雲雀丘学園中学校・高等学校

探究心を育てる「フロンティアウィーク」とは?

発見!私学力
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雲雀丘学園中学校・高等学校 生徒も教員も“未踏”の領域へ!探究心に火をつける「フロンティアウィーク」
昨年度からスタートした「フロンティアウィーク」は、探究学習に力を入れる雲雀丘学園中学校・高等学校ならではの挑戦的で斬新な取り組みです。定期テスト後の1週間にわたり、中1から高2までの全クラスで実施され、教員が自らプロデュースした、教科学習とは異なるバラエティー豊かな授業が展開されます。探究心と挑戦心を刺激するスペシャルな学びについて、担当の先生方にお話をうかがいました。
生徒も、教員も、新たな学びを“フロンティア=開拓”できる!

Photo Report

Teachers Interview

「こだわり力」があれば、
幸福感をもって人生を歩める。

林 宏樹先生
情報科主任・数学科教諭/新領域授業担当リーダー
林 宏樹 先生

― フロンティアウィークを実施するに至った経緯・理由を教えてください

先生1週間にわたるフロンティアウィークの学びを実施することによって、生徒と教員の双方にメリットがあると考えました。これまでは、教科学習としての「普段の授業」と「探究の授業」を通年でカリキュラム化し、生徒は二つを同時に進めていました。しかし、学んだことをすべて自分の中に落とし込めるとは限りません。人には容量がありますから、“あれもこれも”となると、結果的にただ多忙なだけで終わってしまう場合があります。それを解消するために、「探究の授業」の基礎期と集中期のフェーズをつくり、7月と12月にフロンティアウィークとして探究集中期を実施することにしました。

― 通常期に行われていた「探究の授業」は、すべて7月と12月に移行したのですか。

先生当然ながら、通常期にも「総合的な学習・探究の時間」の授業カリキュラムはあります。そこで取り組む探究的な学びは、フロンティアウィークに向けた、データの扱い方、可視化の方法と効果など、基本的なレベルに留め、そこから一歩踏み込んだ探究心を刺激する授業は、フロンティアウィークでより実践的に展開することにしました。

― 一方、先生にとっては、どのようなメリットがあるのでしょう?

先生期末テスト後、つまり長期休みに入るまでの1週間は、生徒にとって「やっとテストが終わった!」と解放感のある時期です。実はその時期に通常授業を行うことは、教員にとって少し悩ましい面がありました。普段通りの授業を行っても、すぐに夏休みや冬休みに入ってしまい、次学期の初めにもう一度復習の授業を行い必要があったからです。そこで、期末テスト後の1週間を探究の授業に特化することで、生徒に“別の学び”へのスイッチを入れることができ、そこで教員は通常授業では試せない新たなことに挑戦できます。

― フロンティアウィークの名の通り、先生は授業を“開拓”できるのですね。

先生その通りです。フロンティアウィークの授業カリキュラムは、まず学校として“絶対にやるべき”ものを決め、ここでは「AI」を活用した授業を各教科で1コマずつ設定します。そのうえで残りのコマを“自由枠”として、教員が自らプロデュースしたやりたい授業ができます。その授業は教室で行っても、校外に飛び出て実践的に行っても構いません。
後者の例をあげれば、大阪・梅田のグラングリーン大阪で、慶應義塾大学の教授と大学院生を招き、システムデザイン学の講義を企画した教員もいました。本校は、2024年度に文部科学省の「DXハイスクール」と、兵庫県の「ひょうごリーダーハイスクール」の指定を受けました。これからもさらに、社会に出ても活躍できるマインドと探究心を育むことができる雲雀丘独自の授業を実践していきたいです。

― 今後、フロンティアウィークの学びをどのように進化させていきますか。

先生すでに実践している教員もいますが、今後は学年を超えて生徒同士がつながれる授業を、さらに充実させていきたいと考えています。過去に実施した授業を紹介すると、高2生が自らの探究学習の成果を中2・中3のクラスで発表したものがありました。こういう場になると、「下級生に格好良い姿を見せたい!」という意識が働くので、高校生たちは普段以上に意欲的になり、見事なプレゼンテーションを披露します。その姿に憧れる中学生も多く、こうした取り組みは学年を超えた学びとなり、双方に良い刺激を与えられていると感じます。

― フロンティアウィークの授業を通して、生徒に身につけてほしい力とは?

先生「こだわり力」です。その力があれば、好きなことを深掘りでき、「高校時代に、自分はこれにこだわって探究した!」と胸を張れます。探究学習というと、社会問題やSDGsをテーマにしなければならないと考えがちですが、私はそこにこだわる必要はないと思っています。趣味をテーマにしても構いません。“推し活”に熱中している人は、まさにそれを実践しているわけで、自分の好きなことに情熱を注ぎ、それを熱く語れる人は、幸福感をもって自分の人生を歩めると思います。

「考える力」を培えば、
多角的に物事を見ることができる。

前田 宏太郎 先生
数学科教諭/中学1年担当
前田 宏太郎 先生

― 先生がフロンティアウィークで実施した授業について教えてください。

前田先生私は中学1年の各クラスで「デジタル×個別学習法」という授業を行いました。普段の授業を通して、生徒には「自分で考える力」を身につけてほしいと感じたことが、この授業を実施するきっかけになりました。定期テストや入試では、「解ける問題からしっかり点数を取る」ということが大事です。しかし、普段の勉強では、むしろ1問に対してじっくり向き合って考えるということも重要になってきます。そのような経験をする事は、思考力を育むことにもつながってくるのではないかと感じています。そのため、フロンティアウィークの数学の授業を通して、「自分で考える」とはどういうことかを、生徒自身に気づいてほしいと思いました。

― 具体的にどのように授業を展開されたのですか。

前田先生2学期の期末テストで正答率が低かった問題を1つピックアップし、その類題を生徒に4択形式で作ってもらいました。まず、何を問うのかという“本質”を考えることから始め、それを理解した上で、正答を含む4つの選択肢から自ら設定していきます。その作問のプロセスでは「考える」という行為は必須で、それを生徒一人ひとりに自然な形で体感してもらうというのが、この授業の狙いです。

― 作問の出来は、先生がチェックされるのでしょうか。

前田先生フロンティアウィークの授業は、テストもなく、教員が評価して成績に反映させることもありません。今回の授業をもう少し詳しく説明すると、まずは生徒一人ひとりが作問し、次に班で代表の問題を1つ決め、それを隣の班と交換するという流れです。他の生徒が考えた問題に触れることで、「こうした視点もあるのか」という新たな気づきを得られ、実際に解くことで正答率の低かった問題への理解もより深まります。

― 「デジタル×個別学習法」のテーマと作問は、どのようにリンクを?

前田先生以前から、中1生には「勉強のやり方がわからない」という声が少なからずあり、そこも解決してあげたいと考えていました。作問は「こうした学習法もある」と気づかせる、1つの例です。この経験をきっかけに、数学の問題に向き合う時だけでなく、学習法そのものについても自ら考え、試行錯誤しながら、自分に合ったやり方を見つけていってほしいと思っています。

― 「デジタル×個別学習法」の“デジタル”についても教えてください。

前田先生そこは、教員側・学校側にとってのトライアルの部分です。数学科全体としてCBT(Computer Based Testing)のシステム導入を検討していて、今回のフロンティアウィークで試しました。CBTとは、コンピュータ上で実施するテストのことです。数学の学力向上には、間違えた問題を解き直し、数多くの類題に取り組むことが大切です。現在は、そうした学習をデジタル端末上で生徒に提供できる仕組みづくりを目指しています。

― 今回のフロンティアウィークの授業では、それも試されたということですね。

前田先生その通りです。今回の授業を整理すると、「正答率が低かった問題のピックアップ → 類題を生徒が作問することで考える力を鍛える → 他の班が作った問題を解いて新たな視点に気づく → 最後にデジタル端末で問題演習にチャレンジする」という流れになります。この最後の演習を担うのがCBTシステムで、自動採点にも対応しています。新しい取り組みに挑戦する事によって、生徒と教員のどちらにも新たな発見が生まれることもありました。

― フロンティアウィークの授業を体験した生徒たちを見て感じることは?

前田先生フロンティアウィークの授業は、生徒の探究心を刺激するものですから、日々の教科授業とは学びの中身も目的も異なります。普段の授業では、生徒も教員も「ここまで必ず進めなければ」という義務感が生じますが、フロンティアウィークの授業は、良い意味で“行事”として楽しめます。そのため、生徒は興味関心をもって主体的な姿勢で授業に臨むことができ、教員は「生徒の探究心を高めたい」という思いで、普段はできないことに挑めます。生徒と教員が共に成長していけるのが、フロンティアウィークの学びの魅力だと思います。

Student Voice

Tさん

自分で考えることの面白さに気づけました!

さん(中学1年)

普段の授業は、教科書を使って先生の説明を聞くことが中心で、生徒は「話を聞く」「教わる」という立場です。でも、フロンティアウィークは、自分で考えたり、友達と話し合ったりすることが多く、前田先生の授業では自分で数学の問題を作る体験ができました。難しさもありましたが、4択を考える時に、「ここをひねったらどうなるのか?」「こうしたら、みんな迷うのでは?」と考えるのが、とても面白かったです。
また、フロンティアウィークの英語の授業では、生徒が先生になるという、いつもと立場が逆転する経験をしました。この授業を受けて、“人に教える”という先生の仕事は大変だと感じました。次の中2で受けるフロンティアウィークもどんな体験ができるのか、今からとても楽しみです。

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