラに演奏していては成立しません。部員全員が自分の存在、声やパートへの責任感を持ちながら協力して演奏に臨まなければ完成しないのが合唱です。しかも部の目標は全国大会出場。けれど、決してコンクール至上主義ではありません。むしろ高いレベルでの目標を掲げたクラブの中で自分が何をすべきか、自分が出す音にどれだけ責任が持てるか、を含めて学んでもらえたらと思っています。
いま、世の中では「頑張りすぎない」「無理しない」ことを良しとする風潮がありますが、女声合唱部は「始めたら責任をもって最後までやり通す」ことを大事にしています。その意味では厳しいクラブかもしれません。そのため、なかには違和感をもつ生徒もいるかもしれませんが、中高6年間では、頑張って最後までやり通す経験も必要ではないでしょうか。失敗しても良いので、そのプロセスを女声合唱部で体験してほしいと願っています。
やり通す中で培った気持ちの持ち方やプロセスは、必ず勉強や将来にも生きてきます。
何かを自分自身でつくり上げていく途中過程で、「大変なこと、辛いこと、悲しいこと」があったとしても、そしてその結果が自分たちの望んでいたものと違ったとしても、やはり、最後までやりきった時にこそ、人は本当の意味での「喜び」を味わうことができるのではないかと思います。女声合唱部の活動は、そういったすべてに共通する根幹のようなものです。ここでの6年間は一生忘れられない宝物になると思っています。

諦めず妥協せずに目標に向かって努力を続けてほしい
技術面を磨くことももちろん大切ですが、女声合唱部は日々の指導において、自分で限界を決めることなく、諦めたり妥協したりせずに目標に向かって努力をし続けることを重んじています。そして、部員たちには「一人ひとりの言動や振る舞いが、部全体に大きな影響を与えることを忘れないでほしい」と伝えています。
学校生活の中では、「テストの点が悪かった」「人間関係がうまくいかない」などさまざまな悩みもあり、部活の練習に身が入らない時もあるかもしれませんが、そんなときも自分の私感情を表に出さずに、仲間と共にいる“今”を大事にして活動に取り組む。そんな、周りの人の気持ちに寄り添って自分をそこに置ける強い精神力をもって臨んでほしいと思います。
声は、世界で一つしかない「自分の宝物」で、皆、他の人にはない、自分だけの魅力があります。ほとんどの部員は楽譜を渡されても歌えないような状態で入部してきますから、すぐに出来る人の技術や声をうらやましがったり憧れたりします。しかし、元々6の力がある人が8のレベルになるよりも、2の力だった人が7に成長することの方が、遥かに価値があり、他者比較ではなく各自の成長度が大切だと教えています。それぞれが自分の役割に責任感を持って出来る人はおごることなく、未熟な仲間を引きあげることに力を注ぎ、全員で成長していくことこそが大事というスタンスです。最初は思うようにいかなくても、自分が請け負ったものに対して責任を持ち、仲間の気持ちを汲んで、仲間の為に尽くすことをいとわないで関わることができる片鱗を持っている人が続けられるクラブとも言えますね。
今後も部員同士が互いのことを必要と思いあえる部であってほしいです。歌や部活動を通して、生徒自身の集中力や感性、更には人としての器の大きさも伸ばしていって、社会に出たときに、ひととして信頼される人になっていてほしいと思います。