
日本語を学ぶとき、大切だったのは
コミュニケーションを取ること。
この考えは、現在の私の英語指導にも受け継がれています。

Randy Rymer
ランディ・ライマー 先生
チーム担任/エキスパートコース、アドバンスコースの英語科担当
アメリカ合衆国テネシー州出身 オレゴン大学(University of Oregon)出身
- 大好きなこと:料理
- 感謝祭では、ターキーをはじめ、全部で12品ほどの料理を作ります。最も楽しいのは、冷蔵庫にある材料を使って、どうやったら美味しい料理が作れるかを想像しながら料理するときですね。
- おすすめ作品:「スターウォーズ」
- ユーモアとまじめさがあるストーリーが若いころから大好きで、全作品見ています。今では自分の子どもにも「スターウォーズ」の良さを教えて、子どもも大好きになりました。
中高の5年間にわたって日本語を学ぶ
ライマー先生は、どのような経緯で神戸龍谷の教員になられたのでしょうか。
ライマー先生
私はアメリカで私立の中学校に通い、そこで日本語を選択して中高の5年間学びました。私の強みはテストの点数ではなく、コミュニケーション能力。日本語を実際に使って人と通じ合うことを大切にしていました。そのおかげで、他の人よりも日本語でスムーズにコミュニケーションが取れていたと思います。
その後、大学ではビジネスと歴史を学び、日本語は私にとって長年学んできた大切なものだったので、大学卒業時に社会人になる前に日本で何年間か教員として働いてみたいと考えました。免許がなくても学校でALT(外国語指導助手)として活動ができるJETプログラムに参加し、経験を積んでから大学院へ進むつもりで日本に来ましたが、妻と出会ったことで予定を変更。日本でキャリアを積むことを決意しました。
3年間 はALTとして活動し、その後神戸市の小学校でアドバイザーを務め、2012年に当時「英進グローバルコース」を設置した神戸龍谷に赴任しました。その後、兵庫県の特別免許状を取得し、10年前からは1人で授業し、クラス担任も務めています。
特別免許状を取得して、日本で専任教員になることに不安はなかったですか。
ライマー先生
ALTの活動は、授業をして帰るだけなので学校と関係が希薄になりがちですが、神戸龍谷ではネイティブも専任教員で、授業の指導内容や評価ポイント、生徒をどう育てたいかといった学習システムに関わります。責任も増えますが、やりがいも大きいです。単に仕事としてだけではなく、自分のキャリアとして取り組める環境は、私自身も毎年スキルアップを目指し、生徒により深く関わるために努力できます。
学生時代の一番の思い出は?
ライマー先生
中学・高校で日本語を勉強していたので、日本には計2回短期留学をしました。最初は13歳のとき、岩手県の志木市に行きました。その後、神戸龍谷に赴任し、3者面談をしていた際に、生徒の保護者が同じ町の同じ学校出身で、私が留学していた時期に在籍していた生徒だったことが判明し、偶然の一致に驚きました。2回目は、アメリカの自分の学校とつながりがあった東京の明治学院に関連する家庭でホームステイをしました。
アメリカの中学校や高校で日本語を学べたのはめずらしいですね。なぜ日本語を選択したのですか。
ライマー先生
私の学校の創立者は、神戸にキリスト教を布教しに来た方で、日本と深い縁があり、日本語を教育に取り入れようと考えたようです。日本では外国語というと英語が一般的ですが、アメリカではフランス語やスペイン語などいろいろな言語から選んで学ぶことができます。その中で、私は日本語を選びました。日本語は英語とは全く異なる言語で、珍しく、不思議に感じることがたくさんありました。漢字もとても面白く、普段使うことのない文字だからこそ、より一層興味が湧きました。
私の先生は非常に丁寧に教えてくださり、通常は3年間で終了するところ、私は5年間も日本語を学びました。その中で、私が大切にしていたのはコミュニケーションを取ること。先ほどもお伝えしたこの考えは、現在の私の英語指導にも受け継がれています。
ほかにも先生が学生時代に夢中になっていたことはありますか。
ライマー先生
私は歴史が大好きで、さまざまな事象の起源を知り、歴史を通じて世界が見えるようになることに夢中になりました。歴史はまさに「グレイト・ストーリー」です。例えば、日本でよく見かけるオクラは、実は日本の野菜ではなく、アメリカから伝わったものです。その起源はさらに遡ると、西アフリカにあります。だからこそ「オクラ」という名前はアフリカ語なんですね。こうした歴史を知ることで、別の事柄にも新たな理解が生まれるのがとても面白いと感じます。私は生徒たちにもこのような話をしており、何事にも興味を持ち、深く理解することがどれだけ面白いことかを伝えています。

生徒が授業に100%なら、私は120%
2021年4月に神戸龍谷に来られた今に至るわけですが、先生が授業で大切にされていることは?
ライマー先生
いっぱいあります(笑)。生徒によく話すのは、「君たちが授業に100%の姿勢で臨むなら、私は120%で向かう」ということです。生徒が頑張っているのに、私が準備不足では指導になりません。生徒は私の姿勢を見て行動しますから、私は常に120%でありたいと思っています。そして授業の50分を大事に、この授業はこの時間しかないことを生徒に意識してほしいと伝えています。
生徒によって学力のレベルも異なります。その点のフォローは?
ライマー先生
文法が得意な生徒やスピーキングが得意な生徒もいれば、英語学習に不安を感じている生徒も多いので、私は一気に「ワンステップ」で教えるのではなく、理解を深めながら進める「スモールステップ」を大切にしています。
集めたデータを基に、「この生徒にはまだこの範囲の勉強が適している」「この生徒にはもう少し難しい問題が適している」といった具合に判断し、個々の英語力を着実に伸ばしていきます。私はアメリカでビジネスを学び、エビデンスに基づいて自信を持って行動できる方法を習得しましたので、その経験を生かして指導しています。
また、大きなテストの前には確認テストや勉強会を行っています。なぜならテスト後ではなく、テストの前にしっかりと理解してもらいたいからです。テストで自信を持って高得点を取れるようにサポートし、アプローチが異なることで生徒の気持ちも前向きになります。
ライマー先生が指導してきたうえで、生徒の様子を見て嬉しかったことはありますか。
ライマー先生
学習面に関しては、現在の中学3年生は、1年生の時に私がほぼすべてを教えました。彼らが2年生になった時に新しく赴任された日本人の先生が「リスニング力が高い。英語を聞くことが当たり前になっている」「英文字が非常にきれい」と驚かれました。英文字は1年生から私が評価対象にして厳しく指導を行ったため、生徒はとてもきれいな英文字を書きます。新しい先生はそれを「特別」と感じていましたが、生徒は「当たり前」と思っているようで、その様子を見てとても嬉しく感じました。
また、新中学3年生の生徒には、平日1時間、週末2時間の勉強を当たり前にするよう伝えました。その結果、実力テストの成績が大きく向上し、私のアドバイスが役立ったと感じています。学習担当として非常に嬉しい成果でした。
日本に来て自分のアイデンティティが
より明確になった
お話を聞いているとライマー先生はとても真面目な方ですね。
ライマー先生
いや、どうでしょう(笑)。でも、真面目だから何でも大切にするのだと思います。生徒も、時間も、授業も何でも大切にします。
日本に来て18年目とのことですが、日本に来てからのご自身の変化はありますか。
ライマー先生
私は現在41歳で、来日した時にはすでに社会人になる年齢だったので、日本で生活する中で大きな変化は感じていません。ただ、「You have to be flexible.」、つまり「柔軟であることが大切だ」という教えを日本に来て学びました。これは学校でも仏教的な教えとして教わりますが、自分の「当たり前」と他人の「当たり前」は違うため、自分の価値観を他人に押し付けないことが大切。自分の大切にしていることは、自分自身で守ればよいのです。
日本に来てから特に感じるのは、アイデンティティがより明確になったことです。なぜ自分がその価値観を大切にしているのか、理解が深まったのです。アメリカにいた頃はあまり自己分析しませんでしたが、日本での経験を通して自分を見つめ直す機会が増えました。それは異文化を経験することの重要性だと思いますから、生徒たちにも伝えています。
神戸龍谷に赴任されて13年ですが、神戸龍谷の良さはどこに感じられますか。
ライマー先生
さまざまな魅力がありますが、先生と生徒の距離の近さはその一つです。先生と関係を築きやすく、話しやすい雰囲気があるので、自然と信頼関係が生まれます。成長したいと願う生徒と、そんな生徒を育てたいと願う先生が、近い距離で関わりながら関係を深めていくのが、この学校ならではの大きな魅力だと思います。
では、最後に神戸龍谷を目指す子どもたちへメッセージをお願いします。
ライマー先生
この学校では、自分のアイデンティティや未来を見つけることができます。さまざまなサポートがあり、一緒に歩んでくれる仲間や先生もいます。ぜひ神戸龍谷に来て、自分の明るく楽しい未来のために頑張ってほしいと思います。
完璧でなくてもいいのです。
大切なのは、とにかく話して使ってみること。
これは私が日本語を学んだときに学びました!

Adam Debter
アダム・デッター 先生
グローバル文系コース長/高3担任/国際理解教育担当 40歳
アメリカ合衆国アラバマ州出身 アラバマ大学(University of Alabama)出身
- 大好きなこと:音楽
- 音楽は演奏するのも、聴くのも大好きです。演奏するのは弦楽器。ギター、ベース、マンドリンを弾きます。
- おすすめ作品:歌手で作曲家のジミー・バフェットの作品
- ジミー・バフェットの曲の多くが海への愛です。両親の影響で彼の曲とともに育ちました。彼の曲は故郷と家を思い出させ、夏になると海に行きたくなります。
興味のあった日本の言語を大学で選択
アダム先生は、どのような経緯で日本や日本語に興味を持たれたのですか。
アダム先生
もともと中高生の頃から日本に関心がありました。きっかけは、親友が中学生のときに九州へ1年間の長期留学をしたことです。当時はちょうどアニメやマンガといった日本文化が世界的に広まり始めた時期で、彼と頻繁に連絡を取り合っていたので、「自分も日本に行ってみたい」という気持ちを強く抱くようになりました。
大学進学の際、当時の私はまだ自分が何をしたいのか明確にはわかっておらず、外国語の授業を受けるか、コンピューターサイエンスの授業を受けるかで迷っていました。最終的には、日本語をかなり上級レベルまで学べる学部を見つけ、興味もあったのでゼロから日本語を始めてみることにしました。振り返ってみると、あの選択が私の人生を大きく変える転機になったのだと思います。
大学で徹底的に日本語を学んでから教師の道に?
アダム先生
当時通っていた大学には「もっと日本語を学びたい」と思っても専攻できる学部がなく、大学の先生に相談したところ、「自分の専攻をつくることができる学部」があると教えてもらったんです。その学部には、約2万5千人いる学生のうち、200人だけが進むことができました。私は面接などの選考を経てその学部に入り、自分で「日本語研究」という専攻を立ち上げました。メインの大学のカリキュラムに加えて、その学部独自のカリキュラムもこなす必要があり、かなり大変でしたが、今振り返るととても良い経験でした。結果的に、無事に4年間で大学を卒業することができました。その後、悩んだ末に「日本で英語の教師になろう」と思うようになりました。
学生時代、夢中になったことは何でしょうか。
アダム先生
音楽です。高校生になるまではギターの授業を受けていて、そこから音楽に対する興味がわきました。今も趣味としてギターを弾きます。弦があればベース、マンドリンも触りますね。音楽を聴くことも多いです。日本語と同じように興味を持つとはまるタイプです(笑)。僕の世代はファミコン世代なので、ゲームも昔から大好きです。
大学時代には日本へ留学されていたそうですね。
アダム先生
関西外国語大学へ留学しました。どうしても関西、そして京都へ行きたかったんです。初めて日本に来た時は、アメリカとの違いに良い意味でカルチャーショックを受けて、「やっぱり日本は素晴らしい」と思いました。説明しづらいのですが、とにかく良かった(笑)。特に神戸の雰囲気が好きで、大阪に住んでいましたが、週末にはよく神戸に来ていました。その後、2007年にJETプログラムに参加して、幸運なことに神戸市内でALTの仕事をすることになりました。訪日時は、ちょうどライマー先生と同じ飛行機でした(笑)。
その後、JETプログラムに4年間参加して、2011年からは別の業界で2年間働きました。その結果、「自分には先生が向いている」と気づいたんです。そんなときに神戸龍谷で1年間働いていたライマー先生から「先生をしたいのなら、神戸龍谷で探しているよ」と教えてもらいました。ATLのようにアシスタントではなくて、担任もできる教員になる機会をもらって「ぜひともやってみたい!」と思い、2013年から神戸龍谷で働くようになりました。
日本で本当の意味での先生になるために特別免許状を取得しました。
自分のために学び、自分のものにする姿勢が大切
神戸龍谷で教員として生徒たちと関わられて、どのような印象でしたか。
アダム先生
いきなり高校3年生の担任になり、かなり大変でした。でも、神戸龍谷は生徒を大切にしていて、生徒に進学でも留学でもいろいろなチャンスを与えます。先生方も温かいし、生徒もアプローチしやすい関係性で、これは他にない良さだと感じました。3年前からは特進グローバルコースのクラスを1人で担任しています。
授業ではどのようなことを大切にされていますか。
アダム先生
生徒には、勉強を「自分のもの」にすることの大切さを繰り返し伝えています。成績ももちろん大事ですが、学びは自分のためのもの。だからこそ、自分のために学び、自分のものにする姿勢が大切だと思っています。
これは私自身の経験からも感じていることです。私が日本語を勉強していたときも、最初は軽い気持ちで始めましたが、将来使うのであれば、本気で取り組み、自分のものにしなければ意味がないと気づきました。
そんな中で、教員として手ごたえを感じるのはどのようなときでしょう?
アダム先生
毎年、英語でディベートの授業を行っていますが、私が大切にしているのは「英語を勉強すること」よりも、「英語を使って何かを学ぶこと」です。生徒たちも、最初は苦労します。論理的に考え、「私はこう思う。なぜなら理由があり、例えばこういう事例がある。だから私はこう思う」といった、考えの組み立て方や話す順序に戸惑うのです。
それでも、繰り返していくうちに、「あ、わかった!」「これだ!」と、腑に落ちる瞬間があります。そういう、努力が実って生徒が何かをつかんだと感じられる瞬間が、私は大好きです。
生徒のなかには英語をツールとして使いこなしたいものの、難しく考えて苦手意識を持つ生徒もいると思います。そういう生徒へのアダム先生の対策は?
アダム先生
英語に苦手意識のある生徒に対しては、まず「英語の何がなぜ嫌いなのか」を率直に聞くことを大切にしています。苦手意識の背景にはそれぞれ理由があるので、丁寧に話を聞き、共に原因を探るコミュニケーションが必要です。「なぜできないの?」と責めるのではなく、「何が嫌なのか」「なぜそう感じるのか」と一歩踏み込んで、生徒の気持ちを理解するよう心がけています。
また、できている部分にもきちんと目を向けさせることも大切です。「完璧でないと怒られる」「間違えたくない」と不安を抱えている生徒は多く、誰もが正しい英語を話したい、書きたいと思っています。でも、完璧でなくてもいいのです。大切なのは、とにかく話して使ってみること。間違えても大丈夫。これは、私が大学で日本語を学んでいたとき、教授がよく言っていた言葉でもあります(笑)。

面談もホームルームもオールイングリッシュで
担任としては、生徒とどのような話を?
アダム先生
特進グローバルコースでは通常、日本人の先生とペアで担任をしますが、現在私は1人で担任をしています。大変な面もありますが、すべてを1人で行うことで、良い意味で周囲を気にせず、自分のやり方で責任をもって生徒と向き合うことができています。
生徒からは進路、学校生活、人間関係など、さまざまな相談を受けます。私を信頼してくれていると感じられるのは嬉しいですし、私が日本人でもアメリカ人でも、同じように相談してくれていると思えます。
戸惑うのは、アメリカと日本の文化の違いよりも、むしろ世代のギャップ。自分の学生時代にはなかったことも多く、今の生徒たちの世界を想像できずに悩むこともありますが、最初の頃に比べれば、私もずいぶんたくましくなったと思います(笑)。
特進グローバルの文系コースでは、ホームルームや個人面談も基本的に英語で行っています。生徒たちも積極的に英語を使おうとし、その経験が大学の面接などでも役立っているようです。
アダム先生が感じる神戸龍谷の良さを教えてください。
アダム先生
さまざまなコースが用意されていて、自分に合ったものを選べることが魅力だと思います。中高一貫コースやグローバルサイエンスコースなど、自分のやりたいことを考えたうえで、自分にフィットする進路を選択できます。
アダム先生はご自身の性格を「Calm,humorous,patient」とおっしゃっています。落ち着いていて、ユーモラスがあり、忍耐強いという解釈でよろしいですか。
アダム先生
ほぼ合っていますね。日本語で「humorous」を訳すのは少し難しいですが、冗談は好きなほうです。心も広めです(笑)。それに、ポジティブな性格だと思います。グラスの水が半分減っていると見るのではなく、「半分も入っている」と考えるタイプです。
前向きですね。そしてアダム先生の愛するものは音楽。お気に入りは?
アダム先生
ジミー・バフェットです。両親の影響でずっと聴いてきました。アメリカではとても有名なアーティストです。音楽は幅広くいろいろなジャンルを聴きますが、メインは親の世代の音楽が好きですね。
今後、挑戦したいことはありますか。
アダム先生
これまでになかった新しい授業をつくりたいと考えています。現在、特進グローバルコースでは、高校3年生を対象に、大学レベルの「言語研究」という科学的な探究授業を行っています。今後は、こうした大学スタイルの授業をさらに広げて、他校にも、そして本校にもまだない独自の授業を増やしていきたいと思っています。神戸龍谷にはまだまだ多くの可能性があり、私たちが気づいていないこともあるはずです。だからこそ、前向きに新しいことに取り組んでいきたいです。
では最後に、神戸龍谷を目指す小学生にメッセージをお願いします。
アダム先生
自分の将来は自分で思い描いて、自分のやりたいことに挑戦してほしいと思います。その実現のために神戸龍谷に来て頑張ってほしいですね。