吉祥祭の企画・運営は、吉祥祭実行委員会(文化部リーダー会)が行います。10のセクションに分かれて春から吉祥祭を作りあげていく彼女たちの活動は、例年なら先輩たちの作りあげてきた伝統を受け継ぎながらも、よりその年らしくブラッシュアップするというもの。しかし、今年度は実施するうえでこれまでにないたくさんの制約が加わり、新たな参加のための規定を作成することを余儀なくされました。リーダー会のメンバーはアイデアを出し合い学校と生徒の間を奔走しながら、この年だけの「吉祥祭」を作り上げていきました。
同時に、発表の様子を保護者や卒業生、受験生、外部のお客様に少しでも見ていただくために、WEBでも各団体の発表を配信するための中核としての役割も担いました。当日は感染などの影響で急に休校となる可能性も否定できなかったため、リーダー会が事前に収録した動画を各団体から集め、ジャンルごとにサイトに映像を埋め込む形で、吉祥生以外が視聴できるように環境を整えました。また併せて、本番の数日前からは各団体に別に製作を依頼していたCM(30秒程度のPR動画)専用のサイトをオープンするなど工夫を凝らしました。サイトには最終的に60以上の団体の発表動画が掲載され、授業を通した生徒作品(教員側からの展示作品)も多数掲載されました。
発表当日の校内の様子と、バーチャルな空間でのWEB発表、その両方を創り上げたリーダー会生徒たちの声で、2020年の「吉祥祭」を紹介します。
テーマ 「NIPPON」
例年の正門のゲート代わりに、ゲート製作委員会が制作した段ボール作品。ロダンの地獄の門のオマージュ。エントランスホールに堂々と設置された。
中学2年生の展示エリア「NIPPON橋」
今年のテーマ「NIPPON」を行事、音楽、文化など様々な視点で考察して展示
授業で制作した中学生の作品も各学年で展示された
吉祥生だけの開催は、展示や作品をゆっくりと見られる利点も
小劇場でのクラス劇の席は事前抽選で指定席に。発表会場を増やすなど、アイデアで乗り切った
剣道クラブによる剣道に関するゲームで盛り上げた「IPPON!」
セル画体験でクラブをアピール!映画研究クラブ
ダンスクラブ「2020X’」。各学年の個性が光るダンスに観客も大盛り上がり
演劇クラブ「約束の白百合」。最後の最後まで感動で会場を包んだ
英語クラブは「No Limitations」と題した英語ミュージカルメドレーを
ボイスレスパフォーマンスクラブのオリジナル作品「アリス イン ワンダーランド」
「射即人生」と題して全学年での紅白試合を行った弓道クラブ
誰でも参加して楽しめたサッカークラブの「サカとも。」
体育部が行った「リモ祭〜応援団企画!!」はバブルボール相撲。得点がリモート体育祭の得点に加点されるだけに本気の戦い
吉祥祭実行委員会
PRセクションリーダー
今年の挑戦は今後に活かせることがたくさんある
私はパンフレットやロゴを制作するセクションです。今年は「NIPPON」というテーマに決まり、日本らしさを表していると考えた毬の模様に日本を感じるイラストを入れてロゴを作りました。Web開催に向けては、Webサイトを制作しました。Googleサイトを利用しましたが、初めてだったので作り方を理解することから始まり、ジャンルなどの内容を検討してサイトの階層構造を考え、映像の見やすさを追求していきました。直前に団体側からの動画やPDFが一気に集まってきたので仕上げは必死でしたが、これまで吉祥祭当日に校内でのみ流していたCMも、本番の数日前からWebで公開でき、充実したものになったと思います。今年の吉祥祭は挑戦がたくさんあり、それが今後にも活かせると感じています。
教室参加団体セクションリーダー
戸惑いはあったけれど、
妥協せずに審査してきて良かった
今年はWebでの吉祥祭を新しい試みとして導入し、校内での吉祥祭とWeb吉祥祭という2つの軸で、各参加団体の出し物を審査してきました。感染症対策を考慮したうえでの規定を練り直し、著作権や肖像権といったWebでの規定も新しく作りました。初めてのWeb開催に向けての動画などの内容審査は特に難航しました。私たちも参加団体セクションもお互いにゼロから始めたので戸惑いがいろいろあったと思います。でも、各団体の企画から完成までの過程を一番身近で見られるセクションでもあるので、今日の本番でそれぞれの団体が集大成を披露している姿には感動しました。より良いものをつくるために妥協せず、しっかり審査してきて良かったなと思います。
吉祥祭実行委員長(文化部長)
前向きになることに苦労しながら、
皆で支え合って作り上げた吉祥祭
今年は参加規定を作成する段階から多くのことが変わったので、団体の皆さんに細かなルールや枠組を理解してもらうことが難しい状況でした。こちらが未完成の規定を提示せざるを得ないこともあって、団体の方からの質問も多かったのですが、そんな状態で進めていることを先生方が気遣ってくださり、激励の言葉をたくさんもらって、それを励みにここまでやって来れました。
私たちがリーダー会の一員になろうと思って理由はそれぞれにあると思うのですが、例年通りの吉祥祭を運営していた先輩に憧れていた部分はやはりあったと思うんですね。でも、今年は制限がたくさんあり、例年とは違う。その中で、現状をどう許容して前向きになれるか、どう進めていくのか、という点においてはやはり苦労しました。それを部長として私がまとめたというよりは、高2のリーダーを中心にみんなに支えてもらったからこそ、今日を迎えられたんだと思っています。
今年は、限られた範囲の中でも例年の形に近づけられるように高2のリーダーたちで企画に力を入れました。もちろんできなかったこともありますが、生徒の安全を考えてくださる先生方の規定と、部活の引き継ぎなどかけがえのない場にもなる吉祥祭に向けた生徒の気持ちの両方を考慮しながら、さまざまな企画を考えられたことは良かったと思います。皆さんに支えられ、自分自身が頑張れたことに感謝しています。
総務記録セクションリーダー
いつもとは違う環境の中でも
良いものを作ろうと頑張ってきた吉祥生
総務記録セクションは、動画やブログの記事などで外部の方々に吉祥祭の魅力を伝えるセクションです。各団体の吉祥祭に向けての様子や実行委員会内の様子なども映像に記録します。今年は制約の多い中でも準備している吉祥生の姿を動画で予告的に見せて、吉祥祭を楽しみに待っていていただきたいなと思って頑張ってきました。撮影して記録していく中でいろんな団体が努力している姿を直に見てきたので、本番が無事終わってホッとしています。いつもとは違う環境の中でも良いものを作ろうと頑張ってきた吉祥生の一員として、今日を終えられたことに感動しています。
芸能参加団体セクションリーダー
吉祥生が望む形、
納得する形に盛り上げていきたいと思った
今年は校内開催とWeb開催の両方になるということで、今までのやり方ではできないことも発想を切り替えて、前向きに取り組んできました。できなくなった状況を嘆くより、その中で吉祥生の明るさや活発さを引き出して、どう楽しんでいけるかを大切にしたい。吉祥生が望む形、納得する形に盛り上げたいと強く思っていました。私のセクションでは、舞台上に立つ人数や観客数が限られた中で、団体が望むような発表を最大限に叶えられるかを考え、お客様にも楽しんでいただけるように工夫してきました。例えば、舞台上の人数を決めて団体が混乱しないようにしたり、早くなった下校時刻の中で最大限に練習ができるようにしたり…。
その結果、今日は特に大きなトラブルもなく、すべて順調にいってホッとしています。例年のような賑わいは見られませんでしたが、吉祥生だけで楽しむほのぼのとした感じがありました。春の時点では文化祭はできるのかな?どういう形になるのだろう?と不安で、リーダー会の活動も周りに翻弄される感じはあったのですが、一貫して「吉祥祭を作りあげる」「成功させたい」という強い意志を持ち続けたことでここまでやってこられました。それは自分だけではなくリーダー会のみんなが力を出し合い、支え合えたからだと思います。
今までは先輩に助けを求めるばかりでしたが、今年は自分たちで何とかしなければ!という思いが強く、急なトラブルが起こった時も何をすべきかと必死で考えました。とても頭を使った文化祭だったと思います。きっと吉祥祭が終わって落ち着いたら、良い経験をさせてもらえたと思うだろうし、自分の糧になったと絶対に感じると思います。
内容審査セクションリーダー
予想外の応援に感動。
制限のある中でも一つになれた
今回もいつも通りの書類審査、進行度チェックをやってきました。今年からWeb企画が始まり、Webになるとどうしても肖像権や著作権が厳しくなります。校内使用では考えなくてよかった楽曲使用の制限が発生したぶん、審査も大変でした。また、今年は準備期間が1日になり当日でも参加のための確認証が発行できていない団体が多く不安で仕方がなかったのですが、どうにか間に合いました。
同時に私はダンスクラブにも所属しています。発表する側の立場で、観客に対する規定もいろいろあったのでどうなるかと思っていましたが、予想外の応援がたくさんあってすごく嬉しかったです。同輩や後輩の大切さを知り、いろんなことに支えられているからこそやり遂げられたと思うことができました。制限のある中でも、リーダー会も各団体もお客さんも一つになって作り上げた吉祥祭だったと思います。
会計・列整備班リーダー
観客の喜びや温かい言葉に達成感
例年なら芸能発表会場では、並んだ方から先着順に詰めて着席しますが、今年は誰がどの席に座ったかを明らかにするために、全席指定になりました。そのためにまずは校内で抽選、次に座席を決めて、その結果を当選者にメールで送るため、システムを1から作り直しました。本番を迎えるまでは、「生徒だけの文化祭で士気が下がっているかもしれないけれど、出来る限り楽しんでもらえたら」と思って頑張ってきました。今日、劇を見た人たちから「楽しかったよ、本当にありがとう」という言葉をたくさんいただけて、本当に嬉しかったです。やってよかったと達成感を感じました。今年のリーダー会は、吉祥祭での感染症対策を自分たちで考え、行動していくという大きな課題がありましたが、その貴重な経験によって勇気と実現力が身についたかなと思っています。
イベントセクションリーダー
制限の中でイベントを考え、
実現できたことで成長できた
イベントセクションとしての大きなイベントは、グリコステージで行った「クラブチャンピョン」。今年は他のいろんなイベントができず、かなり企画を絞り込んで実施の準備をしたので、当日までどうなるか読めないという状況でした。本番は、客席にたくさんの後輩や同輩がいてすごく盛り上がり、同じセクションの後輩とも連携しながら進行できました。イベントがいろいろなくなって寂しい気持ちがなかったわけではありませんが、すごく思い出に残る吉祥祭になったと思っています。
今までは、例年盛り上がる企画で「今年もこれをやろう」と進めていましたが、今年は限られた場所と時間でどうやって盛り上げるかを1から考えました。イベントを作る上での大切な気持ちを考え、それを実現できたことは成長だったなと思います。
庶務セクションリーダー
0から作ることも多かった経験を今後に活かしたい
私のセクションは、校内の備品を把握して、吉祥祭当日のための備品移動を担当します。今年は11月の開催で高3の先輩が参加できないため、備品移動も生徒の負担が増え、先生方と協議してやり方を考えて、安全でスムーズな移動を目指しました。
本番は、あっという間に始まって、あっという間に終わってしまった印象です。自分たちが運営したという気持ちはありますが、成し遂げた感はまだ実感としてありません。ただ、よりわかりやすい資料をと考えて0から作ったり、担当の先生やリーダー会で協議して進めたことは良い経験になりました。この経験が今後にも活きればと思います。
書記・環境対策セクションリーダー
いつもと違ってもできることを精一杯頑張りたかった
今年は会議で集まることができないぶん、書類でやりとりすることが多くなり、書記としてはいつもよりたくさんの書類を作ってきました。こういう吉祥祭は最初で最後だと思いますし、リーダー会も3年目で最高学年になるので、いつもとは違っても楽しみながら、できることを精一杯頑張りたいと思っていました。本番がどうなるのかは不安でしたが、今年なりの楽しい場面がたくさんあって良かったと思います。準備期間からいつもと違った雰囲気でしたが、できることが限られているからこそ、盛り上がれた部分もあったと思います。例えばクラスTシャツをみんなで喜んで着たり、放課後に頑張って残ったりと文化祭直前になるほど盛り上がりを感じていました。校内開催とWeb開催の両方があったからこそできたことがあり、吉祥祭の可能性を広げられたと思います。