学園創立120周年事業の一環として行われた校舎リニューアルが完了した2022年、関西大倉中学校・高等学校の図書館も新しく生まれ変わりました。蔵書数は55,700冊。生徒たちは放課後の読書や自習だけでなく、国語科の授業や探究学習でも図書館を利用します。加えて、本を読むためだけでなく、友達や司書とおしゃべりをしたり、自然を眺めながらひと息ついたりと、思い思いの時間を過ごす生徒の姿も。生徒たちにとって、図書館は本と出会い、人とつながり、自分らしく過ごせる「サードプレイス」でもあります。そんな「関倉図書館」の魅力を、在校生と司書の先生に語っていただきました。

学園創立120周年事業の一環で行われた校舎リニューアルにより、新しい中央共用棟が完成したのが4年前。その2階に設けられた図書館は、1階からの吹き抜け空間と相まって、エントランス付近は明るく開放感に満ちています。読書や自習で疲れたら、窓の外に目を向け、四季折々の自然を眺めながら一休みできます。豊かな緑に囲まれた関倉図書館に身を置くと、学校にいながら時間がゆったり流れているように感じられます。
読書や自習をする生徒だけでなく、誰もが気軽に足を運びたくなるのが関倉図書館。司書の方と他愛のない話をするためにやって来る生徒も多く、新たなコミュニティが生まれる場所にもなっています。貸し出しカウンターの端には、生徒たちが「一時保育」と称して置いていくキーホルダーやキャラクターグッズも。今年度から自由に書き込みができる「まにまにノート」も設置されました。
入口から館内の奥に伸びる「ブックストリート」は、関倉図書館のシンボルともいえる通路です。一歩足を踏み入れると、左右の書架にずらりと並ぶ本が「読書の森へ、ようこそ!」とばかりに生徒たちを迎えます。館内には、国語科の授業や探究学習で使用する図書館教室も配置。普段過ごす教室とは異なる図書館ならではの静かな空気の中で、読書や調べ学習に向かう時間が、生徒の知的好奇心を自然と刺激します。


- 場所
- 中央共用棟2階(2022年「中高合同図書館」としてリニューアル)
- 蔵書数
- 55,700冊(開架41,400冊、閉架14.300冊)
- 座席数
- 189席(閲覧スペース83席、図書館教室106席)
- 開館
- 9:30~18:15/月~金曜日、9:30~17:45/土曜日
◎長期休み期間中は、通学バス運行に合わせて開館
- 刊行物
- 図書委員つーしん!(図書委員が月に1回発行)
図書館だより(司書が不定期に発行)
- 図書委員
- 高校生・19名、中学生37名(※) ※中学生は、週1で高校生と一緒に本格的な取り組みをするスペシャル組(12名)と、不定期で集まり特設コーナーづくりなどを手伝うカジュアル組(25名)に分かれて活動。
- 主要活動
- 読書サロン、ビブリオバトル、文化祭イベントetc.
- モットー
- 生徒が求める書籍・資料を迅速に提供する!
どの生徒も入りやすい雰囲気づくりを徹底!

- Aさん
自分の学校の図書館だからと贔屓目に見なくても、広さやきれいさ、立派な佇まいなど、他校に劣るところはないと思っています。中でも、個人的に魅力を感じているのが、館内の象徴でもある「ブックストリート」です。入学して初めて図書館に足を踏み入れたときは、書架に並ぶ本の多さに思わず圧倒されて、「本好きの人には最高の空間!」と心の中で叫びました。館内には「新着・特設コーナー」や「布教本コーナー」が設けられ、ふらりと図書館に来た生徒も本を手に取りやすくなるよう工夫されています。刊行物も、今まで以上に魅力あるものにしようと、今年度から月に1回「図書委員つーしん!」を発行しています。

- Iさん
静かに本を読んだり、勉強したりする場所だけでないところが、関倉図書館の魅力だと思います。私は読書が好きなので、図書館に来て友達や図書委員の仲間と本の話をするのが何より楽しいです。あまり本を読まなくても、ちょっとしたおしゃべりをしに来ている生徒もいて、そんな様子を見ると、ここはみんなをつないでくれる空間なんだと、あらためて実感します。
- Nさん
本を借りたり、図書委員の活動をしたりするときだけでなく、国語科の「作家の時間」や「読書家の時間」でもこの図書館を利用できるのは、とても恵まれていると思います。まだ読んだことのない本や知らないジャンルの本が無限と言えるくらいたくさんあるので、ここに来るたびに「今日はどんな本に出会えるのだろう!」とワクワクします。
- Sさん
席に座って窓の外に広がる自然をのんびり眺められるのも、緑に囲まれた関西大倉ならではの魅力だと思います。僕の場合、図書館を利用するときは、本を借りる、自習をする、という単独の目的ではなく、「読書+休憩」をセットにしてゆったりと時間を過ごしています。
関西大倉では、中1・中2の2年間、国語科で「作家の時間」「読書家の時間」の授業が行われます。「作家の時間」とは、生徒が作家になりきって自ら書く題材を見つけ、書いたものをもとに班で意見を交わします。「読書家の時間」は、誰かに指示されるのではなく自分が読みたいと思う本を各自が手に取り、読む力を培います。そうした“書く・読む”ことを実践する場が図書館教室で、司書の方も本探しやオススメ本の紹介などでサポートします。
[参考]ココロコミュ
- Aさん
実は、図書委員がアクティブに活動し始めたのは、2年前の秋からです。それまでは、中学で形式的に存在しているだけで、高校生が関わることはありませんでした。そんな状況を変えるきっかけをつくってくださったのが、2024年に着任された司書の村山先生です。「たくさんの生徒が行き来する、活気ある図書館にしたい!」という情熱を持って、私たちを導いてくれました。
- Iさん
私は村山先生とともに、A先輩をはじめ現高3生の存在も大きかったと感じています。A先輩は高校から入学し、村山先生と同じ年度に関西大倉の一員になりました。「中高一貫校なのに、中高生が一緒に活動しないのはもったいない!」という思いから、図書委員を中高合同のスタイルに改めてくださり、初代委員長として活動してくれました。
- Aさん
いろいろ企画を考えましたが、その中で「本ガチャ」は今も図書館の入口に設置され、在校生に利用してもらっています。図書委員のおすすめ本を記した紙をカプセルに入れ、ガチャガチャBOXから引いてもらうもので、ずっと人気があります。
布教本コーナー
- Iさん
私はA先輩から委員長のバトンを受け、「図書委員つーしん!」を監修する立場になりました。だからといって、自分の個性が出しすぎるのは良くないので、制作担当者の思いを尊重しながら、読み手に図書館や本の魅力がしっかり伝わる内容にしたいと思っています。
- Nさん
「図書委員つーしん!」は、高校生の先輩方が中心となって執筆しているので、私が本格的に担当するのは、来年、高1生になってからです。そのときに少しでも良いものを作って在校生の皆さんに届けられるように、今は先輩たちのそばでいろいろなことを学んでいます。
- Sさん
僕は図書委員ではないので、「図書委員つーしん!」を受け手側の視点で見ています。司書の先生が不定期で発行する「図書館だより」とはまた違って、同年代の委員の皆さんの思いが詰まっています。楽しみながら作っているんだな、と毎回感じています。
初代の「本ガチャ」は、図書委員の生徒たちが自らの手でオリジナル作成した段ボール製。2025年の設置当初から利用する生徒が多く、やがてボロボロになって寿命を迎えたため、今は製品化されているガチャガチャBOXが二代目として活躍しています。カプセルの中に入っている図書委員のおすすめ本のコメントは、短くても本への“愛”が十分に伝わるもの。定期的にテーマを変えて紹介しているので、新しい本との出会いが期待できます。
本ガチャ- Aさん
これまでを振り返ると、中2のときが一番本を読んでいました。週に1冊のペースで借りたり購入したりして、読みやすい本であれば3日ほどで読み切っていました。月にすると、5~6冊は読んでいたと思います。小説も、それ以外の本も読みますが、高校生になってからはミステリーが私のブームです。読みながら自分の頭で謎解きをするのが楽しいです。
- Iさん
よく読んでいた時期は、図書館で借りられる上限3冊を借りていました。自分が図書委員として本を紹介する側なので、読めるときにたくさん読み、頭の中のレパートリーを少しでも増やせるように心がけています。好きなジャンルは青春群像劇です。重たい恋愛系はちょっと入り込みづらいので、今の私には青春ストーリーが合っています。
- Nさん
私はA先輩と同じくミステリー小説が好きです。中2の「読書家の時間」につけていた記録を見ると、年間で55冊読んでいました。もちろん、すべてがミステリーだったわけではありません。自分の中で「幅広いジャンルの本を読む!」という目標を立てているので、青春系や手記、伝記、寓話なども読んでいます。
- Sさん
僕も中2のときが一番本を読んでいました。月に3冊は読み、中3になった今は忙しくなったこともあって、少し読書量が減りつつあります。それでも月に1~2冊は必ず読みます。好きなジャンルはミステリーで、特に人と人の会話を主体に構成される物語が好きです。
- Aさん
私はプライベートで音楽に情熱を注いでいて、絵画を鑑賞するのも好きです。本は、私にとってそうした芸術の一つです。本という芸術作品は、作家だけでなく、編集者や製本に関わる人など、多くの方々の努力があって作品として完成し、世に送り出されます。それを手に取り、1ページずつ熟読玩味して楽しむことができる読書は、私にとって幸福感を得られる最良の趣味であり、かけがえのないものです。
- Iさん
本を読んでいるときは「自分だけの時間」に浸ることができます。そして、本を通して思ったことや感じたことを心に留めておくだけでなく、誰かに話して共有する楽しさも読書にはあります。私は電子書籍にあまり興味がないのですが、その理由は、自分の時間を与えてくれる本にいつも囲まれていたいからです。たくさん紙の本が並ぶ図書館や街の本屋さん、お気に入りの本がそばにある自分の部屋は、そこにいるだけで幸せな気持ちになれます。
- Nさん
本は「映像ではない」ところに意味があると思っています。映像は、そこに映っているものがすべてのような気がしますが、本は文章を通して、登場人物の姿や喜怒哀楽を自由に想像できます。そこが何よりの魅力で、だからこそ感情移入ができたり、相手の立場を自分に置き換えたりすることもできます。本を通して、いろいろな考え方や価値観があることを知っておけば、それを日常のさまざま場面で生かせると感じています。
- Sさん
物語は人がいて成り立ち、本に登場する人物は実に個性豊かです。そして、誰一人として同じではありません。そこに一番惹かれるので、僕は本を読むのが好きです。そんな自分を客観視すると、やはり「人」に興味があるのかなと思います。たとえ本の世界であっても、1冊を読み終えれば、「いろいろな人に出会えた」「こういう価値観もあるんだ」と思えます。それを感じられるのが本・読書の魅力です。
『オルタネート』加藤シゲアキ著(新潮社)
“オルタネート”とは、マッチングアプリの名前。高校生限定のアプリを舞台に、恋愛模様が描かれています。その恋愛描写は、濃すぎず、ディープすぎず、高校生だからこそのリアルな現実感を帯びています。私はそこに共感を抱くことができ、自分の恋愛観とも重ねやすいと感じました。友達から「何か面白い本はある?」と尋ねられたら、この本をおすすめしています。(Iさん)

『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒 著(集英社)
音楽の著作権を管理する会社に勤める主人公が、違法な音楽利用を調べるために音楽教室に入り、スパイ活動を行うというストーリーです。教室の先生や仲間、音楽と関わるうちに、主人公は「このままスパイ活動を続けてよいのか…」と葛藤を抱え始めます。この本を読み、頑なな気持ちや人の考え方は、様々な出会いやきっかけによって変わっていくのだと教えられた気がしました。(Sさん)




2024年の4月、本校に着任してまず思ったのは、「生徒をどんどん巻き込んで、この素晴らしい図書館をもっと活用しなければ!」という使命感に似た思いでした。自習で利用する生徒が目立っていたので、それに加えて、本を借りたり、読書を楽しんだりする生徒も増えてくれればと、本好きの図書委員たちと一緒に館内の環境づくりから始め、図書館に足を運びたくなるイベントも企画しました。そうした取り組みは、今も進行形で続けています。
本を読む意義は、自分の知らなかった感情を、登場人物やストーリーを通して体感できるところにあると考えています。人生は長いですから、時には悲しい経験をすることも、大変な場面に遭遇することもあります。そうした試練に直面したとき、たくさん本を読んでいる人ほど柔軟な考えをもって対峙できると思います。多感な10代のうちに、いろいろな本と出会い、困難を乗り越えるヒントとなる“蓄え”を、たくさんストックしておいてほしいと願っています。
-
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
汐見夏衛 著(スターツ出版文庫) -
『変な家』『変な絵』
雨穴 著(飛鳥新社、双葉社) -
『二人一組になってください』
木爾チレン 著(双葉社) - 生徒間の口コミで評判になった本は、次第に人気が広がり、多くの生徒が借りていく傾向にあります。そのほか、読書サロンやビブリオバトルといったイベントで紹介された本もよく貸し出されます。紹介した4冊は、そうした本の代表です。(司書教諭・村山先生)


















