晃華学園中学校高等学校は、東京都調布市にある6カ年一貫教育のカトリック女子校です。校舎改築と共に2006年にオープンした図書情報センターは、明るい光が差し込む大きな窓と高い天井が印象的で、校内でも生徒に高い人気を誇る開放的な空間。42000冊の蔵書、教科やイベントに連動した展示コーナー、落ち着ける自習スペースなど、生徒たちの学習意欲や知的好奇心を本と繋ぎながら育んでいく有意義な場になっています。ココロコミュでは、同校図書情報センターの恵まれた環境・設備、そして本によって多感な時期の可能性を広げる、柔軟かつ細やかな取り組みを紹介します。
司書教諭 廣瀨先生インタビュー
- ココロコミュ
- 広く、開放感いっぱいの図書情報センターですね。晃華学園中学校高等学校の図書情報センターで大切にされていることは何でしょうか。
- 廣瀨先生
- つながりですね。教科と教科をつなげ、授業と生徒をつなげ、本と人をつなげ…それは結局人と人をつなげることになります。そういう場所として機能したいと思っています。
- ココロコミュ
- 特設コーナーを見ても、教科や行事との連携が強く、それだけに生徒たちの利用も多いようで、校内での図書情報センターの存在の大きさを感じます。
- 廣瀨先生
- それは実感しています。生徒をこの空間が引き寄せていることはありがたいことです。ただ、やはり中身を大事にしたいと思っていますので、入ってくる情報をきちんとキャッチして、それを受け取りやすくすることを心がけています。また、最近は書籍が雑誌のような扱われ方で、情報が多くなってきていますが、図書情報センターでは選ばれた言葉や受け継がれていくべき思想や文化をちゃんと伝えていく場として機能していきたいという思いはありますね。
- ココロコミュ
- そういった環境でも、世間で言われる「読書離れ」を感じられるときはありますか。
- 廣瀨先生
- そうですね。確かに何もしなければ離れていくと思いますが、本校では国語科で課題図書を選定して読むようにしていたり、現代文の授業の10分間を読書の時間にしていることがかなり大きいと思います。
- ココロコミュ
- 中高で本や知識に出会う大切さは何だと思われますか。
- 廣瀨先生
- 本は生きる力を与えてくれます。そのような本と人格形成の土台となる中高時代に出会うか、出会わないかは、決定的なことだと思うんです。その時に手にとって読まないとしても、コーナーで展示をすることによって、「あ、こんな本があるんだな」と出会う。それが、今読まなくてもこれから先に手に取ってくれるきっかけになれば、大きいことではないかなと思います。生徒によく話すのが、食べ物で言えばおやつばかりだと育ち盛りにはよくない、ちゃんとした栄養のあるものが必要。それは何でしょう?」と。育ちざかりに必要な栄養のようなものを手渡していきたいと思います。
- ココロコミュ
- 今後の展開や目標は考えられていますか。
- 廣瀨先生
- 学校全体で展開しているので、教科から「こういうことをしよう」と動きがある中で、それに対応できて形にしていけるようにしたいと思っています。実際には、特設コーナーがどんどん増えてセンター内がコーナーでいっぱいの時期があったり、突然、教科から要望があって対応したりも頻繁にあります。例えば、今年8月に学校を舞台に美術館をやろうという企画「オルセー・スクールミュージアム」が本校で行われ、その関連書を集めて展示しました。また、リーダーの教科書に一部が載っている「おじいちゃんの絵手紙」という書籍を英語科の先生が薦めてくれて、それを紹介するためのやりとりをしている中で、その曾孫である方に連絡ができ、突然講演会ができることになっていったんです。先生方の熱意が素晴らしいので、それに乗らせていただいて世界を広げていきたいと思っています。
2015年度 晃華学園中学校高等学校 図書情報センター特設コーナー
期間 | タイトル | 主催 連携 |
---|---|---|
常時 | 中学生おすすめワゴン | 中学1・2年 現代文 |
常時 | 受験生応援コーナー | |
2月~5月 | ロシア文学 校長セレクション | 学校長 |
4月~5月 | 春 | 図書委員会 |
2月~6月 | 1200通の絵手紙 | 英語科 |
4月~6月 | 聖母月行事ホスピタルクラウン | 宗教部 |
4月~6月 | アリストロメリアのスケッチ | 中2理科 |
4月~ | 遺跡 調布調べ学習 | 中2 |
5月~ | オルセー美術展 in KOKA | 学校長 |
6月~ | 平家物語 | 中2古典 |
6月 | 古雑誌市 | 図書委員会 |
6月~ | クレソンの茎の断面の観察 | 中2理科 |
7月~ | 教職員による夏休み推薦図書 | 教職員 |
7月~ | My Favorite Scene絵本から好きな場面を選んで描く | 中1英語 |
廣瀬先生 おすすめの1冊
ファンタジーは概しておすすめですね。それは感性が豊かな年代に、現実の「これしかない」「これで証明する」とかそういうものではなく、自由にいろんな可能性を想定してその中で現実を生き抜いていってほしいなと思っているからです。大人も同じく、息苦しい現実の中にいますが、ファンタジーの世界でそれだけではないということを感じてもらいたいと思います。