国学院大学久我山中学校の女子部では、2018年度中学入試からこれまでの「一般クラス」が「CCクラス」に変わります。CCクラスとは「Culture Communication Class」。英語を意欲的に学びフレンドシップを深められる人、日本の文化や伝統を学び世界に発信できる人を育てるという新設CCクラスで同校が目指すものについて伺いました。
髙橋秀明 先生[女子部長]
川本ゆり子 先生[英語科・国際教育推進委員会]
川本ゆり子 先生[英語科・国際教育推進委員会]
女子部・CCクラスとはどんなクラス?
これまでの久我山の学びをベースに、日本文化や歴史を
英語で発信できる真のグローバル人材を育てます!
英語で発信できる真のグローバル人材を育てます!
イングリッシュ・サマー・キャンプ
グローバル・リーダーシップ・ワークショップ
髙橋先生
10年前にSTクラスができたことによって、STクラスと一般クラスという形で歩んできました。STクラスは難関国公立大を目指す特進クラスという認識が定着しニーズも高くなりましたが、反対に一般クラスは“一般”という名称もあり、特長がわかりづらくなっていたのです。そこで女子部が昭和60年にできて以来ずっと大切にしてきたものや変わらないもの、そして今のグローバル時代に生徒たちがきちんと身につけるべきものを見極め、特色や個性を持たせた新しいクラスをスタートさせます。 CCクラスのキーワードは、「多様性」「フレンドシップ」「発信者」の3つです。それを進めていくための柱は、「英語」と「グローバル・スタディーズ」の2つです。「グローバル・スタディーズ」は、英語と日本語の両方のアプローチで、教科を超えた新しい学びを作っていきます。 グローバル社会を生きるためには、ただ英語が話せるだけではなく、英語で何を語れるかが大切です。その意味で本校は日本の歴史や文化をきちんと発信するということに今までもこだわってきましたので、CCクラスでもそこは大きな強みになってくると思います。
川本先生
今まで取り組んできた「イングリッシュ・サマー・キャンプ」「グローバル・リーダーシップ・ワークショップ」「フレンドシップ・ミーティング」といった国際交流の学びは、授業外に行われることが多く、参加希望者を募って放課後や土曜の午後などに実施してきました。それらの学びを正規の授業の中にできる限り組み込み、CCクラスでは全員参加する形にしたいと思っています。また、女子部には「女子特別講座」があり、中学1年から高校3年まで段階的に茶道・華道・能楽などを体験していきます。外国の方に日本文化や歴史を伝えるときには必要なことであり、CCクラスとしても大切にしたいカリキュラムです。
「女子特別講座」の茶道、華道、能楽の体験
女子部・CCクラスのGlobal Studiesとは?
週2時間の体験型プログラム。
グローバル社会で生きていくための多様性を身につけ、
世界に向けて発信する力を養います。
グローバル社会で生きていくための多様性を身につけ、
世界に向けて発信する力を養います。
フレンドシップ・ミーティング
川本先生
「グローバル・スタディーズ」はCCクラスの授業であり、生徒自らが主体的に学んでいきます。土曜の3~4時間目の授業を1セクションとして、4~5週間に渡り1ユニットの授業を展開します。例えば中1の最初は「自分を紹介する」というユニットで、まずは自分のことを日本語で紹介し、次に英語を使って自分や家族や友達を紹介をします。次第次第に外に広げる形で、5週目の「フレンドシップ・ミーティング」で初めて外国の方とつながります。他にも「障がいある人との出会い」「世界の人の暮らしを知る」など様々なユニットに取り組みますが、最終的には実際の場に直面してもらうことが大きな特徴です。「グローバル・スタディーズ」は、英語力を高めるだけでなく、グローバル社会で生きていくための人間を育てていくという視点で展開します。この授業を通して世界の多様性を知り、世界の人との協働性を自然に身につけてほしいと思っています。学年が上がるに従って世界に向けて発信できる力を着実に養っていきたいと考えています。
Global Studiesとは
世界にある多様性に気づき、互いの違いを尊重し、世界の人と協働する気持ちを育てることを目標とした授業。また、国学院大学久我山中学高等学校として、日本を深く知り、世界に発信していく使命がある授業でもある。
Global Studiesの目標
中1 世界に友達をつくろう
中2 世界に向けて日本を伝えよう
中3 グローバルな視点を育てよう
高1 多様性を尊重し日本を発信しよう
高2 世界の人と協働しよう
高3 グローバル・リーダーとして踏み出そう
女子部・CCクラスの英語力強化とは?
4技能を伸ばし
グローバル社会で活躍できる英語を身につける。
同時に英語で発信する中身も重視します。
グローバル社会で活躍できる英語を身につける。
同時に英語で発信する中身も重視します。
Cooking in English
Math in English
川本先生
4技能を強化して基礎力をつけるとともに、コミュニケーションツールとしての使える英語を身につけます。英語が使えることはもちろんですが、英語で発信する時には中身が重要ですから、その学習も積極的にしていきたいと思います。中学卒業時には英検準2級以上を目指し、GTECは中卒時グレード4、高卒時グレード6以上を目標にしています。 また本校では、「Math in English」という英語で数学を学ぶ講座を年3回行っています。他にも「Cooking in English」「Physics in English」など、英語で他教科を学ぶ取り組みも増えていくと思います。
女子部・CCクラスで育てたい生徒像は?
多様性を理解し、相手を認める力がある人。
相手にきちんと伝え、協働して取り組んでいく人に。
相手にきちんと伝え、協働して取り組んでいく人に。
川本先生
これからは社会においても日本人だけで働く環境ではないと思います。他の文化を持つ人々と共に働き、一緒に考えていくことができる人になってくれればと思います。人々の多様性を理解し、相手を認める力がある人。そして、英語を使って理解できるように伝え、協働して取り組んでいくことができる人になってほしいですね。「リーダーシップを発揮する」と言ったときに、以前は統率力があることと言われてきましたが、今の時代はたくさんの人の意見をしっかりと受け入れられるかに変わってきたと思います。そういう力のある人を育てたいと思っています。まずは、外国に興味がある、外国語に興味がある、何かやってみたい、という積極的な気持ちがある小学生に入学していただきたいですね。CCクラスの生徒にはいろいろな興味を持ってもらい、医薬学の道、政治経済の道など好きな進路を選び取ってほしいと思います。可能性は広がっています。
女子部・CCクラスができることでの学校の変化は?
学校の中で大切なのは化学反応。
CCクラスの化学反応が学校中に広がります。
CCクラスの化学反応が学校中に広がります。
髙橋先生
今、私の中でのキーワードは化学反応です。いろいろな生徒がいる中で、いろんな反応が起こりワクワクすることが学校としてとても大事なんです。その意味でCCクラスは、面白い化学反応が起きると思いますから、「何でもやってやろう」というポジティブな気持ちを持つ生徒も入学してくるでしょう。自分を表現するのが苦手な意識を持っていてCCクラスに入ることで変わることを期待する生徒もいると思います。「思いつきも実行すればイノベーション」という言葉がありますが、まずはぶつかってみることで見えてくるものがきっとあります。生徒同士、教員同士のコラボレーションで豊かな成長が生まれることを期待しています。CCクラスの化学反応が起爆剤となって、女子部だけでなく男子部にも広がってくれるだろうと思っています。