生徒の成長を願って、それぞれの理念を反映した個性あふれる授業を行う先生は、生徒にとって何よりも味方であり、多大な影響力を持つ人生の先輩です。清泉女学院での6年間を支え、充実した学校生活にしてくれる先生は、どのような人たちなのでしょうか。
学生時代のエピソードから、授業でのモットー、人がわかる長所・短所や好きな作品まで、清泉女学院の10名の先生に迫りました。
CONTENTS 1
CONTENTS 2
田中 将輝先生
MASAKI TANAKA
- 担当教科:国語
- 部活顧問:軽音楽部
- 教員歴:6年[清泉女学院歴5年]
- 出身:神奈川県横須賀市
私の中学・高校時代
びっくりするほど勉強をせず、本を読んだり遊んだりしていたせいで赤点を大量に取っていた生徒でした。当時の先生には申し訳ないです。進級の際も非常にご迷惑をおかけしました。でも、友達と遊ぶのは好きだったので、学校は嫌いではなかったです。
中学・高校は、勉強する場所というよりは友人と会ったり部活(吹奏楽部でサックス)をしに行ったりする場所でした。とはいえ部活に熱心だったわけでもなく、部活では活動していた時間よりも部室でだらだらと友人と話している時間の方が長かったです。
担当教科に興味を持ったきっかけ
元々小説を読むのが好きでした。幼稚園でも手に入る本はページが擦り切れるほど読んでいましたし、小学校に入ったら青い鳥文庫や当時流行していた『ハリー・ポッター』などさまざまな物語に夢中になりました。そのような少年時代を過ごしたので教員を目指すと決めたときに教科で迷うことはありませんでした。
本を読むこと(国語)の魅力はなによりも「たくさんの人生を体験できること」だと思います。「一度きりの人生」とはよく言いますが、本を読むことで自分では歩まなかった、歩むことのできなかった人生を追体験できます。私たちは本の中では博士にだって探偵にだって魔法使いにだってなれるのです。
また、普段何気なく使っている言葉の不思議な点を発見し、それを説明するおもしろさも国語ならではのものでしょう。最近も生徒に「プリキュアの名前に隠された法則」について話しました。私は言語学を専攻していたので、少しでも興味を持ってくれたらうれしいなと思います。
教師になった理由
中学生の頃お世話になった先生に教師になったきっかけを聞いたのですが、その際に「損得を考えずにすべてを与えてもいい職業だから」と聞き、感銘を受けたのがきっかけです。
他の職業では基本的に自分自身に損がないように出し惜しみをしたり計算したりする必要がありますが、教師は生徒に自分の人生で得てきたすべての知識・経験などを教え、与えることができます。この点で教師というのは素敵な職業だなと思います。
授業で大切にしていること
「直接的に役に立つようなことばかりを教えない」ということを心がけています。学校の授業で学ぶことの多くは社会で使うことはありません。ですが、「自ら学ぶ」ということや知的好奇心は人生を歩んでいく上でずっと必要なものです。
司馬遼太郎『坂の上の雲』で秋山真之は「白砂糖は黒砂糖からできる」と述べています。私たち教員は生徒に「黒砂糖」を与える職業なのではないでしょうか。その中から生徒たち自身が「白砂糖」を精製してくれることを願っています。
授業でのモットー
「funnyかつinterestingな授業」を心がけています。学校教育(授業)の目標はさまざまあると思いますが、その中でも「学問的知識をつけさせる、学問的興味関心を育む」ことは欠かしてはいけないと思います。
私たち教員が大学や日々の研鑽などで得た学びなどを生徒にも共有し、知的好奇心を持ってもらうことを意識しています。もちろんどんなに興味深い内容でも聞いてもらえなければ意味はありません。興味深い物事をおもしろおかしく生徒と共有していくことに注力しています。
生徒にとってこんな存在でありたい!
「こんな適当な人でも生きていけるんだなぁ」と思われる存在でいたいと思っています。生徒が日常的に接する機会のある大人は保護者の方や習い事の先生、そして学校の教員くらいでしょう。そう考えると生徒が普段目にする大人は「きちんとしている方」が多いのではないでしょうか。それは生徒にとってプレッシャーなのではないかと私は思います。ただでさえ昨今は子供に求めることが多くなっているので、自分のような日々適当に過ごしている人間を見て少しは肩の力を抜いてくれたらと思っています。
自分にとっての清泉生はこんな存在!
一人一人さまざまな個性を持っているので「どのような存在か」と問われても難しいのですが、「我々教員が全力で応援していく存在」なのかなと思っています。
教師をしていて良かったこと・嬉しいこと
生徒たちのできないことができるようになった瞬間や目標を達成したのを見たときは、教師をしていてよかったと思います。勉学でもテストの点数が上がったり志望校に合格したりとありますし、部活動でも目標を達成している生徒を見るとこちらも嬉しく思います。
もちろん努力したのは生徒自身ですが、そこに少しでも関われたことが喜ばしいです。
清泉生との忘れられないエピソード
清泉女学院に勤めて1年目に担当した高校2年生の古典で、今まで勉強してこなかったという生徒2人がやる気を出してくれて、結果的に早慶に合格したことは忘れられません。「頑張れば報われる」ことを、身をもって示してくれた生徒として彼女たちは印象に残っています。
清泉女学院の魅力といえば
女子が遠慮をせずにリーダシップを発揮できるのは女子校ならではだと思います。近年も生徒会の活動の結果、校内にアイスクリームの自動販売機が置かれるようになったり、他校と合同で海岸清掃を実施したりとさまざまな実績・活動があります。
また、清泉の魅力としては自然豊かな環境が挙げられると思います。 学内で自然に触れあいながら和歌を詠んだり、生物の採集をしたりできる学校は他にはなかなかないのではないでしょうか。私も生物の授業に参加し、生徒と一緒にザリガニを釣りました。
清泉女学院ならではの授業
高校2年生の「文学国語」という授業では、大学並みの研究に約半年かけて取り組み、コンテストに応募しようとしています。授業において教員の自由裁量があるからこそ、生徒にいかに探究させるかを自分も学び続けなければいけないと思っています。
座右の銘
座右の銘というほど大層なものは掲げていませんが、「他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ」という言葉には共感しました。この言葉は森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』に書かれた主人公の少年の言葉です。自分よりも努力してきた、才能もある能力の高い人々と出会うことが多く、落ち込むことも多いですが、昨日の自分と比べて少しでも成長できていればいいなと思うと共に、少しでも成長していなければいけないなとも思います。
性格 長所/短所
良くも悪くも「適当」な人間だと思います。なにかを完全にやり切るよりは、とりあえずある程度やってみることが多いです。いろいろなことにチャレンジできるのは良いのですが、なにかを極めたり完璧にしたりといったことをあまりしないのは良くないのかなとも思っています。
仕事以外の幸せな時間
比較的多趣味ですが、ツーリングなどの旅行や料理、音楽を聴いたりギターを弾いたりしている時間が幸せです。基本的にはインドア派なので、家のソファで寝転がりながら好きな音楽を流して本を読んで過ごしていることも多いです。
私のおすすめ
漫画『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』がおすすめです。
主人公が魔界の言語を調査しにフィールドワークに行くのですが、モンスターはいわゆる「声を使った言語」以外にもコミュニケーション手段を持っています。私たち人間も赤ん坊の頃に言語を習得したわけですが、声がコミュニケーションの道具だと認識するのは難しかったのではないでしょうか(実際ハチはダンスで仲間とコミュニケーションを取ります)。
この作品にはこういった言語の側面での戸惑いだけでなく、異文化と交流をもった際の困惑なども描かれています。今までのどの時代よりも異文化の人々と交流していく必要がある現代に生きる私たちにとって、非常に興味深い作品であると言えます。
挑戦・目標
教員としては今年度担任をしている中学3年生がそれぞれの目標を見つけ、それを実現していくことをサポートできればと考えています。また、授業を担当している高校2年生は、私がはじめて担任をした学年ですから卒業まで見守っていきたいです。
私生活ではスカイダイビングに挑戦したり、気球に乗ったりしてみたいと思っています!
そして死ぬまでには宇宙から地球を見てみたいです。理論的には地球が丸いと理解し納得しているのですが、実際に丸い地球をこの目に焼き付けたいです。
受験生へのメッセージ
今、中学3年生の担任で、将来のやりたいことをゆっくりと見つけている生徒たちを見ると、中高6年間を一貫で過ごす良さは大きいと思います。また、清泉では生徒が自主性を活かせ、チャレンジしたいと言えば学校もできるだけサポートする環境があります。部活も委員会もいろいろなものがありますから、自分を活かせる自分に合ったものを見つけて楽しんでください。
嶋崎 陽一先生
YOUICHI SHIMAZAKI
- 担当教科:理科(物理)
- 部活顧問:陸上競技部
- 教員歴:6年[清泉⼥学院歴6年]
- 出⾝:静岡県藤枝市
私の中学・高校時代
勉強、部活、⾏事、⽬の前のことはどれもしっかりやりたいタイプ。⽂武両道であるべき、という気持ちが強かったです。今考えると忙しい⽣活でしたが、当時はそんな感覚はなく、とにかく学校が楽しかったです。学校はさまざまなことに安⼼して挑戦できる場所でした。小学校から高校までサッカーに夢中で、中高時代も一番時間をかけていたのは部活動。本気で打ち込んで一生懸命努力をしたからこそ、つらい思いも嬉しい思いも経験でき、仲間との関係や皆で乗り越える気持ちを知ることができました。結果よりも挑戦して自分の殻を破ること、失敗を恐れずに飛び込むチャレンジを、清泉の生徒たちにもしてほしいと思っています。
担当教科に興味を持ったきっかけ
理科に興味をもったきっかけは、⾃然の中でよく遊んでいたことと、図鑑(特に絵やスケッチ)が好きだったことから始まっているように思います。理科は⾝近に感じる題材が多いので、⾃然と興味を持ちました。ただ専⾨の物理に関しては、高校2年生で本格的に習うまであまり好きではなく、学び始めて⾝の回りで起きる現象が数式で表現できることに感激。このことが物理の道を志すきっかけになりました。
教師になった理由
学校という場が好きで、物理を教えてくれた先⽣のように⾃分もなれたら、という思いがありました。また、⾃分がおもしろいと思うことを伝える仕事ができるのが魅⼒でした。
清泉の理科はアカデミックで、教科書だけではなく実際に目で見て触れることにかなり力を入れています。その部分は私自身も大事にしたいので、清泉で教えられることに喜びを感じています。
授業で大切にしていること
⽣徒がその内容について触れる機会は最初で最後かもしれない。初めて知る機会をどのように演出するかを⼤切にしています。
また、⽣徒からの質問にはできる限りその場で答えるようにしています。その際、教えすぎないこと、⽣徒たちで答えに辿り着けるように⽀援することを意識しています。
授業でのモットー
エンターテイナーでありたい。⾃分が思う物理の学問としての面白さを余すところなく伝えるエンターテイナーであるとともに、自分の興味関係なく親しみやすい先生の科目は無条件に好きになっていくと思うので、できるだけ楽しく笑いの起こる授業という意味でのエンターテイナーを目指しています。⾃分の仕掛けに対する生徒のレスポンスが楽しく、反応がいいとやはり私も嬉しい。⽣徒のレスポンスが授業でのモチベーションになっています。
生徒にとってこんな存在でありたい!
こんな⼤⼈になりたいと思われる存在。また、安⼼感を与え、前向きな気持ちになれる存在でありたい。
自分にとっての清泉生はこんな存在!
⽣徒の存在は原動⼒です。頑張っている子や楽しそうに学校生活を過ごしている子を見ると、気持ちが明るくなります。元気がない時でも、⽣徒の顔を⾒ると元気をもらえますし頑張ろうと思えます。
教師をしていて良かったこと・嬉しいこと
⽣徒がいろいろなことに挑戦し、⽬標に向かって頑張っている姿を⾒ると、嬉しく思います。⽣徒の成⻑を感じたとき、教師をしていて良かったと思えます。物理を⾯⽩いと思ってくれる仲間が増える瞬間も、やっていて良かったと思えます。
清泉女学院の魅力といえば
ホスピタリティの⾼い⽣徒が多く、そこからの発想やアイデアを元にさまざまな活動ができるのは強みです。⽣徒の多様さも魅⼒で、さまざまな分野で⼒を発揮してくれます。先⽣の個性が強いことも魅⼒で、単に⼈柄のキャラクターではなく、得意分野の広げ⽅、掘り下げ⽅が⾯⽩い先⽣がたくさんいます。
清泉女学院ならではの授業
生徒は一人1台Chromebookを持っていますので、実験データを数値解析したり、実験結果をクラスだけでなく学年で共有して考察したりするなど、ICTを積極的に活用しています。
座右の銘
腹を⽴てない
腹を⽴てて良いことはひとつもないと思っています。腹を⽴てるときは、相⼿のことを受け⽌めきれていないとき。相⼿への理解がまだ⾜りないと思うようにしています。
性格 長所/短所
長所:ポジティブ
短所:ギリギリをせめてしまうところ。教員の仕事や授業の準備はやればきりがなく、自分の中で納得いくまでやりたいと思うと、いつもギリギリになってしまいます(笑)。
仕事以外の幸せな時間
⾷べているとき。料理も好きです。
私のおすすめ
図書『少⼥パレアナ』(エレナ・ポーター)…逆境時の⼼の置き⽅として⾒習いたい。前向きな気持ちにさせてくれる本です。
映画『セント・オブ・ウーマン』…最後のアル・パチーノの演説は圧巻。勇気をもらえます。ぜひ⾒て欲しい。
挑戦・目標
挑戦したいこと:わんこそば・⽊彫り
清泉の理科の特徴の「野外学習」が生物や地学中心なので、物理も参入したいと模索中です。大学時代は真空物理を専門に研究していたので、大学から譲っていただいた装置を使って、真空に関する実験の準備を進めています。装置の組み立ては生徒にも手伝ってもらう予定です。大学の内容に近くなりますが、中高ではなかなか体験できない内容を取り入れていきたいと思っています。
受験生へのメッセージ
清泉には広い土地があって自然も豊かなので、その意味では理科の教材の宝庫です。今の時代、いろんなことが映像でキャッチできますが、やはり本物を見ることは大切であり楽しいと思いますから、特に理科が好きならぜひ清泉でこの学校や神奈川の自然を一緒に学んでいきましょう。
新美 和子先生
KAZUKO NIIMI
- 担当:司書教諭
- 教員歴:21年[清泉女学院歴21年]卒業生
- 出身:引っ越しが多かったので出身地が曖昧です。
私の中学・高校時代
マイペース。傍から見たら、少し変わっていたと思いますが、本人は中道を歩いているつもりでした。受験で合格して自力で入学権を得たという意識があり、学校は自分のテリトリーのように思っていたような気がします。清泉で学校生活を送ることに夢中で、毎日図書館にも行って、毎日本を借りていたので私は図書委員にはなる必要がないんだと思い、色んな委員をかじって高校2年生の時は福祉委員長を務めたりして思い切り楽しんでいました。
そして、とにかくビートルズに夢中でした。どこかで「ビートルズ」と耳にしただけで大騒ぎ。イギリスの国旗にもいちいち反応していたぐらいだったので、今、生徒たちがK-POPや好きなアイドルに大騒ぎする気持ちがよくわかります。
担当教科に興味を持ったきっかけ
もともと読書が好きだったこと&大学で取れる資格は全部取っておこうと思い、その資格の中に司書教諭があったので教員免許と合わせて取りました。魅力は、家事と同じでやればやるだけ可能性が見えてくるところです。逆に手を抜くと、分かる人には、ばれてしまうのも家事と同じです。
教師になった理由
生徒の時は「自分がなれないだろう職業TOP5」に教師が入っていました。向いてないと思っていたからです。紆余曲折の後、本と人を繋ぐ仕事がしたいと思った時に、母校の図書館で楽しく過ごしていた時間を思い出し、司書教諭を目指しました。
今は、健康(睡眠時間の確保)・笑顔・背筋を伸ばすことを大切に、毎日過ごしています。いろいろな才能を持っている生徒たちの学習のお手伝いができることが喜びです。
図書館運営で大切にしていること
図書館では、できるだけ多くの本が生徒の目に届くことを意識しています。さまざまな企画でいろいろな本を定期的に棚から出し、借りなくてもいいので「こんな本があるんだ」と意識の先にひっかけてもらえるように飾っています。
図書館は頼んできてもらう場所ではなく、本もお願いして読んでもらうものでもありませんから、“何気なく”“さりげなく”図書館に誘導し、生徒が自分で本を見つけて興味を持って借りていってもらえるような仕掛けを日々考えています。自然に図書館へ足を運ぶきっかけとして、図書館のお掃除は中学1年生にお願いしています。
生徒にとってこんな存在でありたい!
学校を舞台に喩えるなら、舞台に置かれている木。
本筋には関わらないが、舞台に置かれていることに意味がある。
清泉生との忘れられないエピソード
表情が少なく入学してきた生徒が、卒業時に友達と泣き笑いしながら歩いていた姿に、じんときました。
清泉女学院の魅力といえば
自分を見つめる時間を設けているところです。今すぐに効果はありませんが、社会に出てからその時間のあった人となかった人で差が出てきます。
卒業生として清泉女学院を見つめると、流行りの髪型や持ちものの変化はありますが、清泉生は飾らない、気取らない、素で勝負をしている印象で、その佇まいはずっと変わりません。
座右の銘
大変な仕事だと思っても、まず、とりかかってごらんなさい。
仕事に手をつけた、それで半分の仕事は終わってしまったのです。
アウソニウス
わかっているのに、苦手なものを後回しにして締め切り間際に地獄…という経験を幾度となく繰り返しています。そんな私にかける数少ないハッパです。(それでも終わってない仕事はたくさんあります)
性格 長所/短所
性格:根はオプティミストなペシミスト
長所:細かい事を気にしない
短所:記憶がザルレベル
私のおすすめ
ビートルズこの作品と決められないほどすべて良いのがビートルズです。 私の血肉になっていて、それ以上でもそれ以下でもない存在です。
『三国志』…栄枯盛衰!すべてのものは必ず滅ぶのにこのドラマ!たまりません❤ 漫画でもいいから浪漫と悲哀を味わってほしいです。
仕事以外の幸せな時間
洋楽を聞いているとき
挑戦・目標
目標は、大学時代の恩師。知識は及びませんから、せめてその人間性にわずかでも近づきたいと努力の日々です。
受験生へのメッセージ
2名の専任の司書教諭と6万4千冊の本が図書館であなたを待っています!
北村 奈美先生
NAMI KITAMURA
- 担当教科:美術
- 部活顧問:美術部
- 教員経歴:21年[清泉女学院歴21年]
- 出身:生まれは石川県、育ちは横浜市
私の中学・高校時代
清泉に似た中高一貫の女子校に通っていました。まじめでしたが学校や先生に従順というより、冷ややかに傍観しているタイプの生徒。学校は楽しい場所とは思いませんでしたが、今につながる美術の面白さを教わった原点です。美術は小学校の図工と違って、考えて表現するといった奥深さがあると知り、中学3年生の時点で美術系大学への進路を決めていました。
担当教科に興味を持ったきっかけ
見えるものを描く単純な行為の奥に、目に見えないものを表現することが出来ることに興味を持ちました。中学の授業で古典的な技法で描いたり、美術史で多くのアーティストの考えを教わったりするなかで美術の奥深さを感じ、一生かけて追求するのに価値あるものだと思った覚えがあります。
教師になった理由
大学での学びや、そこで得た美術の奥深さ、面白さを伝える場所として直結したのが教師でした。現在も続けている制作活動とは別ものだと思っていましたが、今は美術を教えることと自分が絵を描くことは、表現という意味でつながりがあると感じています。教師という職は思いのほかクリエイティブです。
授業で大切にしていること
ありのままの自分を装うことなく表現してほしいと伝えていきたいと思っています。自分が思ったように表現するには技術も必要ですから、高校生になると技術的な部分の向上も取り入れていきますが、まずは人からの評価や、上手い下手にこだわりすぎないことを大事にしています。
授業でのモットー
生徒の意向を大事にしたいので、生徒が作品でどうしたいかを理解してからアドバイスするようにしています。「何を描けばいいですか」「何色を塗ればいいですか」と直接的な答えを求めてきがちですが、例や答えを出さないようにして、生徒に考えさせるようにしています。自分がどうしたいからこのように行動するという意志を養ってほしいと思います。
生徒にとってこんな存在でありたい!
「教師」と「生徒」という教える・教わるだけではなく、お互いに成長し合える関係でいたいです。自分と生徒の感覚に違いも出てきますから教わるところもありますし、生徒の新鮮な感覚に対してこちらも鈍感にならないように気を付けています。
清泉生との忘れられないエピソード
選びきれないのが本音です。美術系の大学に進学する生徒を毎年指導していて、その生徒達とは高校3年生まで関わるので印象に残っています。芸術系大学は偏差値だけでは測れないので難しく壁にぶつかる生徒も多いのですが、そこで美術をあきらめずに、一度でも「楽しい」と思って選んだものを全うして欲しい、将来的に何かしらで美術に関わり続けてほしいという思いは必ず伝えています。
清泉女学院ならではの授業
美術は高校2年・3年生で、美術・芸術大学を望む生徒対象の授業があります。特に高校3年生は受験に向けたデッサン中心の指導になります。こういう美術の授業があることは清泉の特徴の一つであり、美術系・芸術系志望の生徒から医学部を目指す生徒まで、幅広い選択をする生徒がいることが清泉の良さだと思います。
清泉女学院の魅力といえば
体育系の部活動で一生懸命だった生徒が、高校2年生で突然美術系の進路に目覚めてデッサンに取り組んだり、やりたいことにいろいろと取り組める環境、そして多才な生徒が周囲にたくさんいることです。それは、将来の選択の幅が広いことにもつながっています。自分がやりたいと思うものを探究する機会を中学生から作り、それぞれの分野で高みを目指すという学校のスタンスが結びついていると思います。
座右の銘
無言実行
何かを言う前に実行したり形にしたりするようにしています。
性格 長所/短所
マイペース?!
仕事以外の幸せな時間
美術に関わるとき(美術館鑑賞・作品制作・美術に関する話をする)
私のおすすめ
オススメの画家はゴッホです。私も子供の時からゴッホの作品を本などで見ていて、アツい画家だと知っていたのですが、中学生の時、展覧会で実際に本物の絵を見て、ぞわっとするような感覚を得たことが忘れられません。本物の作品を近くに寄って見ると、画家が描いていたときの息遣いや思いが伝わってきて、本物を見た時にしかわからないものを感じることが出来ます。それはどんなものでも同じ。とにかく実際に自分が見て感じられる感動を大事にしてください。
挑戦・目標
生徒には将来を見据えてと言いながらも、今は新しくやってみたいことは特にありません。新しいことよりも年に1回は美術館で大作の絵画を展示したり、グループ展に出展したりと、自身の作品制作を継続したいと思っています。目標を持つというよりも、今を精一杯に生きる。目の前のものを一生懸命やろうと思っています。
受験生へのメッセージ
生徒が思い描いた進路へ背中を押せるのが清泉女学院です。進みたい道へ向かうためのいろいろな授業や学びもありますから、いろんなことに挑戦して自分がやりたいと思うことを見つけるために、この学校に来てもらえたらと思います。
竹岡 昌亮先生
MASAAKI TAKEOKA
- 担当教科:保健体育
- 部活顧問:バスケットボール部
- 教員歴:18年[清泉女学院歴6年]
- 出身:三重県松阪市
私の中学・高校時代
中学時代はバスケットボールに打ち込み、寝る時間以外はバスケットボールのことばかり考えていました。毎日、飼っている犬の散歩をしながらバスケットのドリブル練習をしていましたが、私のドリブル練習に犬を付き合わせていたという言い方が正しいかもしれません(笑)。とにかくバスケットボールが恋人でした。県大会に出場するなど、充実した中学生活でした。
高校では入学から約1年半は全く試合に出ることができず、どんどん腐っていき、おまけに彼女には数ヶ月でフラれて、部活はもちろん学校も辞めて働こうと毎日考えていました。人生で初めての挫折を経験しました。高校時代の挫折があったからこそ今の自分がいるのですが、時々、高校時代に戻れるならば、もっと努力して青春したいと思うことがあります。
担当教科に興味を持ったきっかけ
私は、保健体育には「幸せな人生を送るために」必要な要素・ヒントがたくさん含まれていると考えています。具体的には、健康、運動はもちろんのこと、仲間、協力、共感、挑戦、成功や失敗、忍耐など、人生をより豊かにするためのもの。こういった要素・ヒントを、授業の中で少しでも多く心で感じてもらえたらと思います。
また、純粋に生徒がニコニコと明るく楽しく、夢中になりながら実技に取り組んでいる姿を誰よりも近くで見ることができるのは、こちらまでワクワクします!
教師になった理由
私自身、学校が大好きであり、父親が保健体育教師だったことで、高校生の頃から漠然と将来は学校の先生になるんだという想いがありました。その後、恩師(東海大学男子バスケットボール部の陸川章ヘッドコーチ)と出会い、情熱はもちろん、温もりや愛情がある教師になりたいと強く思うようになりました。恩師の情熱、愛情が私の心に消えることのない火をつけてくれたと思います。
当初は特別支援学校の幼稚部や中学部の教師をしていました。子供たちに求めることはそれぞれの学校や幼児・生徒で違いますが、教師になって良かったことは、幼児・生徒の「できた!」「嬉しい!」という喜びの場面を1番近くで見ることができ、ときに一緒に喜べることです。「幸せのおすそ分け」をしてもらった気になり、「教師って幸せ!」と感じさせてくれます。
授業で大切にしていること
まずはとにかく一生懸命、その時できることを精一杯行う(ベストを尽くす)ことです。私のような器用ではない人間は、一生懸命さがなければ相手に伝わりません。
もう1つは、生徒がどんな反応をするかということ。伝えたいと強く思えば思うほど、一方通行になってしまうので、生徒の反応に気を配るようにしています。
授業でのモットー
体育という体を動かす授業を担当しているので、「できるようになった」「シュートが入った」「ワクワク、ドキドキした」など、一人でも多くの生徒が喜びや達成感を感じることができるように心がけています。
長年、特別支援学校の生徒たちを見てきたこともあり、授業では少し体育が苦手な生徒に視線が行きます。体育が苦手で嫌いな意識の強い生徒が「やってみよう」とチャレンジした時に気づけ、「よく頑張ったね」とねぎらえるようにしたい。そして苦手なもの、嫌いなものへのイメージを、この6年間で変えてもらえたらと思っています。
授業でのモチベーション
こんな私を信じてくれている生徒や卒業生を裏切ることはできない、と勝手に思い込んで頑張っています!
生徒にとってこんな存在でありたい!
体育教師なので、まずは「明るく元気でポジティブ」な存在でありたいと思います。そして、褒めるにしても叱るにしても温もりや愛のある教師でありたいとも思います。
自分にとっての清泉生はこんな存在!
夢中になれる存在。立場は違いますが一緒に青春する存在。バスケットボール部員とは同志。なかなか一言では言い表せない存在です。
清泉生との忘れられないエピソード
清泉女学院に勤めて1年目のときに、生徒が生き生きとした顔で授業を受けていないことがあり、少し凹んで退勤した日がありました。その時に、学校の前のバス停に並んでいる部活動終わりの生徒2~3名が、遠くから大声で「竹岡先生、さようなら~❤」と挨拶をしてくれ、「よし、明日も頑張るぞ~!!!」と一気に元気が出ました!挨拶の力をその生徒たちが教えてくれました。 ※❤は私の勘違いだと思いますが(笑)
清泉女学院の魅力といえば
「自分で考えて、人のために行動できる」「どんなことにも精一杯取り組むことができる」といった生徒が多くいるところと、学校自体に家族のような温もりや愛、安心感があるところが清泉の魅力です。このような生徒・学校だからこそ、教師が生徒の可能性を信じてサポートし続けることができていると感じます。
また、清泉の生徒は愛を受けて育っている素直な子が多く、頑張っている仲間を応援したり、仲間に声をかけたりしてくれます。その温もりのある雰囲気が人と心のつながりのある学校としての良さになっています。
座右の銘
ベストを尽くす
人は全力で取り組むからこそ、進化・成長していきます。できたかできなかったか、勝ったか負けたかという結果ではなく、ベストを尽くすための準備や努力を精一杯した上で、「自分のベストを尽くした」ことが大切だと考えます。上手くいかなかったときには、「自分はベストを尽くしただろうか」と問いかけ、次へのパワーに変えています。
性格 長所/短所
関心のあることに一直線
1つのことに一直線過ぎて考え過ぎたり、周りの様子が見えにくくなってしまったりすることがあるので、自分とは違う感覚・感性をもった方に早めに相談するようにしています。
仕事以外の幸せな時間
家族全員とニコニコしながら過ごしているとき。
私の手作りパパ・バーガーを子供たちが嬉しそうに食べているとき。
子供たちの寝かしつけで、私の布団に3人が転がり込んでくるとき。(狭いので「もう少し向こうに行ってくれよ」と思うのですが、幸せだなと感じさせてくれます!)
私のおすすめ
井上雄彦『SLAM DUNK』…ぜひ3回以上は読んでもらいたいです!主人公の桜木花道の成長、個性的なキャラクター、勝利することの喜び、敗北や挫折、裏でチームを支える人の苦悩など、青春やそれぞれの人生が詰まった作品です。
挑戦・目標
定年退職しても「保健」の先生として清泉女学院に関わることができたら教師として幸せだろうなと思うので、目標は生徒から「スーパー元気なおじいちゃん」と言われながら「保健」の授業をすることです。
受験生へのメッセージ
みんなで一生懸命やろうという雰囲気があり、失敗を茶化すことなく、少しでもできたときには教員も友達も褒めてくれ、共に喜び合える温かい学校です。安心してその雰囲気を味わい学んでください。