晃華学園中学校高等学校

卒業生が語る マイ晃華ストーリー

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卒業生が語るマイ晃華ストーリー 晃華学園中学校高等学校
カトリック精神に基づく質の高い全人教育を行う晃華学園中学校高等学校からは、1963年の開校以来、多くの卒業生が羽ばたいています。6年間の晃華学園での教育を受け、自分軸を育んだ卒業生は、母校で受けた教育をいかに思い、自らの成長をどう感じているのでしょうか。晃華学園の教育に関心を持つ受験生や保護者は気になる、「マイ晃華ストーリー」。2021年春に卒業したばかりの卒業生2名に、事前アンケートをもとに詳しくお話をうかがいました。

卒業生 Sさん

慶應義塾大学法学部法律学科1年生

2021年3月晃華学園中学校高等学校卒業。

バスケットボール部(中1~高2)

卒業生 Fさん

一橋大学社会学部社会学科1年生

2021年3月晃華学園中学校高等学校卒業。

体操部(中2~高2)

Graduates Interview

晃華学園で学んだ
多様な価値観への理解

― 晃華学園で最も印象に残っていることを教えてください。

Sさん 晃華学園では、中3の公民の授業で全員が模擬国連を行います。私はその授業で「国連のカフェのメニューをみんなで考えよう」という議題に取り組み、それを機に外部で開催される模擬国連にも参加するようになりました。外部の模擬国連は国際社会が抱えるさまざまな問題を自分ごとのように考え、意見を発信していく貴重な機会でした。模擬国連に参加したことによって、他校生ともかかわりながら議題について自分で考え、それに対して論理的に説明していく力が養われたと思います。
また、模擬国連を通して興味を抱いた難民問題について理解を深めるために、シンポジウムに参加しました。その経験をもとに五井平和財団主催の作文コンクールに応募したところ、世界2位となる優秀賞をいただき、大きな自信になりました。加えて、日本における難民問題が法律に大きくかかわっていることを知る機会になり、結果的に自分の進路を考える際の一つの指針となりました。

― Fさんは晃華学園での思い出として、宗教の授業を挙げられています。その理由を教えてください。

Fさん 6年間を通して宗教の授業でカトリックについて深く学ぶことは、晃華学園に入らなければ経験し得なかったと思います。私はカトリック信者ではないので、聖書に関する知識がない状態で入学しましたが、中1から聖書を読み、ミサに参加するなかで、生きる上での教養として、とても良い距離感でキリスト教を学べたと思っています。
初めて晃華に来る小学生は、校内のあちこちにマリア像があり、すべての教室に十字架がかかっていることに驚くかもしれません。ですが、生活の一部として聖歌を歌ったり、聖書のお話を聞いたりするうちに、自然とキリスト教に親しんでいくことができると思います。
思い返すと、行事ではミサが晃華の特徴的な思い出で、これも他校では経験し得ないものだったと思います。特にクリスマスミサでは、キリスト教におけるクリスマスの意味について深く考えることもできました。また、「クリスマスおめでとう」というメッセージの入ったクッキーが全校生徒に配られたのも思い出に残っています。

Sさん 私は宗教教育で得たものとして、「宗教への理解」があります。実際に、高1でカナダへ短期留学した際に、私がミッションスクールに通っていてキリスト教も学んでいると話すだけで、カトリックだったホストファミリーは喜んで教会に誘ってくれ、一気に打ち解けられました。
宗教の授業は週に1回でしたが、キリスト教だけでなく他の宗教について学ぶ機会にも恵まれ、様々な価値観に触れることができました。これは世界の多様性への理解に繋がったと感じています。

イースター行事

宗教の授業での調べ学習展示

― Sさんの印象に残っている授業は何でしょうか。

Sさん 高2の日本史の授業です。先生が作成されたプリントをもとに授業を進めていくスタイルで、その独特の授業テンポの虜になりました。プリントは大学受験に対応した圧倒的な情報量で、授業時間以外での質問に対しても、授業中と同じくらい高い熱量と質を持って説明してくださり、私が納得するまで対応してくださいました。気がつけば日本史が私の最も好きで、得意な科目になっていました。

― Sさんは先生に質問することを大切にしてきたそうですね。

Sさん 中学入学当初は勉強に苦手意識を抱いており、部活動との両立を図るために、朝、昼、放課後を利用して徹底的に先生に質問をしてきました。疑問はその日のうちに解消すると決めていたので、質問をして自分が納得できるまで帰らなかったのです。
ご迷惑だったかもしれませんが、先生方は「いつでも来ていいよ」と言ってくださり、登校時間に合わせて対応してくださったり、面識がなくても対応してくださったり。先生との距離が近く、質問しやすい環境も晃華学園の特長でした。

― Fさんは英語の授業も印象に残っているようですね。

Fさん ネイティブスピーカーの先生が数名いらっしゃって、ペーパーバックの英語小説を読んで、先生が作った質問に答える授業が毎週ありました。ネイティブの人が使用するハイレベルな教材を使うことで、とても成長したと思っています。
また高3時の授業では、英検や大学受験対策に役立つライティングを教えていただきました。先生に気軽に質問や添削をお願いでき、マンツーマンのような雰囲気のなか生の英語に触れながら英語のスキルを身につけられました。

高1イギリス語学研修でのFさん(左)

生徒は挑戦することに前向きで、
先生もそれを応援
やりたいことは何でもやれる環境だった

― Sさんの思い出の行事は体育祭です。晃華学園では、どのような体育祭を行っていましたか。

Sさん 体育祭は、体育祭実行委員が中心となって企画運営し、作り上げるのは全校の生徒一人ひとりです。学年が上がってクラスで初めて臨む行事であり、クラス全員が他のクラス打倒を目指して協力し合う、熱く燃える一大イベントでした。
私は中学3年間、体育祭実行委員として体育祭にかかわりました。元はクラスの代表になるような性格ではなく、入学したばかりの中1では苦労もありましたが、中3で自分のクラスが中学MVPを獲ったときはクラスへの貢献を実感して本当に嬉しく、達成感が大きかったです。
体育祭は、他者を理解し尊重する姿勢を身につけられる機会だったと思います。自分の参加する競技やその作戦を通してどのようにクラスに貢献できるかを考え、実践していました。晃華学園が大切にしている「他者への信頼」を培う絶好の場であったように感じます。

― Fさんは、福祉委員で頑張られたそうですね。

Fさん 中学でも福祉委員を経験し、高校は3年間を通して活動しました。晃華学園では、30年以上前からフィリピンの子どもたちを支援する団体に向けて「アデル献金」という募金を行い、それを福祉委員会が取りまとめていました。中学生のときは、教室で毎月募金を集めたのですがあまり集まらず、高校ではどうすれば募金が集まるのかに挑戦したいと思い、高2で福祉委員長に立候補しました。放送朝礼や全校集会で委員長として全校生徒に呼びかけ、委員会では新しい献金ボックスを手作りして、下級生にも積極的に働きかけました。先生方のお力も借りながら工夫を凝らしたことで、アデル献金の意義に共鳴してくれる人が増え、例年以上に多くの募金を集めることができました。自分が活動の中心となって新企画を考え計画を実行することになり、自分としては一番の挑戦で成長ができた機会でした。

福祉委員で頑張ったFさん。
献金先からのお手紙や募金箱と一緒に

文化祭での福祉委員の展示

― Sさんは保健委員長として活躍されたそうですね。

Sさん 高2の時に保健委員長をやらせていただきました。保健委員が取り組んでいた、コンタクトの空ケースを集めるプロジェクトの活動の趣旨が理解されていないことが課題として挙がっていたので、放送で呼びかけ、ポスターを作って図書情報センターに掲載していただいて、活動を周知させました。その結果、主催会社のアイシティさんが活動のアイデアを募集するコンテストで、全国242校の中から優秀校の3校に選ばれました。

保健委員長として活躍したSさん(右)。
コンテスト優秀校受賞時の記念撮影

― 2人とも様々に活躍されていますが、晃華学園には挑戦してみようと思える環境があるのでしょうか。

Sさん 私は、仲良くしていた友人が何でもやろうという精神のある人で、とても影響を受けました。挑戦する精神は、周りからの影響が大きかった気がします。

Fさん 学校全体で、生徒も先生も挑戦することに対して前向きで「やってみようかな」と言えば「いいね!」と応援してくれる雰囲気がありました。気心が知れている仲間だったので、やりたいことに何でも取り組める環境でした。

家族のように
互いの特徴を尊重し
助けあえるように

― では、クラブ活動についての思い出をお願いします。

Sさん バスケットボール部の夏合宿は、私の青春を物語る上で欠かすことのできない大切な思い出です。毎年8月上旬に3泊4日で静岡県の天城山荘に行っていました。朝7時のランニングから始まり、1日10時間以上の練習は心身ともに追い込まれることもありましたが、最終日には技術力の向上だけでなく、同期とのチームワークや絆が格段に深まるのです。本当に辛い合宿でしたが、肉体的にも精神的にも「体力」をつけることができました。特に精神面においては、大きな壁が立ちはだかったときに逃げ出さない力、強い意志が養われました。

バスケットボール部でのSさん

Fさん 体操部は毎年文化祭で舞台発表をするので、夏休みの練習がかなり厳しく、合宿での練習もハードでした。器械体操ですが、筋トレ面ではバスケットボール部と同じくらい鍛えます。美に対して厳しいクラブで、つま先を美しく伸ばすことや表情豊かに演技をすることも求められます。勉強を疎かにせず、部活動と両立するべきという雰囲気が学校にあり、周りの友達も朝練後に勉強するなど工夫していたので、私も文武両道は常に考えていました。

Fさんが所属した体操部。
文化祭での舞台発表直前の円陣

― そして、お二人に共通していたのが、友達関係での成長です。晃華学園ではどのような友達関係を築くことができましたか。

Fさん 晃華学園では、6年間ずっと同じ仲間と過ごしました。中学生の頃は衝突することもありましたが、高校生になると対立することはなくなり、家族に近い関係性でお互いに見守れるようになったと思います。認め合うことで良い距離感が生まれ、変わることも成長だと捉えられるようになり、挑戦する人を応援できるようになりました。
大学に入って、私が過ごしてきた晃華での6年間は当たり前ではなかったと気づきました。私のことを深く知ってくれている大切な友達がいることを貴重に思っています。

Sさん 部活の同級生との話になりますが、中1の頃は幼かった上にお互いの理解が乏しく、意見が衝突し喧嘩のような状態に陥ったことが何回かありました。けれど、お互いに言いたいことを言い合う場を設け話し合うことを通して、中学生後半には互いが良きライバルとして切磋琢磨できる関係性が築けていたように思います。
部を運営し後輩を引っ張る立場となった高校生では、自らの役割を自覚し全うしていくだけでなく、互いの特徴を尊重し助けあえるようになりました。5年間、部活動で同じ目標に向かってたくさんのことを共に乗り越えてきた同級生は、大学受験でもお互い支えとなりました。そんな同級生との絆は、これからも簡単に絶えるものではない強固なものだと確信しています。

― 進路指導において学校のサポートで印象的なことは?

Sさん 私は国立志望にするか、私立のみを受けるかを先生によく相談し、その手厚いサポートに何度も救われました。晃華学園では中1から毎年、担任と面談をする機会が設けられています。私は性格的に自分を追い込みやすく、特にテスト前は完璧を追い求め過ぎて、自分が崩れてしまうことがあり、中3で今後のやり方について先生に相談しました。
推薦入試を視野に入れていることを、早い段階から先生が理解してくださっていたため、相談した際には私の特徴を汲み取った温かいアドバイスをいただきました。そのおかげで、人生において重要な進路選択について、納得して決断することができたと思っています。

Fさん 進路については、中学の「社会」の授業を通して社会科学に興味を持ったのが始まりです。高1、高2の頃は「現代社会」を通して法学に興味を持ちましたが、そこからいろいろな活動を通して他にもやりたいことがあると考えるようになりました。高2で社会科の先生に相談した結果、幅広く勉強ができる社会学の方が自分には合うと考えるようになり、自分の方向性を決めました。先生には何度も相談して背中を押していただきました。

探究心、計画力、主体性…
晃華学園で身に付いたもの

― 晃華学園で自分が育まれた、成長したと思えることは?

Sさん 身に付いたことは、「探究心」と「計画力」です。私の晃華学園での6年間の軸には「納得するまで質問すること」があり、そこで物事に対して食いついて深く知ろうとする探究心が育まれました。また、学校から配布されたスコラ手帳を中1から使い続けてきたことで、学習の効率が上がっただけでなく、学習習慣が定着し計画力を身に付けることができました。その力は今の大学生活でも十分に生かすことができています。

Sさんが実際に使っていたスコラ手帳

Fさん 私は自分で考えて自分で動く「主体性」が身に付いていたと大学に入って実感しました。晃華学園の授業や行事では自分で考えて動く機会が多かったため、やりたいことがあれば自分から行動に移すという習慣が必然的にできていたようです。女子校であるため、ジェンダーの違いや周囲の目を良い意味で意識する必要がありませんでした。そのため、何かやりたいことがあったら気兼ねせずに自分でやり、助けてもらいたいときは自分から頼みに行くということが、行事や委員会活動、部活動を通して鍛えあげられていました。そして、誰かが助けを必要としていたら自分も力を貸すということを、肩肘はることなく生徒一人ひとりが自然に行っていたように思います。

― 最後に、今後の目標について教えてください。

Sさん 晃華学園での生活で得た探究心で知見を深め、社会に対して自分には何ができるのかを考えていきたいです。また、これからの大学生活で夢や自分を見失った際には、晃華学園の卒業式で最後に誓った、「社会のために、命のために、枯れることなく働き続ける強き女性」になるという強い気持ちを思い出し、「奉仕、平和、正義」を軸に活躍できる大人を目指していきたいです。

Fさん 晃華学園では社会に対していろいろ考える機会があったので、その時に蓄積した社会科学への興味を大学の環境を利用して満たしたいです。私個人の生き方としては晃華時代に育んだ自分で考えて動くという主体性の軸をぶらさずに、ジェンダー差がある社会の中でも自分のやりたいことに積極的にチャレンジして生きていきたいと考えています。

後輩へのメッセージ

Sさん 晃華学園での生活を振り返ると、「いかなる環境においても最善を尽くし、挑戦すること」を大切に過ごしてきたように思います。しかし、そのようなことができたのも先生方に見守られて6年間を過ごしてこられたからです。後輩の皆さんもそんな恵まれた晃華学園の環境に感謝し、思う存分楽しむことができれば、自ずと豊かな学園生活を送ることができると思います。ぜひ恵まれた6年間で、自分の夢や関心を広げてください。

Fさん 晃華学園を卒業してわかったことは、晃華で過ごした6年間は他では味わえないということです。カトリックの教育や女子校ならではの空気感のなかで、優しい先生方や友達にも恵まれ、何にでも挑戦することができます。その経験を積み重ねることで主体性が育まれる、素晴らしい環境です。受験生にはそれを楽しみに晃華を選んでほしいし、在校生の後輩にはこのなかでやりたいことは全部やってほしいと思います。

Teacher’s Comments

星名先生 渡邊先生 私たちは、Sさん、Fさんの担任として、それぞれ違う学年でクラス担任を受け持ち、6年間の成長を見守ってきました。
Sさんは、いつも質問をするために待ち構えていて、教室を一歩出るとすぐに呼び止められました。ノートにも付箋をいっぱい貼っていて、細かく勉強していた印象が残っています。そのような生徒は1学年に一定数はいますが、Sさんの勉強へのガッツはピカイチでした。
Fさんは中1の最初からとても落ち着いていて、自分の芯をしっかり持っていました。また、非常に他者を思いやる人で、自分の提案に対してみんながどう思うかを考えることができます。普段から心をこめて一所懸命行動しているので、周りが良い雰囲気のなかで協力してくれるのです。
学年としては、クラス替えもありましたが、みんなが私たちの生徒という意識で学年の一人ひとりに接していました。とても優しい生徒が多かったので、何か問題があった時も穏やかに話し合いで解決ができ、相談もできる学年でした。女子校なのでリーダーや力仕事なども何でも自分たちでやり、アクティブな人もおっとりした人もそれぞれが自分の居場所を見つけ、のびのびと過ごしていました。そういった環境と授業や行事での取り組みを通じて、自然とカトリック教育における「自己肯定」や「他者理解」の心が育ったように思います。進路選択の時期には悩んでいる人も多くいましたが、どの生徒もベースには「他者のために、社会のために働きたい」という思いがありました。晃華学園のライフガイダンスを経て、生徒たちが今後どのように社会のなかで活躍していってくれるか、とても楽しみにしています。