武庫川女子大学附属中学校・高等学校から約8割の生徒が進学する武庫川女子大学は、12学部19学科を有する女子総合大学。専門的で実践的な学びで、資格取得や就職に強いだけでなく、総合大学としての充実した施設や設備、中高では手が届かない研究や実習を行えるなど、附属中高生にとっては憧れの場所です。前回の「薬学科」「教育学科」「看護学科」訪問に続き、今回は附属の高校3年生が「経営学科」「生活環境学科」「食物科学学科」を訪ねました。
CROSS TALK
先輩大学生×後輩高校生実際に社会をより良くする
提案・実践ができる
武庫川女子大学
経営学部 経営学科
西尾さん(経営学部 経営学科4年)
元浦さん(附属高校3年)
社会に出てから
必要なことを学べる経営学部
元浦さん西尾さんは経営学部経営学科で、どのようなことを学ばれていますか。
西尾さんマーケティングや今変わってきている働き方のことなど、社会に出てから大事になってくることを学んでいます。その中で人がどういう時に商品を買いたくなるのか、人のどういう心理で社会が回っているのかに興味を持ち、社会心理学のゼミを選びました。活動はグループワークが多く、「なぜそういう考え方になるのか?」といった物事の基礎を学んでいます。
「消費者行動論」という授業では、人はなぜ物を買うのかといった心理について学び、他にも経営学部ならではの実践活動では、学外に出て企業の方と課題を解決したり、一緒に協力して何かを作ったりします。私はそれが楽しいですね。
経営学部はテストが少なく、1回のテストより日々のレポートなどの積み重ねで評価してくれる学部です。だからこそ毎日の課題やレポートにしっかり取り組みますが、一気に仕上げるというよりはコツコツ継続することが大事だと思います。
元浦さん経営学部 経営学科には、実践学習があるとのことですが、面白かったことは何ですか。
西尾さん実践学習は1つの単位で、必修です。学校あてに、企業から「こういうことを一緒にしませんか?」という依頼が来て、その中から自分が興味のあるものを選んで、企業と一緒に課題解決や物作りの活動をします。小さいインターンみたいなイメージですね。
元浦さんそれが面白そうだなと思ったんです!
西尾さん面白いですよ。大学ならではだと思います。私が一番楽しかったのは、駅に置かれている「阪神阪急お散歩マップ」をより良くしようという実践学習で、実際にマップを持って街を歩きながら、8年ほど武庫女に通いながらも知らなかった素敵な場所を探してマップを作りました。自分たちの力で自分たちが通っている大学の周りを活気づけられるのはいいなと思えて、楽しかったです。フィールドワークが多いのが経営学部の特徴です。
経営学部は未来の選択肢が幅広い
元浦さん西尾さんが、経営学部を志望した理由を教えてください。
西尾さん高校生の時にやりたいことが見つからなかったんです。武庫川女子大学は看護や薬学といった専門に特化した分野に強い大学ですが、分野を絞り切るにはまだ抵抗がありました。それで経営学部なら、就職する時も大抵の企業に行けるし、未来の選択肢も幅広いと考え、経営学部を選びました。新しい校舎で1期生として学べ、先生方のサポートも充実しているので、私は経営学部に来て良かったと思っています。元浦さんは経営学部にどうして興味を持っているのですか。
元浦さん中高に入ったときは、経営学部はまだ創設されていなかったのですが、「でも武庫川女子大学には行きたい」と思っていました。中1・中2で勉強していくうちに経済や経営、法律関係に興味を持ち、当時はそれを勉強するなら他大学に行かなければいけないと思っていたのですが、武庫川女子大学に経営学部ができたので「だったら行きたい」と思って、今は経営学部志望で頑張っています。西尾さんは今、どういう仕事に就きたいなって考えていらっしゃいますか。
西尾さん経営学部にはいろいろな選択肢がありますが、大学で学んできて、経営においても「人」が大事なんだと気づきました。私自身も人とコミュニケーションを取ることが好きなので、営業職など自分のコミュニケーション力を使ってできる仕事がいいなと思ってます。
元浦さん高校生活の間にやっておいた方が良いことは?
西尾さん当たり前の日常を全力で楽しむことが大切だと思います。後悔しないように今ある目の前のことを全力で楽しんでいたら、きっとその後に何かついてくると思います。
CROSS TALK
先輩大学生×後輩高校生多様な選択肢が用意された
環境で
自分の興味に邁進
武庫川女子大学 生活環境学部
西村さん(生活環境学部 情報メディア学科 4年)
羽根さん(附属高校3年)
*西村さんの学部・学科は取材当時。2023年度4月より情報メディア学科は社会情報学部に変更。
学科で学びが大きく異なる
生活環境学部
羽根さん私は、生活環境学部の生活環境学科を目指していますが、いろんな学科のことを知りたいです。西村さんは、生活環境学部の情報メディア学科で、どのようなことを学んでいますか。
西村さん同じ生活環境学部ではありますが、情報メディア学科はその名の通り、プログラミング、情報、マーケティングのほか、先生によっては映像制作をするなど幅広く学ぶ学科です。私が所属するゼミは、『エンターテインメント・コンピューティング』で、エンターテイメントに寄せたVR制作や、プロジェクションマッピング制作を行っています。今は、AR(拡張現実)をテーマに、卒業研究をしようと思っています。立体用の3Dモデルをパソコンで組み立てるのはとても楽しく、元々苦手意識のあったプログラミングは難しいものの、完成して正しく動いたときの達成感はかなり大きいです。自作のWebサイトを作る授業も作りがいがありました。
羽根さん面白そうですね。私もマーケティングに少し興味がありますが、今は雑貨や家具に一番興味があるので生活環境学科が気になっています。
西村さん私も高校生の頃は何がやりたいのかわからなかったのですが、そのときの自分の興味や大学で学んでみたいという気持ちを大切にしました。今、好きなことがあったら、それに関連するような学科に行けば勉強も続くし、大学に行ってから将来を考えても間に合うと思います。
どの授業でも高校時代の内容は大切
羽根さんやっぱり大学生活は忙しいですか。私は今も週4回学外でスピードスケートをやっていて、大学でも続けたいと思っています。両立できるか心配です。
西村さん大学の1・2年生は授業が多く、課題も多いので、うまく時間を使うことが必要だと思います。ただ、5限まで授業があることは珍しく、私も今、空手部に入って週2回活動していますが、負担にならずにやり続けられています。1コマの授業時間は長いですが、毎日6時間目まであった高校時代よりは楽だと思いますよ。アルバイトをしている人も多いです。
羽根さん中高でのあの勉強が役立ったということはありますか。
西村さん私は情報メディア学科に行ったので、特に情報の授業はしっかり聞いておいて良かったと思いました。どの授業でも「ここで高校時代のあれが出てきた!」ということがたまにあるので、何でもやっていて損はないですね。
羽根さん生活環境学部は理系の授業が多そうで、理系の勉強を頑張っておかないといけないのかなと思っていました。すべて頑張ります!
西村さん高校までの理系の授業とは少し方向性が違うので、全く新しいことを学んでいる印象です。必要範囲は頑張らないといけませんが、そこまでプレッシャーに感じなくても大丈夫です。
CROSS TALK
先輩大学生×後輩高校生食を軸に人の身体を知り、
普段に活かせる学びができる
武庫川女子大学
食物栄養科学部 食物栄養学科
筒井さん(食物栄養科学部 食物栄養科4年)
助野さん(附属高校3年)
管理栄養士の国家資格取得を目指して
助野さん食物栄養科学部 食物栄養科に進まれた理由と、学ばれている内容を教えてください。
筒井さん中高の理系コースで学んだことを大学でも活かしたかったことと、食に興味があったことから、食に関する学科で専門的に学べる食物栄養科学部を選びました。1年生では基礎的な身体の作りや身体の消化構造といった理科や生物のようなことを習い、2年生になると実験が増えていきます。3年生では、仮に設定した患者さんのアセスメントをしていきます。「この人は血糖値が高いから糖尿病かな?その場合、炭水化物は何グラム、栄養は何キロカロリー摂取しても良い」といったロールプレイ的なことをするんです。1・2年生は大量調理・給食がメインで、3・4年生は対「人」になっている印象です。単位を全部取れば卒業時に管理栄養士の受験資格がもらえて、2月の終わりにある国家試験を受け、合格したら管理栄養士になれます。もし取得できなくても、栄養士の資格はいただけます。
助野さん食物栄養科学部で学ぶ良さは何ですか。
筒井さん食品のパッケージやネットの情報を、根拠を持って見ることができますね。例えばこんにゃくダイエットがなぜダイエットとして良いのか。デメリットも学んだことを活かして理解できます。他にも身体の構造を学ぶことも役立ちます。食は身体を作る第一歩ですから、「この栄養素は身体にとってこういう意味がある」と知ることで、食も身体も深く理解できることが増えました。普段に活かせる学習がたくさんあるのが良さですね。
興味があるのは子どもの食育
対「人」が面白い!
助野さん私はもともと料理が好きで、家庭科の授業も楽しく受け、部活も家政部に所属しています。食に興味があり、将来は食に関する仕事に就けたらと思い、食物栄養科学部を志望しました。大学で学んだことが、日常で活かせると聞いて、さらに面白そうだと感じます。筒井さんが将来に向けてこれから研究していきたいことや、将来についてはどのように考えられていますか。
筒井さん研究室に配属されたばかりなのでまだ何を研究するかは決まっていませんが、今、興味があるのが子どもの食育です。子ども時代の食の形成が大人になってからも影響しますし、子どもの食は家族や周りの大人に影響されやすいので、それについて研究したいと思っています。将来についても、やっぱり対「人」が面白いなと思っています。人を目の前でサポートできる職となると、病院の管理栄養士や調剤薬局に配属される管理栄養です。そういった人と関われる場所で管理栄養士になりたいと思っています。
助野さん中高時代にしておくと良いことはありますか。
筒井さんやっぱり生物は頑張った方がいいと思います。最終的には国家試験に向けての勉強になりますが、そこでも生物の問題は出るので、生物をしっかりやっていたことが影響するかもしれないです。
助野さん頑張ります。生物は暗記教科で、私にとっては結構楽しい科目です。今後は、将来役立つと思いながらさらに勉強します。
Staff Comment
生活環境学部 生活環境学科
材料科学研究室(牛田研究室)助手
インテリアデザイン研究室(森本研究室)助手 夛田 尭世さん
自分の好きなことを学べる生活環境学科
興味あることを楽しんで学んでいってほしい
生活環境学部 生活環境学科には、被服学コース、アパレルコース、生活デザインコース、環境デザインコース、建築デザインコース、まちづくりコースがあります。1年生では全てのコースに関する授業を受けることが可能です。例えば、アパレルコースは被服構成をするための基礎的な授業、建築デザインコースは設計の基本となる製図や建築模型を作る授業、まちづくりコースはフィールドワークをしてまちづくりに関する資料を集めて自分で地図を作ります。それらを踏まえて1年生の後期に進むコースを決定します。2年生では全員がメインとサブのコースを選べて、2年生の時はメインのコースを受け、3年生以上になるとサブのコースとして2年生の授業を受けられます。3年生後期からはゼミにも配属され、4年生で卒業研究に入ります。
生活環境学科も忙しい学科ですが、羽根さんのように他にやりたいことがある人は、勉強にもしっかり打ち込める人だと思います。スポーツを頑張っていれば勉強も同じようにも打ち込めますから、心配することはないと思います。
また、理系の勉強が多いのではないかと気にされていましたが、コースによって違いがあります。1年生では生活環境学科の学び全般に活用できる内容の授業もありますので、ぜひ受講してみてください。
大学では高校と学ぶことが大きく変わって、自分の好きなことを学べます。勉強が不安という人も大学からでも巻き返せるので、興味があることを楽しんで学んでいってもらいたいですね。