京都にある大谷中学高等学校は「人と成る」を理念に掲げる学校です。バランスの取れた人間形成をめざすうえでクラブ活動にも力を入れており、学年やコースの垣根を越えた交流や、勝ち負けにこだわらず互いに助け合い好きなことに一生懸命になる時間を過ごすことを大切にしています。今回はそんな大谷らしさが伝わる2つの新しいクラブを紹介。クラブ立ち上げに携わった部員や顧問の先生たちの想いを取材しました。

模型部

創部3年目ながら中学・高校合わせて14名が所属する模型部。活動は週2回。体育館1階にある部室に集い、ガンダムやエヴァンゲリオンなどのアニメ作品のプラモデルを中心に、わきあいあいと模型作品作りに取り組んでいる。好きな世界観を仲間と共有し、共に模型作りを試行錯誤できる部室は、ロボットやモノづくりが好きな子どもたちの笑顔と熱意ある議論で溢れている。

#01Student Comment

「模型部がないなら自分で作ろう」が始まり

林くん 高校3年 部長
林くん 高校3年 部長

昔からプラモデルが好きで模型部に憧れがあったのですが、大谷にはなくて少しガッカリしていたんです。でもコロナで休校期間が続いた時に、オンラインでやり取りをしていた授業担当の林原先生のアイコンが、ガンプラ(アニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデル)なのに気がつきました。そこで「先生もガンプラが好きなんですか? 僕、模型部を作りたいんです!」と相談したのが始まりです。

プラモデルは一人でコツコツ作ることが多いと思うんですけど、模型部では部員同士で意見交換をしながら取り組めるので、自分だけでは思いつかない技術や発想を知れたりするのが面白いですね。僕が得意なのは、プラモデルの部品に凹凸をつけることと、スジ彫りで情報量を加えるディティールアップ。せっかく部活を立ち上げたのだから、後輩に技術を伝えていくことにも力を入れたいと思っています。

#02Student Comment

戦艦ヤマトの艦隊シーンをジオラマで再現したい

上松くん 高校1年
上松くん 高校1年

僕は大好きな宇宙戦艦ヤマトの模型を作ってみたいと思って入部しました。プラモデルは組み立てたら完成だと思っていたのですが、組み立て後に塗装や装飾を加えることができることを知って、今まさに色々吸収しているところです。まずは塗装するための色作りから始め、アニメの画像を見ながらこんな感じの色かなと試行錯誤していたら、1人では消費できない量の塗料を作ってしまったのが最近の大失敗です。

でも最終的には、宇宙戦艦ヤマトがたくさんの船と飛び立つ艦隊シーンをジオラマでカッコよく再現したい。高校3年間でそれを完成させるのが目標です。

pick up 模型

pick up 模型部
ジオラマ
文化祭などのイベントでの展示に向けて、アニメの戦闘シーンの再現などを中心に部員合作でのジオラマにも取り組んでいる。
目指すは世界大会
世界的に人気のガンプラは世界大会も開催されている。いずれは国内や海外のプラモデルの大会に参加するのが部の目標だ。
顧問もプラモ好き
顧問の林原先生と高瀨先生もプラモデルに愛を注ぐ二人。部員たちとのプラモデル談義が白熱することもしばしば。

Teachers Comment

林原 孝宏先生
林原 孝宏先生
髙瀨 鎮磨先生
髙瀨 鎮磨先生

模型部は愛好会から始まって3年目の今年にようやく正式に認められた新しいクラブで、特に広報をしてきませんでしたが、今年の新入生には模型部目当てで大谷に来たと言う子がいて、驚きましたね。私たちも含め、模型・プラモデルは世代を超えて愛されているのだと実感しているところです。

コロナが落ちついたら外部の模型イベントへの参加や、他校との交流もしていけたらと思います。特にロボットプラモデルは、世界が認める日本の新しい文化の一つですから、いずれは模型文化を世界に広めていける人が、この部から出てくれると嬉しいですね。

数学同好会(GAC)

昨年立ち上がったばかりの数学同好会。通称の「GAC(ガク)」は、Geometry(幾何)、Algebra(代数)、Calculus(微分積分)の頭文字からの命名。活動は週2回。部員には理系・文系を問わず、数学好きな生徒から、得意ではないからこそチャレンジしたいという生徒まで、幅広いメンバーが集結。楽しく競い合いながら、クリエイティブな数学能力を磨いている。

#01Student Comment

目標は、数学甲子園の本選出場!

福薗さん 高校2年 部長
福薗さん 高校2年 部長

私は中学からの内部生なのですが、数学が大好きで、そういう人は他にもたくさんいるはずだと思い、高校に進学した去年に数学同好会を立ち上げました。

活動は週2回。月曜はプリント演習での個人戦で、入試問題や普段の授業の応用問題に取り組んで、解けた人から先生に採点してもらっています。一方金曜は、数学検定を目標に先輩後輩が数学を教え合ってインプット・アウトプットをする日です。卒部までに全員が数学検定準1級(高校3年課程修了レベル)に合格することと、数学甲子園本選に出場するのが私たちの目標。そのためにも、普段の活動で数学の基礎力を磨き合っています。

#02Student Comment

2人が5人ずつメンバーを集めて同好会に

南田くん 高校2年 副部長
南田くん 高校2年 副部長

僕は高校からの編入生ですが、数学が好きなのと、顧問の兼田先生(数学科教諭)が好きで、この同好会に参加しました。福薗さんが集めた5人に僕が集めた5人が加わって、去年は10人からの同好会スタート。今年は中学生も入ってくれて16人に増えたのですが、もう少し増やして正式なクラブに昇格できるといいなと思っています。

部員は理系の生徒ばかりと思われがちですが、文理選択で文系を取った者もいます。数学に興味があればコースや学年・性別関係なく誰もが参加できて、馴染みやすい同好会です。

pick up 数学同好会(GAC)

pick up 数学同好会(GAC)
大谷数学オリンピック
学校行事で実施したイベント。参加者に部員が考えた数学問題に挑戦してもらったり、脳トレボードゲームで対戦したりした。
数学検定に挑戦
部員全員で数検に挑戦中。部長・副部長の2人は、現在高校2年課程修了レベルの2級。この冬には同好会として数検を団体受験する。
憧れの数学甲子園
全国の中学・高校・高専生が団体戦で数学の力を競う数学甲子園。東京での本選に出場できる数学強豪校になるのが部の目標。

Teachers Comment

兼田 賢三郎先生
兼田 賢三郎先生

部長の福薗さんをはじめとする立ち上げメンバーは、私が中学3年間を担当した生徒たちです。ですから「数学のクラブを作りたい。先生に顧問になって欲しい」と頼まれたときは、とても嬉しかったですね。

部員の中には、入学当時は数学が苦手だったけど大谷で得意に変わった生徒や、未だ苦手意識を持っているけどクラブを通して得意になりたいと考えている子もいます。ですので、やらされている感のある「お勉強」ではなく、ゲーム感覚で数学への興味関心が広がるクラブ活動となるよう心がけています。