3月の土曜日、明星学園中学校で2025年度の卒業式が執り行われました。晴れやかな笑顔の9年生を支えたのは、先輩を送るために集まった7・8年生の実行委員です。卒業制作で彩られた会場、参列者や在校生から卒業生一人ひとりの堂々とした姿を確認できる卒業証書授与――。卒業生が主役であることを実感させる卒業式と、その舞台裏を支えた実行委員の活躍を紹介します。

すべての人が関わり、ともにつくり上げた卒業式

卒業式が行われる体育館には、美術科や木工・工芸科の卒業制作が展示され、保護者や家族は式典が始まるまでの時間を楽しみます。
定刻になると、拍手で迎えられて入場した卒業生たちは、保護者や在校生と向き合う壇上に並び、堂々と晴れの日の姿を見せました。正装は自由。袴やドレス、スーツなど、一人ひとりの個性が会場に華やぎを添えています。

開会を告げたのは、司会を担当する7年生と8年生の実行委員。歴史を感じさせる「明星学園行進歌」に続き、和太鼓部による祝賀演奏が行われ、卒業生も加わった力強く躍動感あふれるパフォーマンスが、会場は一気に熱が高まりました。
続く「在校生のことば」は8年生の新自治会長が担当。「卒業生のことば」では代表の3名が登壇しました。中学校生活を振り返りながら、挑戦や成長、仲間への感謝、明星学園での学びの楽しさや将来への思いを、まっすぐな言葉で語りました。

卒業証書授与は、明星学園ならではのスタイルです。卒業生は舞台上ではなく、保護者や在校生の正面に進み出て、副担任の先生に名前を呼ばれると大きな声で返事をして、校長先生のもとへと歩みます。その一人ひとりに同級生も声をかけ、会場はさらに一体感に包まれました。証書を受け取った先には学年団の先生たちが並び、抱き合ったり握手を交わしたりしながら、それぞれが感謝の思いを伝えます。

すべての授与を終えると、卒業生による合唱へ。指揮もピアノ伴奏も卒業生が担い、3曲を披露しました。日頃から歌う機会が多い明星学園らしい、のびやかで力強い歌声が会場に響き渡ります。
やがて退場する卒業生を見送って、式は閉会へ。主役である卒業生自身が場をつくり上げ、その姿を在校生の実行委員が支えて進められた卒業式は、生徒の主体性を重んじる明星学園らしい時間となりました。最後に客席前で、実行委員たちが紹介されたことも印象的です。
笑顔と誇らしさに満ちて退場していく卒業生。その姿を憧れのまなざしで見送る在校生。あたたかく見守る保護者や先生たち。会場にいたすべての人が関わり、ともにつくり上げた明星学園ならではの卒業式でした。

卒業式実行委員 8年 小塩さん / 8年 木野さん

9年生がきれいで嬉しそうな卒業式
実行委員をやってよかった
― 卒業式実行委員について教えてください。
木野さん ▶︎
実行委員は、7年生と8年生から各クラス2人ずつ、計16人です。準備期間は短く、2週間ほど前に初めて招集され、その場で役割分担を立候補で決めました。私は卒業生の退場の誘導を担当しました。
小塩さん ▶︎
私は、入口での来場者の整理と、式典の進行に合わせてピアノなどの備品を運ぶ担当でした。
― 木野さんが実行委員に立候補した理由は?
木野さん ▶︎
私は小学校からの内部進学で、卒業する9年生の中には小さい頃からお世話になってきた先輩がいました。それに、7年生と8年生の夏休みに参加したタイ短期留学で、1学年上の先輩と仲良くなり、その先輩を卒業式で送り出したいと思ったんです。仲の良い友達が「一緒にやろうよ」と声をかけてくれたことも大きかったです。
― タイ短期留学で9年生と交流があったんですね。
木野さん ▶︎
タイでは12日間をほぼ一緒に過ごし、言語も文化も違う中で試行錯誤しながら現地の文化に溶け込もうと必死でした。お互い支え合って過ごしたことで、強い絆が生まれたと思います。帰国後も一緒に遊んだり、学校で会えば挨拶をしたりしていたので、卒業を見送ることができて本当によかったです。タイまでは全く知らない先輩でしたが、明星は上下関係が厳しくなく、初対面でも接しやすいので、すぐ打ち解けられました。
― 木野さんはこれまでにも実行委員などを経験してきたのですか。
木野さん ▶︎
8年生の春には入学式実行委員をやりました。中学校に入って初めて後輩ができるので、その入学を見届けたいという気持ちで参加しました。親友の妹が1学年下で、入学してくることも理由の一つでした。
― では、小塩さんが実行委員に参加した理由を教えてください。
小塩さん ▶︎
特に「やりたい!」という強い気持ちがあったわけではないのですが、8年生は卒業式に参加するので、ただ見ているだけではなく9年生のために自分も何かしたいと思って参加しました。これまで9年生と深く関わる機会が多かったわけではありませんが、顔を知っている先輩もいたので、その人たちを送り出すお手伝いができればいいなと思ったんです。
― 卒業式を裏から支える仕事をしてみて、感じたことはありますか。
小塩さん ▶︎
実行委員同志の協力やタイミング、声かけなど、会場設営は大変なことが多かったです。椅子をきれいに並べたり、花道にシートを敷いたりする作業中は、正直あまり楽しいとは思えませんでした。でも、卒業式が始まり、会場で見た9年生はとてもきれいで嬉しそうで、「やってよかった」と思えました。
木野さん ▶︎
私は準備の日に体調不良で休んでしまい、会場設営には参加できませんでした。ただ、卒業式という大事な行事を自分たちでつくる役割を担っているので、責任は強く感じていました。主役は卒業生なのでその邪魔にならないように、裏でスムーズに動くことを意識しました。
自分たちでつくり上げ、一員として関わる卒業式
そのぶん、楽しさも喜びも大きい
― 実際に実行委員として支えた卒業式の感想は?
小塩さん ▶︎
明星の卒業式は個性があって印象的なので、その場を近くで支えられることで、自然と気持ちも入り込めました。今日は、本来実行委員が誘導する場面でも、9年生が状況を見て自分たちで動いてくれて、その姿がとても良かったです。来年は自分たちも、全体を見て動ける卒業式にしたいと思いました。
木野さん ▶︎
自分たちでつくり上げていくので、見ているだけよりも一員として関わっている実感が持てました。そのぶん、楽しさも喜びも大きかったです。今年の卒業式は大きな失敗もなく、スムーズに進みました。卒業生も先生も嬉しそうで、それを見て私も嬉しくなりました。来年は自分たちが卒業する立場として、今年のような卒業式を迎えたいです。
― 明星の卒業式の個性はどこに感じましたか。
小塩さん ▶︎
私は中学校から明星に入学しましたが、小学校の卒業式は厳格で、細かい決まりがいっぱいありました。でも明星の卒業式はとても自由で、卒業証書授与のときも卒業生が名前を呼び合ったり声を掛けたりして、会場が盛り上がりました。一人ひとりが、自分らしい姿で壇上に立っているところも良く、先生が泣いている姿も印象的でした。
木野さん ▶︎
私は生徒主体で卒業式をつくり上げているところに、明星らしさを感じました。司会や会場設営など、本来は先生が行うことも生徒が担っているので、特別感があります。そうした姿を後輩が見て、また次の世代に受け継がれていくのかなと思いました。
― 卒業証書を受け取ると、先生と握手をしたり、抱き合ったりしていましたね。先生と生徒の距離の近さについてはどう感じましたか。
小塩さん ▶︎
遠くて細かい様子までは見えませんでしたが、特別なことというより、明星では自然な光景だと思いました。
木野さん ▶︎
私は近くで見ていて、先生との絆の強さを感じました。抱き合ったり、ハイタッチしたりする様子も、違和感がなかったです。
誰かを輝かせたいなら、
そのために自分ができることをやる
― 今回の卒業式のような生徒主体の環境があるからこそ、皆さんの成長につながるのだと思います。実行委員の経験を通して、自分に変化はありましたか。
木野さん ▶︎
小学校の頃から実行委員に興味があり、昨年も入学式実行委員を経験しましたが、今回改めてみんなで協力して一つのものをつくる良さを実感しました。今は学校外の活動にも挑戦してみたいと思っていて、例えばボランティアや、国際交流に興味があります。海外への留学にもまた挑戦してみたいです。明星では、中学生のうちからこうした経験ができるのが大きな魅力です。周りにも積極的に行動する人が多く、自然と自分も動くようになります。
小塩さん ▶︎
今回、裏方の実行委員を経験して、「こういう役割もいいな」と思えたので、これからはいろんなことに挑戦していきたいです。
昨年は、高校生が中心となって行う「明星祭」に応募して、8年生の仲間10人でダンスをつくって披露しました。7年生のときは最終的に3人になってしまったのですが、8年生では「絶対にみんなで踊りたい」と思い、自分から声をかけて仲間を集めたんです。
その経験から、「やりたい」と思ったことは自分から行動すれば実現できると感じました。自分たちで進める中で、やりたい方向性が定まらなかったり、意見がまとまらなかったりすることもありますが、その中で役割が生まれ、自分の得意にも気づけるようになります。
― 今回の経験を踏まえて、後輩に実行委員の魅力を伝えるとしたら?
小塩さん ▶︎
裏方は目立たない仕事ですが、誰かを輝かせたいと思うなら、そのために自分ができることをやると必ず得るものがあります。
木野さん ▶︎
自分でも気づかなかった得意や、自分にできることが見えてきます。大変なぶん、終わった後の達成感も大きいので、一度経験してみてほしいです。
― 最後に、明星学園中学校の良さを教えてください。
小塩さん ▶︎
外からは怖そうに見られることもあるようですが、実際はとても温かくて優しい学校です。友達や先生の雰囲気がよく、毎日楽しく過ごしています。もし明星に入っていなかったら、今の自分の性格は全然違っていたと思います。自分の考え方や個性を伸ばせる環境があり、自分たちで考えて行動できる機会も多いので、自分の世界が広がります。ただ、「自由だからこそ自由をはき違えない」ということは、先生からよく言われます。7年生の最初の頃は意味がわかりませんでしたが、今は「ルールを守るからこそ自由も守られる」と、深い意味を理解できるようになりました。
木野さん ▶︎
生徒主体の学校なので、自立する力が身につくと思います。好きなことや価値観を否定せず、学校全体で応援してくれるので、自分の「好き」や「得意」を見つけて深めることができます。さまざまな経験の中で自分のやりたいことが見えてきて、将来の可能性を広げられる学校だと思います。