神戸龍谷中学校の文化発表会は、年に一度、中学1年・2年生が主役になって行うアットホームかつアカデミックな学校行事。日頃の練習の成果を披露する「部活動発表」、学校生活の中で作成した美術・工作物をお披露目する「作品展示」、そして探究の取り組みを個々の生徒が発表する「課題探究発表」の3本柱で展開されます。それらの内容は、今年度のテーマの通り“十人十色”。保護者をはじめ、大勢の来校者が訪れた2月当日の様子をレポートします。
少林寺拳法部に所属する中1生が気迫をもって披露してくれたのは、華麗な「演武」。一連の流れ・構成の中でそれぞれの技を正しく演じ切るのは決して容易なことではなく、まさに日頃の修練があってこそ、表舞台で実演できます。
吹奏楽部を代表して、中2生たちがアニメ映画などの楽曲を披露。クラリネット、アルトサックス、グロッケン&シロフォンによる演奏が始まると、場の空気は瞬時にして一変。臨場感あふれる音色に来校者は終始魅了されていました。
青谷学舎の講堂・二楽艸堂に隣接する茶室では、御茶券購入者(先着50名)を対象に御茶とお菓子のおもてなし。茶道部の生徒たちの所作や落ち着いた立ち居振る舞いに、茶室を訪ねた保護者たちは感服した様子でした。
鉄道研究会が制作したNゲージのジオラマは、細部にもこだわったハイクオリティなもの。“撮り鉄”の生徒が撮影した列車の写真も展示され、さらに、鉄道好きにはたまらない「マニアック 鉄道クイズ!」の企画で来校者を楽しませていました。
美術館レポート・オノマトペ・
初めてのアクリル絵の具・陶芸作品 … etc.
同じテーマのものづくりであっても、いざ作品が完成すると生徒一人ひとりの個性が見事に息づくもの。山の手にある神戸龍谷の青谷学舎から海の手に下れば兵庫県立美術館があり、そこを訪ねた感想などが記されたレポートも展示されていました。
パッケージデザイン・一点透視図法・
夏の防火ポスター・ものづくり作品 … etc.
本物を見聞きして学ぶ『1Day』イベントは、神戸龍谷を代表する体験・実践型の学習のひとつ。文化発表会当日、各教室の前には、生徒たちが作り上げた工作・工芸作品がずらりと並び、その1点1点に“十人十色”の個性が光っていました。
文化発表会の「課題探究発表」は、講堂・二楽艸堂でのポスター表(中2)と、各教室でのスライド発表(中1・中2)で実施。日常の中で何気なく感じた「なぜ?」の疑問を深掘りすれば、立派な“学問”になることを生徒たちは実感しました。
Iさん(中2) \ポスター発表&標本づくりを実演/
「標本をつくる意味」
「標本を作る意味」というテーマで探究しようと思った理由を教えてください。
Iさん
子どもの頃から昆虫好きで、家でも標本を作っていました。ただ、標本といえば、死んだ昆虫を単に並べているだけとイメージされがちです。でも、実はそうではなく、きちんと意味があることを多くの人に知ってもらえればと思い、文化発表会でポスター発表と標本づくりの実演に挑むことを決めました。
調べたことをポスターにまとめる際、難しいと感じたことは?
Iさん
すべての人が昆虫好きとは限らないので、自己満足の発表になってしまっては意味がないと思いました。自ら調べたことをどのような言葉で表現すれば標本づくりをする意味がきちんと伝わるのか、そこをしっかり考えながらまとめるのが難しかったです。
課題探究に取り組み、発表を経験して、どのように成長できたと感じますか。
Iさん
ポスター発表や標本づくりの実演には、大勢の人が関心をもって集まってくれました。これまでたくさんの人の前で話した経験がほとんどなかったので、文化発表会でそれができたことで多少自信がつきました。
Iくんが感じている神戸龍谷中学のよさを教えてください。
Iさん
興味をもったこと、好きなことを探究できる総合の時間があるのは、個人的にすごく嬉しく感じます。そこで取り組むテーマに対して、先生方はいつも理解を示して応援してくれるので、常に「頑張ってみよう!」という気持ちで取り組めます。生徒を前向きにさせてくれる空気があるのが、神戸龍谷中学のよさだと思います。
Uさん(中2) \ポスター発表/
「ボーカロイドと人間の歌声について」
どのようなきかっけで、このテーマに興味をもたれたのでしょう?
Uさん
個人的に“ボーカロイド”という音楽のジャンルが好きでした。でも、一方で「あまり好きではない」という人がいるのも確かです。そこで、「なぜ、好きではないと思ってしまうのか?」を知りたくなり、探究テーマにして自ら調べることにしました。
どのようなやり方や手順で探究を進めていきましたか。
Uさん
調べるメインのツールはインターネットでした。しかし、あまりにも情報が多すぎて、どれを信じてまとめればよいのか非常に迷いました。また、学年全員にアンケートを配り、ボーカロイドについてどう思っているかを書いてもらい、それも参考にしました。ポスターにまとめる時に心がけたのは、どのように表現すれば第三者にうまく伝わるかという客観的な視点でした。
課題探究発表で得られたことを、今後どう活かしていきたいですか。
Uさん
今回チャレンジしたことで、たくさんの情報から取捨選択する力とまとめる力がついたと思います。そうした力は、例えば、数学の証明問題や国語の論述問題などにも活かせると感じるので、各教科の学習につなげていければと思っています。
Uさんが感じる神戸龍谷中学の「文化発表会」の印象は?
Uさん
中1と中2の2つの学年で実施するので、すごくアットホームな雰囲気があります。だからこそ、来校してくださる方々との距離が近く、皆さんとコミュニケーションを取れる貴重な機会になっていると感じます。
Hさん(中1) \スライド発表/
「テキサス州がメキシコとの国境なのはなぜ?」
「テキサス州がメキシコとの国境なのはなぜ?」というテーマを課題探究に選んだ理由を教えてください。
Hさん
小学1年からの6年間をアメリカのテキサス州で過ごしました。その経験があったので、現地の生活を通して得た知識や自分が感じている魅力に興味をもってくれる人がいれば、ぜひ共有したいと思い、このテーマを選びました。
課題探究発表の準備には、どれくらいの期間がかかりましたか。
Hさん
課題探究の取り組みは、2週間に1回、土曜日に行いました。テーマを決めたのは9月の終わり頃で、そこから2月実施の文化発表会に向けて約4カ月をかけて調べ学習とスライド作成を手がけました。
探究に取り組む中で、大変だったこと、やり甲斐に感じたことは?
Hさん
大変だったのは、アメリカやメキシコの歴史を調べることでした。そして、どのような構成でスライドにまとめれば、発表を聞いてくれる人にうまく伝わるのかを考えるのも苦労しました。それでも、探究していると自分が知らなかった事実などを発見できるので、とても楽しかったです。スライド完成後、発表練習の場で手応えを感じることができた時は、大きな達成感を得られました。
Hさんが感じる神戸龍谷の魅力を教えてください。
Hさん
まず、生徒全員がいつも元気です。そして、先生方は僕たち生徒の話や質問にすぐに耳を傾けてくれるので、常に支えてもらっているという安心感があります。とにかく“明るい雰囲気の学校”というのが、僕が感じる神戸龍谷中学の一番の魅力です。