小林聖心女子学院中学校・高等学校

小林聖心女子学院のこれから - 100周年を迎えた改革と校長×生徒対談

発見!私学力
小林聖心小林聖心女子学院小林聖心女子学院中学校クロストーク高校生模擬国連選択授業中学受験私立中学兵庫関西女子校

【小林聖心女子学院中学校・高等学校】校長先生 × 在校生 対談 この世界に変容をもたらす人を育てたい ソフィーの精神を受け継ぐ、小林聖心の改革
カトリック女子修道会「聖心会」を母体とする小林聖心女子学院中学校・高等学校。同校では2023年に創立100周年を迎え、聖心会の理念を踏まえた改革を進めつつあります。14代目校長に就任した大原眞実先生と2名の生徒による対談から、深化する小林聖心女子学院の姿を探ります。
校長 大原 眞実先生
小林聖心女子学院(兵庫)、聖心女子学院(東京)での勤務を経て、2009年に不二聖心女子学院(静岡)へ赴任し、2013年4月から2025年3月まで校長を務める。2025年4月より小林聖心女子学院校長に就任。
Hさん【高校3年生】
模擬国連同好会や高校生平和大使として活躍。上智大学総合グローバル学部への推薦入学が決まった。将来の夢は国際機関で働くこと。
Aさん【高校3年生】
小林聖心で物理の楽しさに目覚め、機械メーカー訪問をきっかけに医療工学の道を志す。推薦で同志社大学生命医科学部に合格。

校長先生×在校生 対談

小林聖心の生徒は20年前から
エレガントでクリエイティブ

大原校長
今年4月から校長として赴任し、高校3年生の宗教の授業を担当しています。生徒の皆さんと接するのが、毎回の楽しみなのですよ。

Aさん
私たちも先生の授業が楽しみです。

大原校長
私がシスターになるための誓願を立てたのは、今から30年ほど前です。その直後に小林聖心へ赴任し、宗教の授業を担当していました。当時から小林聖心の生徒は、エレガントさとクリエイティブさを併せ持ち、一緒にいろいろな改革に取り組んだことをよく覚えています。今、生徒会にある典礼委員会も、私が小林聖心にいた頃にできました。

Hさん
そうなんですか? 私は典礼委員として、ミサの準備や朗読、クリスマス・ウィッシングなどの宗教行事の運営に関わっています。校長先生が立ち上げられた組織なのですね。

大原校長
私というより、当時の生徒会長を中心に、典礼係として担っていた役割を生徒会の部門へ格上げしようという動きがあり、私はそれをお手伝いした形です。そのような関わりから、東京聖心への異動が決まった時には、典礼委員の生徒たちが当時の思い出を会誌に記して発行してくれました。その会誌は今でも大切にしています。

Aさん
私は典礼委員の経験はありませんが、ウィッシング委員として、クリスマス・ウィッシング(クリスマスのお祝い行事)の準備に携わっています。昨年はウィッシングで行うタブローに出演したため、今年は運営に回ろうと決めました。

大原校長
タブローは聖書の物語を演じる劇ですが、小林聖心のタブローは、衣装を着て美しい絵画のようにポーズを取る、少し特別な形式ですね。

Aさん
もうすぐプラクティス期間(クリスマス前の9日間)が始まります。この期間の静けさは、自分自身を見つめ直すための、とても有意義な時間です。

大原校長
以前に比べてシスターの数は減りましたが、キャンパス内の修道院には、今も私を含めたシスターが暮らし、毎日欠かさず生徒たちのために祈り続けています。そうした宗教的な環境が、小林聖心の文化や風土を育む力となっているのでしょうね。

2026年からスタートする
グローバルな改革

大原校長
2026年から新しい取り組みを始めます。そのひとつがフランスへの海外研修プログラム「ソフィーへの旅」です。聖心会のルーツであるフランスを訪ね、創立者ソフィー・バラの足跡や学院発祥地を巡るほか、ユネスコ本部も訪問する計画です。
ソフィーは「世界をより良く変容していくにはどうしたらいいか」を考え続けた方であり、その思いが聖心会の教育理念や教育方針につながっています。ユネスコは、そうした意味で私たちと親和性の高い国際機関です。生徒には訪問を通して、「この世界の中で自分に何ができるのか」を考えてほしいと願っています。

Hさん
私の夢は国際機関で働くことなので、「ソフィーへの旅」はとても羨ましいです。私の在学中に始まってくれたらよかった…(笑)

Aさん
「ソフィーへの旅」は希望制なのですか?

大原校長
高校生を対象に、希望者を募ります。「ソフィーへの旅」は、私が前任校で始めた「ルーツへの旅」をもとにしたものですが、当初は、これほど早く始める予定ではありませんでした。ところが赴任してまもなく、「私たちも行きたいです!」「小林聖心でも実施してください!」と、希望に満ちた表情で嘆願する生徒たちに囲まれまして(笑)。先生方と相談のうえ、2026年から始めることにしました。

Aさん
私も、自分が12年間育ってきた学院のルーツを辿る旅に参加してみたかったです。

大原校長
もう一つ、UPAS(ユーパス)という海外大学進学協定校推薦制度にも加盟しました。小林聖心には海外進学への関心が高い生徒が多い一方で、書類作成や手続の煩雑さがハードルとなっていました。しかし、UPASを利用すれば、学校の評定平均をもってUPAS協定校へ出願でき、書類審査のみで合否が決まります。つまりアメリカを中心とした英語圏の大学約100校への進学が、容易になるわけですね

Hさん
小林聖心は、海外進学を希望する生徒にとって、とても優しい学校だと思います。校内では、「海外大学進学講座」が開催されており、私も中学3年と高校1年時に受講していました。進学予定の上智大学の魅力を知るまでは、海外進学も視野に入れていたからです。
私以外にも「海外大学進学講座」を受講していた生徒は多く、UPASへの加盟は、後輩たちの海外進学のチャンスを広げてくれると思います。

Aさん
私は大学で、海外での研究に挑戦してみたいと考えています。進学予定の同志社大学の生命医科学部には、提携する海外の大学や研究機関へ1年間留学できるプログラムも用意されています。先進的な研究に触れるためにも、ぜひ活用したいと考えています。

生徒を型にはめない
多様性を重んじる教育

大原校長
Hさんは小林聖心の模擬国連同好会で活動していたそうですね。

Hさん
幼い頃、EUの主要機関やNATO本部が置かれているベルギーのブリュッセルに住んでおり、身近に国際機関で働く方が多かったことが、影響しています。模擬国連の魅力は、教科書の枠を超えて世界や社会について深く学び、国同士の勢力バランスやジレンマに向き合いながら、解決の難しい問題に取り組むところにあると思います。

大原校長
学院を越えた活動として、高校生平和大使も務めていましたね。

Hさん
模擬国連に参加していなくても、小林聖心には多くの奉仕活動のチャンスがあり、これまで自分たちが知らなかった世界の課題に触れることができます。私は、そうした奉仕活動や模擬国連での経験を通して、「学んだことを社会に生かさなければもったいない!」と考えるようになりました。そんなときに目に留まったのが、高校生平和大使を募集するポスターです。
私は模擬国連大会で、核軍縮を議題にした経験があります。それを平和大使として生かしたいと考え、高校2年生のときに第27代高校生平和大使を務めました。今年は第28代メンバーとして活動しています。

大原校長
今年11月、模擬国連同好会の高校2年生メンバーが、東京で開催された全国高校模擬国連大会に参加し、最優秀大使賞を獲得しました。来春には2年連続、日本代表としてニューヨークへ派遣される予定です。素晴らしい成果ですね。

Hさん
はい! 昨年の奨励賞は偶然ではなかったと証明できてうれしく思います。私も参加したかったのですが、平和大使の活動が忙しすぎて、かなわなかったのが残念です。

大原校長
Hさんは、大学でチャンスがあります! Aさんは同志社大の生命医科学部をどうして志したのですか?

Aさん
生命医科学部では、医学と工学の融合分野を学ぶ医情報学科を志望しています。この学科で研究している超音波システムの開発に、とても興味を持っているからです。MRIやエコーといった医療検査機器から産業分野の電子デバイスまで幅広く研究できると聞いています。
また、生命医科学部を希望するきっかけとなったのが、今年の8月に開催された「土曜講座~キャリアワークショップ」への参加です。魚群探知機で有名な古野電気を訪問し、研究や技術の現場に触れたことが、大きな刺激となりました。
そこで、魚群を探知するために超音波を用いた技術の開発や、医療工学分野にも参入しているという話を聞き、興味を持ちました。ですが、そもそも私が物理に興味を持ったきっかけは、小林聖心の授業です。

大原校長
小林聖心ではさまざまな選択授業を用意していますが、Aさんは理系科目を選択したのですか?

Aさん
はい。高校1年で共通カリキュラムの「生物基礎」と「化学基礎」を履修し、高校2年で週5時間の「総合物理」を選択しました。さらに、週3時間の「化学」と週8時間の「数学」も加わり、理系科目で固めたハードな1年間でした。
ですが、この「総合物理」の授業が本当に面白くて、大阪大学が開催する大学物理のイベントに自主的に参加するようになりました。高校3年では、物理学コンテストにも挑戦しました。そのように教科書の学習以外の物理に触れたことで、物理を応用した工学や医療工学への関心が深まりました。

大原校長
小林聖心の生徒は、一人ひとりが本当に多様で、ユニークな夢を持っています。自ら学ぶ力を持つ生徒に対して、私たちにできるのは機会や環境を整えることです。そのため、少人数教育の中で多彩な選択科目を用意し、コース制にとらわれない自由度の高い環境で、生徒一人ひとりの夢の実現を支えられるのが、小林聖心の強みだと思っています。

変わらないために、
変わることを恐れない

大原校長
小林聖心の魅力はどんなところだと思いますか。

Aさん
好きなことを否定されない環境です。私は高校2年から物理に関わる進路を希望していましたが、学校外では「好きなだけでは無理だよ」と否定されることもありました。それでも小林聖心の先生方は、「好きなことを突き詰めることが、人生を豊かにする」と背中を押してくださいました。だからこそ、自信を持って今の進路を選ぶことができたのだと思います。

Hさん
まず挙げたいのは、一生ものの人間関係を築けることです。「聖心は一つの家族」という言葉があるように、先生や友達と家族のように過ごすことができ、本当にかけがえのない時間を得られます。
また小林聖心では、他者のために尽くす奉仕の精神を養うことができました。私たちにとっては当たり前のこの精神が、社会に出ると必ずしもそうではないと、平和大使の活動で気付かされました。世界をより良くしていこうとする意志や行動力を身につけられた私たちは、とても恵まれていると思います。

大原校長
聖心会の会憲に「教育とは、共に与え合い共に成長する、真摯な人間関係の内に営まれる」という言葉があります。私たち教員も生徒の皆さんも、生涯学び続けていく姿勢を大事にしていきたいですね。

Aさん
今年から、本館校舎と学習センターのリノベーションが始まりますね。黒板がホワイトボードに変わると聞き、理系科目ではプロジェクターで画像を映しながら授業を行うことが多かったので、より取り組みやすくなるのではと思いました。

Hさん
100年前の床が張り替えになるなど、改修には少し寂しさもありますが、社会や英語の授業でも動画を見る機会が多いので、ホワイトボードになるのは賛成です。

大原校長
建物の良さは大切にしながらも、機能面で改善できる部分は改修したいと考えています。本館を設計したのは、帝国ホテルの建設で知られるチェコの建築家、アントニン・レーモンドです。阪神・淡路大震災でもびくともしなかった名建築ですので、今後も大切にしていきたいですね。
また中高の図書館、学習センターについては、より探究的な施設となるよう、首都圏をはじめさまざまな学校を視察しながら構想を練っています。3Dプリンターなどを設置し、試作や実験ができるラボを作る案も出ています。実現したら、Aさんに講師として来ていただくのはいかがですか?(笑)

Aさん
私に務まるでしょうか?でも、そう言っていただけて嬉しいです。小林聖心に理系のイメージを持つ方は少ないかもしれませんが、この学校は、私が医療工学の道を志すきっかけをたくさん与えてくれました。ラボができて、物理や工学の世界に興味を持つ後輩が、さらに増えてくれたら嬉しいです。

大原校長
そうですね。ここで二人に、聖心会総長の言葉を少し紹介したいと思います。
「情熱を持って今を生き、希望を持って未来を受け入れるために、私達が過去のある種のやり方への執着を手放し、新しい道・新しいやり方・新しい見方を、個人としてコミュニティとして見出すよう、ソフィーは私達を招いていると信じています」。
この言葉を胸に私は、生徒の意見を取り入れ、先生方ともていねいに話し合いながら、小林聖心というコミュニティがより良くなるように、改革を進めていきたいと考えています。

Hさん
校長先生のお話をうかがい、小林聖心は「変わらないために変わっていく」学校なのだと感じました。これからも、他者や社会のために貢献できる後輩が多く出てくると思いますから、そんな彼女たちといつか一緒に世界で働きたいと願っています。

大原校長
今、教育の現場では「エージェンシー」という言葉がよく使われます。変革を起こす力を表す、現在的な言葉なのでしょう。ですが小林聖心は、フランス革命の時代を生きたソフィー・バラの「この世界に変容をもたらす人を作りたい」というスピリットから生まれた学校です。この理念を体現する人を育てるために必要なことを、校長として考え続けていきたいと思います。

学校記事一覧 学校サイト