戻ってきた卒業生 滝二生の成長物語 滝川第二中学校・高等学校
滝川第二中学校・高等学校に在校時は、同校の生徒による広報活動を行う「キャンパスナビゲーター(キャンナビ)」として活躍し、現在は母校に戻って3年。後輩でもあるキャンナビをサポートしつつ共に滝二を盛り上げる北垣貴寛先生。滝川第二という学校を知り尽くし、理想の成長物語を体現している北垣先生に、今こそ見える滝川第二という学校についてお話いただきました。

キャンナビ YouTube甲子園で受賞!

企画動画部門の撮影中。今回はサッカー部とのコラボなので、グラウンドにて撮影。

完成作品「滝川第二サッカー部を数の力でボコボコにしようとしてみた」

YouTube甲子園企画動画部門で銅賞、ショートドラマ部門で脚本賞を受賞。YouTube甲子園は大人の手を借りてはいけないルールがあるので、企画・撮影・編集・アポ取りなど、全て自分たちで行った。

キャンナビ 多彩な班が多方面で大活躍!

キャンパスナビゲーターマガジン、略して「キャンマガ」の歴代5冊。各所にて配布中。
入稿以外は、ほぼキャンナビが制作していて、イラストレータによるレイアウトも行っている。

「正門前の花壇を綺麗にしたい」から始まったフラワー班。

説明会プレゼン前の、内容を決める会議の1枚。学校内で最もICTを活用しているのも、おそらくキャンナビ。

活動がいろいろ派生をしているキャンナビだが、説明会での活動がキャンナビの原点。

Interview01 卒業生から先生へ北垣先生が語る 滝川第二と キャンナビ 滝川第二中学校・高等学校 入試広報室 副室長 北垣貴寛先生

Profile
滝川第二中学校・高等学校卒業。2020年度より母校で自身も活躍した「キャンパスナビゲーター(キャンナビ)」に入試広報室副室長としてかかわる。2年前にできたMedia Information Center にも所属して、ICT環境の構築や整備も担う。情報科教諭。

北垣先生のキャンナビ時代のココロコミュ記事
「考動」力で進化するキャンナビ

滝二で自分にできることはないか
大きな学びがあった滝二にお返しがしたい

母校、滝川第二中学校・高等学校(以下滝二)で、ご自身も活躍されたキャンナビに関わり、学校広報やICTの推進を担当されている北垣先生ですが、その経緯から教えてください。

北垣先生 今で言うと「エキスパート未来創造コース」に立ち位置が近い「進学一貫コース」でした。キャンナビに所属して、高校1・2年は映像制作を担当していましたが、独学だったので映像の勉強をきっちりしたいと思っていたのです。また、在学時から本校のICTについて改善の余地がまだ残っていると感じ、自分にできることは何かないかと思っていました。将来、滝二に戻ってくるには教員免許も必要ですから、それらを実現できる進路を考え、関西大学の総合情報学部に進み、情報学と教育学を専攻。大学4年間も広報チューターという形でずっと滝二に関わらせてもらい、何とか無事に母校に戻ってきました。

北垣先生が「何かできることはないか」と思ったのは、それだけ滝二が良かったということですよね。

北垣先生 良かったですね。卒業を機に「もう、いらない」とはならなかったです(笑)。やっぱり滝二の6年間に、勉強だけではなく、僕の持っていなかったいろんなものを分け与えてもらえて、学びがたくさんあったというのは強く思うところです。一番大きな変化は、人前で話せるようになったことでした(笑)。それに当時から「やりたいことはやってみたら?」という空気があり、いろんなことに対して気軽に挑戦できるようになったのも、滝二で過ごして本当に良かったと思うところです。そんな学校に対して、何かお返しができないかなと思いました。

卒業後に感じた滝二の良さは?

北垣先生 卒業後すぐに気づいたのは、滝二の生徒のコミュニケーション能力の高さです。誰とでも気軽に話せるフレンドリーな雰囲気を持ち、誰に対しても物おじせずに相手の心を掴むような話題で楽しく話ができる。挨拶もできる。同じ大学に行った滝二の同級生を傍目で見ていても、そういった能力を持った生徒が多いことを実感しました。

それは滝二でのどういう教育が影響していたと思われますか。

北垣先生 全員が全員ではないと思いますが、キャンナビの中では、コミュニケーションが必要とされる取り組みがたくさんあるんです。それが支えになっている部分はあると思います。特にキャンナビはいろんな人と関わって、自分たちのやりたいことができていくのが強みで、経験を積める機会が多く、自立するチャンスもたくさんあります。

キャンナビは一緒に広報してくれる仲間
信頼・責任感をもって共にゴールを目指す

滝二のキャンナビでの活動が、生徒を成長させるのはなぜだと思いますか。

北垣先生 キャンナビの活動では、生徒をいち生徒として見ないように気をつけています。先生と生徒という関係ではなくて、あくまでも横並び。滝二を盛り上げて一緒に広報してくれる仲間という認識です。我々は我々で大人の説明をしますし、彼らは彼らでキャンナビにしかできない伝え方をしてほしい。それを彼らが理解していると、責任感も出てきますし、意見も出せます。キャンナビとして活動する重みもわかってくれますし、信頼関係が築けます。
彼らには常に、「僕らはみんな同じ方向を向いて走っていて、目指すゴールは一緒だ」と話しています。そこを理解してくれるならやりたいようにやってくれていいよと。ですから、良い意味でほったらかしと言えばほったらかしで、それが活力に繋がっているのかもしれません(笑)。

北垣先生の在校時からそういった意識や信頼関係はあったのですか。

北垣先生 当初からあったというよりも、積み重ねてきたんだと思います。私がキャンナビだった時期は、説明会での活動がメインでしたが、キャンナビ統括が今の井口先生になってから活動が自由を重んじるようになって、自主性、主体性が非常に強くなったんです。私がキャンナビで始めた動画撮影も、当時予算が少なかったので機材がなく、制作に非常に苦労しました。そこで作品で賞金を手に入れて、機材費や資料代にあてるように工夫するようになりました。すべて積み重ねです(笑)。

キャンナビのOBで卒業生である北垣先生だからこそ、キャンナビの皆さんに伝えたいことがあるのでは?

北垣先生 自分の進路を考えたときに、「教育工学を学べるこの教授のもとで勉強したい」と思い、「そこで学んだICTを使った教育手法を、滝二に戻せたらいいな」とずっと思っていました。そして、大学時代は個人事業をやり、海外にも行っています。失敗できる環境で貴重な勉強や体験をさせてもらって、この学校に戻ってきました。それらを今、キャンナビの生徒たちに「外にはこんな世界があるよ」と話しています。大学を名前で決めてしまう生徒もいますが、自分は何がしたいのかをよく考えてほしいと話しています。そして、滝二にいる間に失敗できる環境を彼らに提供できればと思っています。

ご自身の経験から、失敗できる環境があれば成長できると?

北垣先生 そうですね。入試広報のイベントを成功させたいのは大人の事情です。生徒の中には自分たちでやってみたいことがあって、それを実際にやれる環境があるから挑戦します。それが良かったのか、悪かったのかはやってみないとわからないので、「失敗してもいいから、とりあえずやってみたら?」と、場を提供できればと思います。それを失敗しないように持っていくのは大人の役割です。

無限大の可能性があるからこそ
対等に接して成長を期待したい

ずっとキャンナビに関わられて、その良さはどういう部分で感じますか。

北垣先生 私は今、戻って来て3年目です。中高6年間、大学4年間も広報チューターとしてずっと学校と関わってきました。ずっと滝二を見ていて、大きな変化というのは何回かあったんだろうと思いますし、今、教員としてはいろんなことが目につくのですが、その中でもキャンナビは全然変わらずで、全然悪いところが見えません。自分がそこで育ったこともありますが、いつの時代もキャンナビが全力で頑張ってくれています。キャンナビが宣伝塔になり、彼らを見て入学してくる生徒もいるというのは、本当にすごいことだと思います。そのうえでキャンナビは進化しています。それは間違いないですね。

キャンナビにかかわる上で、北垣先生自身が大切にされていることはありますか。

北垣先生 先ほどもお話した「対等に接すること」を一番大切にしています。「生徒だから」という前提は絶対に置きません。彼らには無限大の可能性があって、彼らの活動によって未来が変わることがあるかもしれないと思った上で、手順を飛ばさずきっちりと進めるようにしています。
順序を追って、まず企画書の提出、誰とやるのか、いつやるのか。そして結果を出してもらいます。例えばラジオ制作なら、ラジオを1本作る企画から成果物提出までをやってもらってから、「配信するのか?」といった彼らの持っていないような選択肢を提案するように心がけています。
手順はきっちりやらないと必ず崩れてきます。彼らが大学生になり、将来社会に出たときに、そのやり方では通用しない。ですから、きちんと手順通りにきっちりと進め、その上でプラスアルファを考えようと話をしています。そして、学校の座学で学べないようなことを、キャンナビという活動の中で彼らが身につけてくれたらいいなと思いますね。

ICTでも滝二らしく
どこよりも先駆けた道を行く

情報科の教諭、Media Information Center担当としては、校内のICT環境の充実に対してどのように取り組みたいとお考えですか。

北垣先生 滝二に戻ってくる前からずっと考えていたことなのですが、まずは市内・県内でICTの進んだ学校と言ったら名前が挙がるような学校にすることが目標です。当たり前のようにオンライン授業を行っている関東の学校を後追いするのではなく、はるかに超えられるような取り組みをしたいと思ってやっています。本校は私学であり、その入試広報に戻ってきたので、最先端の新しいこと、他の学校ができないことをやっていかないと学校が発展しないと思いますから、そこは滝二らしさを持って頑張っていきたいです。

先生としては3年目になります。これから教員としては?

北垣先生 難しい所なのですが、私は「学校の先生をやりたい」という理由を第一義として滝二に戻ってきたわけではありません。まずは、この学校の広報をして、滝二をより広めたいのです。ただ、情報の教員としては、今後さらに必要になっていく情報の正しい知識を生徒たちには持ってほしいと思っています。SNS上の情報や報道などに流されずに、自分で自分をコントロールするにはどうしたらいいかは、時間をかけて生徒たちに伝えていきたいですね。
今回は、ザ・先生みたいな話でなくてすみません(笑)。でも、学校っていう括りに縛られないようにしたいと思うんです。生徒たちは、いろんな学校がある中で滝川第二を選んでくれました。この後、大学から社会に出れば、世間に飲まれ始めると思います。そうなるまでに、あれもこれもできるという環境で、失敗もいっぱいして、自分に自信をつけて出ていってくれたら、きっと自分から行動したり活動したりする広い心を持てるようになると思うんです。滝二にそういう生徒たちが増えていくようにしていきたいです。

キャンナビは10周年だそうですね。

北垣先生 最近は滝二パンを作って販売にまで至りました。実は外部の方とコラボレーションは初めてだったのですが、今回実現したことで、ほかの活動もさらに幅が広がってくると思います。YouTube甲子園で3位に入って賞や盾をもらった先輩を見て、刺激を受けている後輩たちもたくさんいます。クラブ活動とは違って、キャンナビは入試広報室に紐づいている組織なので、全力で応援もしたいし、守るべき時は守ります。10周年ですから、今後もやりたいことを実現できる場として、キャンナビだけはずっと残していかなければいけないと思っています。

キャンナビ 滝二パンを企画・販売!

YouTube甲子園の企画ではじまったパン企画は、実際に販売まで辿り着くことに成功。期間限定での販売を行ったが、毎日完売で、手に入れられない人が続出。予約者も出た。

滝二パンの販売風景。いつも完売していたので、やっと販売の風景に出会えたキセキの1枚。

実際に厨房に入らせていただいて、滝二パンの試作を行った。

滝二パンの制作風景。YouTube甲子園企画動画部門の撮影も兼ねている。

Interview02 先生から仲間へ 井口先生が語る 滝川第二と キャンナビ 滝川第二中学校・高等学校 入試広報室 室長 井口 守先生

Profile
滝川第二中学校・高等学校の国語科教諭。2014年よりキャンパスナビゲーターの顧問を入試広報副室長として担当し、キャンナビたちの「やりたい」を形にするサポートを行ってきた。落語作家でもある。

キャンナビ→広報チューター→教員へ
生徒にとってのレジェンド北垣先生

卒業生の「北垣くん」が、「北垣先生」になって3年前に母校に戻って来てくれました。愛校心を育てることは大事だと思いますが、将来の進路にまで母校を選んでくれる生徒が出てきたこと、生徒と関わり一緒に活動していこうという教員になって戻って来てくれたことは、本当に嬉しいです。それだけ在学時にたくさんの良い経験があり、充実していた学校生活だったのだろうと思いますし、それをさらに多くの生徒たちに体感してもらいたいという思いで、広報室に戻ってきてくれたんだと思っています。
北垣先生は、在校中から黎明な才気あふれる少年でしたよ(笑)。知識もあり、実行力や発想力もある生徒でした。私はずっと、「クリエイテンジニア」という造語を作って、彼を呼んでいました。本当にクリエイティブとエンジニアが合わさったような人だったんです。独学で撮影技術を身に付けたり、アイデアを形にしていくんです。技術があっても発想が伴わないと結局は使いこなせませんが、彼は両方を持ち合わせていました。もちろん、今もそうですけどね(笑)

キャンナビの生徒にとっては、彼こそが憧れだと思います。キャンナビには「キャンちゃん」と「ナビくん」というキャラクターがいまして、描き手が変わり何代目かになっていますが、おそらくナビ君のイメージ像はずっと彼です(笑)。キャンパスナビゲーターの顔であった彼のイメージが脈々と受け継がれています。生徒にとっては、彼がレジェンドだと思いますね。

生徒の「やりたい」を形にしてきた
キャンナビの10年間

在校時にキャンパスナビゲーターとして活動していた人が、卒業後も広報チューターとして大学4年間キャンパスナビゲーターに関わり、そのまま学校の広報室に就職するということは、なかなかありません。貴重ですよね(笑)。その愛校心の強さを発揮して、今もキャンナビに関わり、一生懸命働いてくれています。
キャンナビは、広報のお手伝い的に限られたイベント内で動いてもらう形で始まりましたが、この10年でいち生徒の可能性が出せる形になり、生徒の主体的な活動になりました。

通常はこうした活動を生徒会などが担当するのでしょうが、キャンナビはそうした団体とは違うところが個性の一つです。また、発信そのものが生徒のアイデアから出ているところにも大きな特性がありますね。もちろん我々が呼びかけるときもありますが、彼らが「こういうことをしてみたい」「滝二の魅力を伝えるならこういう方法を考えました」といって発信する。それを大切にするようにしてきた10年であり、形になった10年だと思います。

生徒の「やりたい」を形にしようと思えば、各所の許可も資金も必要で、責任も生じてきます。そこは教員が受け持つ。それを彼らも理解しているので、自分たちのアイデアが形になることに対して、目いっぱい動いてくれます。キャンパスナビゲーターの「キャンナビフェスタ」では、統括の生徒たちが最後に挨拶をしますが、「一生懸命頑張ってきた。作り上げてきた」と涙するのがとても格好良くて素敵です。一生懸命やって涙を流せるのは、素晴らしいことだと思いますし、それを見て「私もああいう風にやってみたい」という生徒も生まれますから、キャンナビの活動の大きな価値を感じます。

キャンナビ 先輩としてサポート!キャンナビフェスタ

キャンナビフェスタの様子。

開催中の様子。参加者とともに問題を考えるキャンナビ。

キャンナビフェスタ エンディングの様子。恒例の企画リーダーが挨拶を行うシーン。

キャンナビフェスタ全体での打ち合わせの様子。

新たな展開にも期待!
今後のキャンナビ

今、コロナ禍で制限されていたものを取り返している途中で、今後さらに制限がなくなってくると思いますから、できることは増えると思います。また、この数年で彼らを取り巻く環境や使用するツールも変わってきていて、端末も1人1台ありますし、ソフトも使いこなせる生徒が多くなりました。Teamsで情報共有し、学内アプリも充実していますから、さらに新しい企画が生まれてくるのではないかと思っています。「YouTube甲子園」も「滝二パン」も、新しい発想の元で滝二の魅力を発信する方法になっていますから、新たな展開に期待したいところです。
さらに言うと、それが滝二の魅力として受験生増にも繋がり、後輩に受け継がれていくのが理想ですね。最近ではキャンナビラジオのDJがすっかり有名になっています(笑)。「あの人だ!」「描いていた人だ!」とそれぞれのジャンルでスター化してきているのは良いことだと思いますし、滝二生としてそういう発信ができても良いと思っています。これまでと形が変わってもキャンナビが活躍できる場が増えていけば嬉しいですね。