
Photo Report国際シンポジウム
パネルディスカッション








オールイングリッシュの
パネルディスカッション
『国際シンポジウム2025』のテーマは『Leadership in a Changing World(変わりゆく世界におけるリーダーシップ)』。司会役の清風南海生から投げかけられるクエスチョンに、5カ国の高校生が英語で意見を述べました。ディスカッションの一部を日本語訳でご紹介!
司会あなたの国におけるリーダーシップ(リーダーの役割や素養)とは?
- アメリカ代表:Rさんチョート・ローズマリー・ホール高校
- 民主的な意思決定を重んじることが大切で、権威主義や不誠実さ、責任感の欠如は有害な要素です。自信と謙虚さ、共感力のバランスを大切にするリーダーが求められています。
- フィリピン代表:Kさんサン・フアン・デ・レトラン校
- リーダーシップとは責任と奉仕であり、謙虚さ、尊敬、調和、共感、そしてコミュニティを重視すべきです。汚職やえこひいき、責任の欠如は、信頼と社会の進歩を損なうと考えます。
- 日本代表:Mさん清風南海高校
- チーム全体のバランスを保つのが大切で、良いリーダーはチーム全体をまとめて行動で手本を示します。悪いリーダーは責任放棄や贔屓をし、他の人の意見を尊重せずに無視する人だと思います。
- ベトナム代表:Hさんマリ・キュリー高等学校
- 団結、長老への敬意、責任の共有が大切な力です。大声で叫ぶポピュリズムではなく、団結力、柔軟性、包容力、そして静かな強さに基づいたリーダーシップが求められています。
- シンガポール代表:Rさんセントジョセフ校
- 多民族国家なので、多文化の結束、実力主義、誠実さ、社会の調和の実現が求められます。私たちは東洋的な調和と西洋の創造性と革新と融合させることで、誰もが参加できる国の在り方をめざしています。
その後も、パネルディスカッションではAIリスクや不平等、紛争といったグローバル課題への対応が議題に。変わりゆく世界には、倫理的で思いやりのある国際的な視点を持ったリーダーシップを状況に応じて発揮することが必要だということで意見のまとまりを得ました。
Photo Report国際シンポジウム
壇上発表(留学生)




Teachers’ Comments

教諭 花房 朋 先生
10周年を迎えた国際シンポジウム。
生徒の視野を広げるとともに国際理解度を深め、
世界で通用するリーダーを育てたい!
清風南海は2015年から2020年まで文部科学省よりSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定を受けていました。国際シンポジウムはSGH指定を期にスタートしたイベントで、徐々に海外提携校を増やしながら内容を深めてきました。今年は「リーダーシップ」というタイムリーなテーマだったこともあり、観覧席の生徒や保護者にもより興味深いパネルディスカッションになったのではと思います。
このイベントの狙いは、世界の多様な価値観を理解し、広い視野で調査・判断・対話できる人材の育成、つまり世界で通用するリーダーを育てることです。とはいえ、このビジョンは抽象的なため、実体験を通じて「世界で通用するリーダー像」を具体化し、行動につなげる場として国際シンポジウムを設計しています。
国際シンポジウムはすべて英語で行われます。パネルディスカッションでのパネリストや司会進行役、今年から始めた留学生によるプレゼンテーションの司会進行を含め、運営係として国際シンポジウムに関わる生徒を中心に、英語に真剣に取り組む生徒が毎年現れることにも、取り組みの効果を実感しています。また次年度の担い手として中学3年生を見学させていることが、効果の継続につながっています。
シンポジウムの後には、グローバル探究ゼミの生徒による「探究成果発表会としてプレゼンテーションとポスター発表も行っています。こちらも高校2年生には英語発表または英語併記での発表を推奨しており、留学生やSGHの繋がりでお招きしている国内招待校の生徒さんたちと活発な質疑応答が見られます。今後も試行錯誤しながらこのイベントを進化させていきたいですね。
Photo Report探究成果発表会




シンポジウムに参加した国外生と
清風南海生の交流(京都観光)





Students’ Comments
Cさん[高校2年生]
国際社会への関心が高く、
その場で議論を深める力に優れていた
海外の高校生たち
清風南海にはコースを超えて参加できる「グローバル探究ゼミ」という活動があり、国際シンポジウムはこのゼミ生から希望者を募り毎年開催しているイベントです。
今年のテーマはリーダーシップということで、6月頃から「グローバル探究ゼミ」の時間を使って、生徒同士が英語でディスカッションしながら自分の考えをまとめていました。ただ、留学生が来日するのは国際シンポジウムの4日前。放課後を使ってディスカッションを繰り返し、それぞれの意見をまとめたうえでリハーサル。時間が足りない分はオンライン会議ツールを使い、ギリギリまで最終調整をしました。
留学生と話すなかで印象的だったのは、全員が日本の首相の名前を言えたことです。私も友達と総裁選やアメリカ大統領選を話題にするので政治に興味がある方だと思っていましたが、アメリカ以外の首長は知りません。国際社会への関心の高さに驚かされました。
また留学生たちとの事前ディスカッションが、とてもスピーディーに進んだことも驚きでした。日本の私たちは、自分の意見に問題がないかを吟味してから発言する傾向があります。一方で留学生は思ったことをすぐ発信し、それをグループ全体で吟味することができるのです。私も社会に出たときに彼らのようなリーダーシップを発揮していきたいなと刺激を受けました。
Mさん [高校1年生]
国ごとに文化が違い、
同じ国でも多様な考え方があるなかで、
意見をまとめる大変さを実感
中学3年生のときに国際シンポジウムを見学。英語で堂々と留学生たちと対話する先輩たちに憧れ、高校生になった今年、国際シンポジウムの運営係に立候補しました。留学生たちとの事前ディスカッションにあくまでお手伝いの立場で参加していたのですが、積極的に発言していたら「パネリストをやってみない?」と誘われて直前に登壇することになりました。正直不安しかなかったのですが、挑戦してみることにしました。
以前、日系アメリカ人である私の母が、大統領選について「アメリカには多様な考え方の人がいる。そもそも2つの候補者に絞るのも悩ましい」と話していたのですが、国際シンポジウムを通じて私も、それぞれの国に多様な考え方の人がいることを実感しました。パネルディスカッションでも最終的な意見の一致をめざすのが難しく、「状況に応じて」という結論にならざるを得なかったのが、少し心残りです。
また、今までテレビ番組などを通して海外の人を理解した気分になっていましたが、それは一面的で、本当はもっと多面的だということを、国際シンポジウムを通じて知ることができました。将来は海外で働きたいので、もっと色々な国の文化についても深く知り、より相手を尊重して共生することができるようになりたいと思っています。